「ユヒライは念獣によるマークを決意表明と団結と推測しましたが、間違っていると思うのです」
「その根拠は？」「ハルケンブルグの生い立ちとマークが付いた時の状況からですよ」「ハルケンブルグの生い立ちって、どんなのだったけ？」「小学校の途中から全寮制の学校へ編入し、飛び級によって15歳で世界最高峰のミワル大学に入学し物理学を専攻。アーチェリーは世界大会で銀メダルを取るほどの腕前。
母親や姉であるカミーラ、ツベッパ達との仲は悪く、王子の中ではツェードリヒだけは認めている。
というのが今のところ明かされているハルケンブルグの情報ですね」
「ツェードリヒだけは認めているって、こいつ人を見る目がないわね」「ツェードリヒの裏の顔なんて知らないからでしょう。それに認めている理由は、自分は母親や姉達から距離をおくことしかできないのに、ツェードリヒは臆せずに上の王子に強気な態度をとれているというだけなんですよね」
「ハルケンブルグからしたら、暴力や権力に屈しないイケメンに見えるわけね。実際には、相手との実力差が分からない馬鹿でしかないけど」
「そこらへんを考慮すると、ハルケンブルグの念獣の能力はマークをつけられた者はハルケンブルグの欲望通りに動かされてしまうですね。名前をつけるとしたら、レミングスです」
「つまり、あの集団意識喪失事件は、ハルケンブルグが就寝時間外でも構わず寝たいと思っていたけど、私設兵のいる前でそんなことはできないという気持ちを念獣が察したってだけ？」「私はそう思います。オイトもクラピカもハルケンブルグを自分の陣営に引き込みたいようですが、引き込んだら厄介なことにしかならないでしょうね」
