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日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

「きつね」と「たぬき」の言語学

2006-03-17 23:11:53 | 日本語
 うどんやで、ぼーっと会話を聞いていました。

 客    「てんぷらおねがい」
 
 店員さん 「そばですか?うどんですか?」

 客    「そばです」

これで、会話はワンセットです。そこでふと思ったのは、関西の一部で使用されている、「きつね」と「たぬき」という言葉。「きつね」といったら、うどんに決まっているのです、「たぬき」といったらそばが出てきます。具はおんなじ。

 つまり、「きつね」「たぬき」という言葉を使うと、冒頭のような会話にはならなくて、

 客    「きつねおねがい」

 店員さん 「はいよ!」

なんて具合に、あら不思議!会話がショートカットできるんです。

 これってのは、「きつね+うどん」というセットで言葉が成立しているのです。きっと関西では、きつねうどんを食う人が多くて、コミュニケーションの円滑化のために、こういう使い分けになってきたのでは?(めちゃ無根拠な憶測)

 かなり便利なんですが、これをすべてのメニューに適応したら、それはそれでうっとうしい。たとえば・・・

 てんぷら(うどん)
 てんぽろ(そば)
 つきみ(うどん)
 つくむ(そば)

なんて感じで・・・覚えるの大変ですよ。


 いうまでもなく関東で「たぬき」の意味は違いますよねえ。京都も違うらしい。全国縦断調査とかしたら、おもしろいかも~


 一家に一匹、信楽焼きのたぬきを。(滋賀県の地場産業を応援する会) 

ネーミング

2006-03-12 11:17:50 | 日本語
 ちょっと前に、ライブに行ってきました。バンドの名前は・・・


 「ラリーパパ&カーネギーママ」


なんかこの名前、かわいいと思いませんか?曲もすごくいいですよ。

 名前ってのはとても大事で、こころにひっかかる名前をつけることはバンドにとってとても大事な気がします。命名なんてのは言語学の一分野で、「命名の言語学―ネーミングの諸相」(東海大学出版会)なんて本もあります。

 私のこころをくすぐるバンド名を挙げてみると・・・


 「ゴメスザヒットマン」

 「ソウルフラワーユニオン」

 「ガガガSP」

 「イナズマ戦隊」

 「コブラツイスターズ」

 ・・・すべて、なんて素敵な名前なんだ。もち曲もいいんですが、これらの名前を素敵だと思えるのは、ひょっとしたら私だけの主観かもしれないし、みんなに共通の言語感覚かもしれません。

もし、日本人共通にこころに残るとしたら、その言語感覚とはどんなものなんでしょうねえ。

 もういっこ忘れてた。


 「大名行列」


 私がかつて所属していたバンド。名前だけは超一流だと思うんだけどなあ。


 演奏よりもMC重視という画期的なバンドでした。

日本語の乱れ?

2006-03-06 14:15:04 | 日本語
 先月数回にわたって、日本語のウンチクをつらつら書いたら、アクセスがどどどーんとあがりました。みんな日本語には興味があるんですねえ。調子に乗ってもう一発書いてみます。きっかけは読売新聞2月21日の記事。

 日本語が乱れているというコラムでした。理由は若者が古典を読まなくなったからだって。

 そんなこと言うコラムニストにもの申す。古典の日本語が正しい日本語なのか?

 我輩は小泉でござる。(はっとりくんかよ!!)
 
 我は阿部なり。(コロ助やんけ!)

 やあやあ、ライブドアに不正行為がはべりける。(だれやねん!!!)

まあ、この例文みただけでも、私の古典の知識の貧困さを露呈しただけですが、とにかく言いたいことは一つだけ。

 古語使ってる人なんている?

 言葉は常に変化するものです。
 
 そして人間は自分の言葉が不変であると思い込みがちです。

だから、若者の言葉は年寄りにとって常に「言葉の乱れ」になるんですねえ。枕草子にも言葉の乱れなんてのが出てくるそうです。


 っていうか~若者から見たら~年寄りの言葉のほうが~乱れてるんですけど~

 っテ感じ? 

