ここ数年でいちばん嬉しい「ありがとう」

ある殿方との、ふだんと何ら変わらない時間の中でのこと。
血圧を測定し、「良い数字でしたよ」と伝えました。
これもいつもと同じく。そして体温計を腋下にはさみ、
「爪、伸びてきているので切りましょうかね」と言う私に、
その殿方からゆっくり発せられた、「ありがとう」。
思わず爪切りを操る手が止まりました。
柔和な笑顔。そして、私の顔を見てハハハと声をあげて笑うので
私も一緒に笑って、ちょっとグッと来て。
コミュニケーションに用いられる口頭言語に限りがあるなかで
生活する殿方。6年間、たくさんの学びを与えて頂いています。
意思と直結する言葉として発せられたとしたら、殿方にとって
「でいらんぼう（妙義山から浅間山を一跨ぎした大男伝説）」級の
大きな一歩。何気ないやりとりの「とり」の部分に、
今後もますます耳を澄まし、気を配らねば、と思いました。

今まで、数多くの「ありがとう」を、たくさんの皆様から
いただきましたが、きょうの「ありがとう」は格別。嬉しい。
本当に嬉しい。