池袋犬儒派

自称「賢者の樽」から池袋・目白・練馬界隈をうろつくフーテン上がり昭和男の記録

出会い頃、別れ頃(14)

2024-06-08 10:55:28 | 日記

 我々が作っているシステムではフック(HOOK)信号というものを使っている。エンドユーザーが何をしようとしているかを知るための重要な信号で、これがオンかオフかでまったく違ったプログラムが走る。

 ある日、後輩のライターが数枚の技術文書を片手に私に話しかけてきた。

「これ、ちょっとおかしくないですか」

 それは、英語で書かれた障害レポートのようだった。読んでいくと、ありえない言葉が何度も出てくる。いわゆる禁断の四文字言葉「F○○K」である。文脈から見てフック信号のことだと思えた。

 とんでもない間違いである。

 調べてみると、以前に開発者が作った原稿をバックオフィスが翻訳会社に発注し、そのままいくつかの英語圏の現地法人に配ったらしい。単なる思い違いとはとうてい思えない。こんなものを出して金をもらうなど、翻訳者の頭がおかしいに違いない。それとも嫌がらせか。どちらにせよ、これをノーチェックで外部へ出した連中の責任は重い。

 これを横の席に座っていたアメリカ人男性のライターに見せたら大笑いしていた。向かいに座っていたオーストラリア人女性は頭を抱えた。

 N氏の話を聞きながら(実際は聞いていないのだが)、そんなことを思い出していた。

 

 考えてみるなら、会社というのはおかしな集団である。

コメント
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