 古語も現代語も、若者言葉も年寄り言葉も、すべての言葉は平等に存在価値があるのであって、どれかが正しくてどれかが間違っているっていう感覚は、なんだか違う気がするんですけどねえ。

日本語ブームを斬る

2006-02-26 10:39:03 | 日本語
 日本語ブームなんてのが言われて久しいこのごろ。テレビ番組も日本語関係のものが増えましたねえ。かなり前ですが、某テレビ番組で以下のような例文を扱っていたそうです。

   ×        ○
  ご飯を炊く  → お米を炊く
  お湯を沸かす → 水を沸かす
  穴を掘る   → 土を掘る

番組では、左側は間違った例だとおっしゃるのです。国語辞典にも載っているのに!

 この説明の背後にあるのは、「言語は論理的であるべきだ」という考えで、お米をたくからごはんになるのであって、ごはんをたくのではないっちゅうような理屈でしょう。水を沸かした結果がお湯であって、お湯をわかすのではないと言いたいのでしょうね。

 ところが、言語が論理的である必要などまったくないのであって、そんなもん幻想です。ソシュールの言を借りるまでもなく、言語には実体がなく話し手の(前)意識の中に存在するのです。

 助数詞「本」を考えてみると、「細くて長いものにつかう」というルールがなんとなく浮かびます。

 2本のボールペン、鉛筆、チョーク、タバコ、コード、ギターの線・・・

ところが、

 2本の論文、タイヤ、ビデオテープ、ゲームソフト、剣道の技、ホームラン

なんやよくわからないものまで「本」で数えます。そんなこんなで、言語は理屈ではないということがわかります。

 テレビのバラエティ番組という性質上、正解と誤答をはっきり提示したいのはよくわかりますが、ちょっと最近ひどいなあ。言うまでもなく「お湯をわかす」ってのは正しい日本語だと思うんだけど。


 へそで湯をわかしそうやわ。

日本語の起源

2006-02-23 15:42:57 | 日本語
 2月21日(火)の朝日新聞に縄文人の末裔がアイヌ人であり、アイヌ語は日本語の起源のひとつであるというエッセイが出ています(梅原猛)。いろいろな語彙が証拠として上がっています。
 
 アイヌ語      日本語

 アン        ある
 オロ        いる(おる)
 ク(飲む)     くう
 エク(来る)    いく
 クル(近づく)   くる

左から、右へと変化したのではないかという説です。語彙の比較から日本語の起源をさがすというのは一時ブームになりました。ざっと図書館を斜め読みするだけでも、

 日本語起源 タミル語説
 日本語起源 チベット語説
 日本語起源 ロシア語説
 日本語起源 モンゴル語説
 日本語起源 南洋諸島語説
 日本語起源 朝鮮語説

なんだかロマンがあっていいですねえ。それぞれの言語の語彙をみると、一応日本語と似た語彙は、どの言語にもあるんですねえ。でもでも、

 なんでインドやスリランカのタミル語話者が日本へ突然現れたのか?
 なんで現代ロシア語が、古代日本語と一致するのか?

なんていう単純な疑問が浮かびます。やっぱ。地理的に近いものを起源に考えるのがいいんじゃないかなあと思ってしまいます。そういう意味で、冒頭のアイヌ語説はすごく親しみが湧きます。

 清水義範の「そばときしめん」というエッセイには、英語起源日本語説というのがあがっています(ふざけて書いたんだと思いますよ)。
  
 穴をほる→hole

みたいな例がすんげーたくさんあるんです。要は、語彙の比較はなんでもこじつけられるっちゅうことですね。

 驚いたとき、中国語で 「hen jing ya!」 と言います。発音は「ヘンジンヤ!」。変態を見た大阪人が思わず口にした言葉が、船に乗って中国へ行ったのかも・・・


 中国語起源関西弁説 

 
 そんなわけあるかいな!

日本語、動詞の否定

2006-02-20 16:36:16 | 日本語
 今回のタイトルかたいな~~~。なんや学会発表のタイトルみたいです。文法に興味の無い方は飛ばしてくださいね。前回のブログでコメントをいただき、それについてちょっと書いて見ます。ちょっとDJ風にやってみるよん(これがやりたかったのだ)。

 オーケイ、みなさんからのお便りを紹介するぜベイベー。今日紹介するのは、世田谷区にお住まいのチコゾーさん(18歳)OLの方です(でたらめだけどなんとなくお便りといえば世田谷区がしっくりくる)。日本語に関する質問だよ、チェキラウ!(もう疲れたから普通にやります。っていうかこんなDJおらんおらん。)

> 「今晩は寝ないです」のような、「動詞の否定形+です」の形。文章で読むと結構違   和感があるのですが、ある外国人に「日本人はよく話しているとき使っています    よ」と指摘されて、それ以来気になってます。


 動詞の否定形は、「寝ないです」「寝ません」と2タイプありますよねえ。もちろん日本語教科書をめくってみても、「寝ません」という後者の形しか出ていません。いわゆる正しい日本語なんですねえ。でも指摘した外国人の方は前者をよく聞くという。なんででしょう?

 そんなん知らんわ~と言いたい所ですが、レッツトライ。

 仮説① 「寝ないんです」という「~んです」の形式を聞く時に、勝手に「ん」の音を聞き飛ばして「寝ないです」だと思っている。かつて私の学生は内モンゴルをずっと内モゴルだと思っていました。特殊音は聞き逃しやすいですからねえ。自分の国くらいちゃんと覚えろよ~って憤慨した記憶がよみがえってきた・・・

 仮説② 日本語教師の友人が多い。自分の例ですが、「寝ません」という形式より「寝ないです」のほうが、外国人学習者には伝わりやすいので、ついつい使ってしまいます。「寝る+ない+です」というように構成要素がはっきり見えるから、わかりやすいんですよねえ。
 時々自分もこういう形でしゃべってて自分につっこんでしまいます。こういうのをお笑いでは「パトリオット攻撃」というそうです。タカさんが言ってた。

 仮説③ 若い日本人の恋人がいる。ありえへんかな~。前回のブログで紹介した仮説が正しいとすれば、若い人は「寝ないです」的な発話をするはず。う~ん、この説はめっちゃあやしいなあ。

 なんせ人間ってのは自分が分かる範囲で外国語を聞き取るもんだから、まわりの日本人が使ってるっちゅうても、すごく少数の例かもしれませんねえ。

 先日友人とあるアイルランド映画を見ました。見終わってから友人の一言。

 「セリフは「ファック」しか言うてませんでしたねえ。」

 んなわけあるかいな。

日本語から見る若者度

2006-02-17 12:54:24 | 日本語
①「桜はきれいじゃなかったです」

 これは、大雑把ですが、

 きれい(形容動詞語幹)+(じゃ)ない(否定)+た(過去・完了)+です(丁寧さ)

というしくみに分解できます。言語学的に見ると、否定や完了というものは、語幹と仲がよく、近くにあると落ち着くそうなんです。つまり、「きれい」と「ない」や「た」は近くにあるべきものになるようです。ところが、「です」などは、語幹から離れた場所にあるのがちょうどよいそうです。冒頭の例文は、まさに言語学的にあるべき姿をあらわしているんですが・・・

②「桜はきれいじゃありませんでした。」

同じ意味でも、こういう言い方もできますよねえ。これだと、完了の「た」が語幹からえらく離れた位置に現れて、言語学的にはどうも具合が悪い。でも、多くの日本人は②タイプも自然だと感じるでしょうね。

 ②のようなタイプの表現は、①タイプに変化していくだろうという仮説があります。

実際に若者を何人か捕まえると、②よりも、①の方が自然だと言うんですよ。わたしなんかは、まだまだ②タイプのほうがしっくりきます。びっくりだわ(三河方言のつもり)。

ということで、それを援用してみて作ったのが、以下の若者度テスト。

  1  部屋はきれいじゃなかったです。
     部屋はきれいじゃありませんでした。

  2  彼は元気じゃなかったです。
     彼は元気じゃありませんでした。

  3  図書館は静かじゃなかったです。
     図書館は静かではありませんでした。

の方を自然だと思えば思うほど、若者ですよ~。

こういうのを考えると、いったい正しい日本語とはなんぞや!っていうありふれた疑問にぶちあたりますね。

音楽用語 「レイブ」

2006-02-15 14:35:19 | 日本語
 最近テレビでTRFが、やたら出ています。リバイバルブームに乗っかってニューシングルを出し、もう一回芸能界に仕掛けていくぜ!!っちゅう気合が伝わってきて、なんだかいいですね~。

 TRFとは、90年代前半に爆発的に売れたグループです。そもそもTRFとは何の略なのか?
 
 テツヤ レイブ ファクトリー

意訳してみれば、「小室テツヤが、レイブを生み出す 工場」となります。なんだか企画モノのにおいがプンプンしてきますねえ。グループ名に自分の名前入れるなんて、最近じゃあまりないですよねえ。

 バッキー白片とアロハハワイアンズ(古い!!)みたいなもんですよ。

 ところで、レイブって何だ?

 rave : うなり声、怒号、べたぼめ、夢中

なんだか、いろんな意味があってよくわからへんがな。「テツヤが(みんなが)夢中になる何かを生み出す工場」っちゅう感じの意味でいいのかな~。とにかく小室さんが絶頂期にうまれたレイブという言葉や概念は、彼の衰退とともに消えてゆきました。


 いやいあ、まだ消えてへんがな。TRFがんばれ~。

 
 実家には小室テツヤプロデュースのキーボードが転がっています。すんげーかわいいんだけど、でかくて場所取る。おまけに、音楽仲間には「音が悪い」ってさんざんたたかれ、先輩には「ただ形がよければそれでいーのか!」などと説教され、まあ、さんざんだったキーボードです。


 はあ~、流行に乗っかったらいかんなあ。

 ちなみに僕は小室ファンでもなんでもなかったんですよ。大阪の某FM局みたいに、アンチ小室ファミリーでした。

 ・・・ただ、キーボードだけ魔がさして買ってしまった、とほほ。

音楽用語 「スカ」

2006-02-13 15:04:17 | 日本語
 日本語、特に音楽関係の日本語をみると、新しい概念が出てきては定着したり、消えていったりするんだな~などという大河の流れのごとくスケールの大きな話を書こうと思って前回のブログを書いたのですが読み返してみたら、ただの思い出話になっとりました。

 要は、「グルーブ」なんていう用語が定着し、いまは結構使われているんだよ~

みたいなことが言いたかったのです。演歌にはちょっと合わないですから、昔はきっとなかった概念なのでしょう。「こぶし」とかにとって代わったのかなあ・・・

 今日は「スカ」。

すっかり一ジャンルとして定着した感のある用語ですが、中学生のころは、まだまだ耳慣れない言葉でした。当時ちょっとしたスカブームで、「ザブーム」、「レピッシュ」なんていうバンドは、スカを代名詞にして出てきました。もちろん、その前からもあったのでしょうが、僕の回り(一般庶民ね)では、おおおお、スカってこんなのか~って気づいたのが、「ザブーム」あたりでしょう。

 高校のとき、すごく気になっていた女の子がいて、しゃべったこともなかったのですが、何かの文集で、好きなバンド:東京スカイパラダイスオーケストラ って書いていました。


 ・・・・・スカイパラダイスって・・・


 なんか、地方にあるデパートの屋上遊園地みたいやん。


 アルプラザスカイパラダイスとか(滋賀の人しかわからんけど)。

 
スカパラダイスですよ!スカ! 当時は、まだまだスカが定着していなかったというお話です。何回も書きますが、当時自称音楽通だった私は、それだけで一気に冷めてしまったのを記憶しております。

 う~ん、われながらなんて心の狭いやつなんだ。
 

 わはははは、思春期ですね。

音楽用語 「グルーヴ」

2006-02-11 15:39:38 | 日本語
 高校時代にモコりんという友達がいました。彼は体重が75キロで、私も当時75キロだったから、「二人で150キロだ、わはははは」とわけのわからない仲間意識で、いつもいっしょにいました。二人で‘ヘビーズ'というユニットまで組んでいました。

 ユニットなどと言ってみても、いっしょにラップしたり、踊ったりという青年の主張的な活動は一切しないで、駅前のマクドナルドでグダグダと受験話をしているという、ヒジョーにネガティブで非生産的ユニットでした。

 ところがある日、ちょっと気になったことが・・・

 彼は「電気グルーヴ」をいつも「電気グループ」と呼ぶんです。

いまでこそ、ちょこちょこグルーヴというよくわからない概念を、よくわからないままみんな使うようになりましたが、当時はまだまだ定着しておらず、音楽通でもないモコりんは‘グループ’だと勘違いしたようです。


 「電気グループ」って、おまえ!!

 なんか工事技術者の組み合いみたいやんけ!!!(ブラマヨ吉田風に読んでね。)


当時自称音楽通だったわたしは、このなんとも間抜けないい間違いにブチキレ、モコりんをボコボコにしました。

なーんていうのは大ウソで、ちょっと気になってただけ・・・

 当時テクノだかラップだか織り交ぜて、すげーかっこよかった電気グルーヴですが、今はなんだか、ピエールがおじさんぽくなりましたねえ。

 「ペーいちにいさん」

 「なんだよページ!弟の指図はうけないよ。」

なんて言っている、ページの方がピエールです。


 電気グルーヴは、「カラテカ」っていうアルバムがお勧めです。
 
  ↑

 なんの宣伝やねん!

P音考

2006-02-08 18:12:08 | 日本語
 上田万年の著作名をぱくっていますが、何も関係ありません。そちらで検索してヒットしてしまったかた、ごめんなさい。このタイトルが好きなもので・・・

 孫に囲まれて幸せそうなうちの祖母にも悩みがあるんです。突発的に発音するとき、ポケモンって言えない・・・いつも間違えてしまうんです。


 ぼけもん


になってしまう。まだいとこは小さいので、ポケモンを言えない祖母をバカにするんです。確かに、ぼけもんなんかきついなあ~~、ホリエモンと同じ系列のにおいがするし。Pの音が弱いのかな~


 今度は祖父の話。母親と祖父の会話を聞いていたら・・・

 母  「新しい車買ったのよ。」

 祖父 「どんなんや?」

 母  「ポロ(ワーゲン社)」

 祖父 「ぼろいんかいな~」

わはははは、おじじもPの音が出てない。でもでも、Pの音っつうのは、万国共通出しやすい音って相場が決まってるんです。あかちゃんでもパパって言えるし。

 ポケモンの「ポケ」というより、「ぼけ」という言葉のほうが祖母にとっては身近なんじゃないかなあ。同様に「ポロ」というより、「ぼろ」のほうが、祖父には馴染み深いのでしょう。言葉の理解なんて、聞き手の解釈次第なんだなあと、しみじみ考えてしまいます。


 2人とも健在で、ボケてるわけでも、ぼろいわけでもないですからね~

「うんこ」考

2006-02-03 13:10:36 | 日本語
 ザブームのボーカル、宮沢さん(「島唄」歌ってる人ね。)がエッセイを出しています。そのなかで、「うんこ」と「うんち」の違いについて考察されてて、結論からいくと、

 「うんち」の方がやわらかいのだ。

ということです。ちょっとあの人のイメージに合わないエッセイで、笑ってしまいました。この日本語の排泄物を指す言葉は、なんだかおかしげな響きを持っていると思うんです。昔、北野たけしの番組で、


 北野雲国斎(うんこくさい)


というのがありました。当時中学生だった私は、この番組名を見ただけで、


 うわ~たけしはやはり天才だ!


と、なんだか論拠のない感動を覚えたのを記憶しております。

 小学校のとき、桜井君という友達がいて、彼のあだ名は「うんこ」でした。いじめられてたんとちゃいますよ~~。彼は、犬のうんことか、猫のうんこを平気で踏んでしまうという、滋賀県で一二を争うくらい、勇気のある子供だったのです。それでわれわれは、畏敬の念をこめて、「うんこ」と呼んでおりました。

 「うんこ」は敬称だったのです。

 それはさておき、1709年、京都で出版された「軽口頓作」という雑俳集があります。雑俳集というのは、まあおもしろ俳句を集めたもののようです。その「軽口頓作」の編集者の名前はなんと・・・


 雲鼓(うんこ)


わははははははは、ネーミングの意図はわからんけど、おもろい。


 さて、今回、このブログで何回、うんこと言う言葉が出てきたでしょうか?

 いやいや、わざわざ数えんでもええですよん。

バリバリ雑言

2006-01-16 12:34:13 | 日本語
英語の罵詈雑言って

 マザーファッカー、とか、ファックオフ、とか、ファッキン○○

と言った、ファック系列のものが非常に幅をきかせております。まるでお笑い界における吉本興業のように幅をきかせております。

 ファックってのはご存知、‘性交する’という動詞なわけで、英語母語話者というのはなんとオゲレツなんだなあと常々思っておりました。それに比べて日本代表アホとバカは、なんとなくのん気なこと。バカなんて馬に鹿ですよ!意味わからへんがな。

 「おんどれなめとったら犯すぞ!」

などという言い回しもありますが、かなり怖い人ですよねえ、こんなセリフはくの。ファックの使用頻度に比べたら、ほとんどゼロに近いと思いますよ、上のようなセリフはく人。

 ところがところが、愛知県でよく使われるというタワケ。これは語源がはっきりしているんです。

 たわける:みだらなおこないをする(広辞苑)

つまりですね、日本にもファック系列の罵詈雑言があるっちゅうことですね。

 愛知の方、次から「タワケ!!」って言う時は、「ファックオフと同じようなことを言うてる」という自覚を持って使ってくださいね。


 な~んて、語源なんて普通気にしないもんですけどね。


 そんなこと言い出したら「貴様」とか「お前」とかが、尊敬の代名詞になってしまうもの。

アホとバカ

2006-01-06 13:31:57 | 日本語
 たかが方言されど方言、日本語の方言を記述すべく日夜走り回っておられる方と知り合いました。おじいちゃんおばあちゃん相手に一生懸命お話を聞きだすとのこと。日本語を研究するといっても様々な方がおられるんですねえ。

 方言と言えば思いつくのがアホとバカの分布。

かなり前の探偵ナイトスクープで調査されていたものですが、かなりおもしろい結果が出ています。ちなみにナイトスクープは関西で、深夜なのに20%以上の視聴率を取る人気番組です。

 大阪から東にちょっとづつ動いていくと、ちょうど滋賀と岐阜の間で、

 アホ→タワケ

という変化が出るんです。さらに東へ行くと、愛知と東海の間くらいで

 タワケ→バカ

という変化が起こるんです。この話がおもしろいのは、大阪から西に行っても同じような変化が起こり、日本のアホバカ分布をすごく大雑把に言うと、

 タクラダ-バカ-タワケ-アホ-タワケ-バカ-タクラダ
 西        ← 京都 →       東

ちゅう分布になるというんです。これは柳田国男という方が提唱した方言周圏論という分布をしており、要は、京都で新しく言い出した言葉が、西と東へゆるゆる広がってゆき、どんどん新しい語が出てきては広がってゆくということです。


 そう考えると、アホは日本最先端の罵り言葉だということになります。

 
 アホの坂田を、バカの坂田にしたらテイストがなくなるもんねえ。


 ちなみにバカルディ(現さまーず)はバカと関係ないですよ。

言葉の習得

2005-12-27 14:02:21 | 日本語
 私のいとこはまだ小学校5年生。小学生の言語構造な一体どうなっておるんじゃろうか?ついつい確認したくなってしまいます。習得研究は全然専門外なので、何を聞いてもへ~ってびっくりしてしまう私です。

「クラスでとなりに座っている子は男の子?」みたいな質問をして、「そうよ。」って帰ってきたら、

 あ~この子は文による連体修飾が理解できるんだなあ

などとチェックしております。いとこにとってはえれー迷惑でしょうねえ。だいたい言語学者の子供とかに生れると、ちっちゃい時からデータを取られたりして、親からわけわからん質問を受けたりする子もいるようです。

「お兄ちゃんとお父さんは自分の本を読みました。」

さ~て、この‘自分’は、誰を表わすのでしょうか?・・・みたいな。子供にとっては、どうでもええ話ですよ、正直。

 あ~よかった、言語学者の子供に生れなくて。


 私  「たくさんぬいぐるみを集めてるなあ。」

 いとこ「集めたっていうか、集まったのよ」

ひゃ~、自動詞と他動詞もちゃんと理解できているんだなあ。しかも外国人の日本語学習において難しいとされる、動作主を背景化する自動詞用法じゃないか!

 などと。イチイチ興奮してしまう私でした。


 早く子供が欲しい。


 そして変な質問を毎日してやる。うふふふふ。