迎春 「このままでは日本が危ない」
西川攻の小説「孤高」 ⑰
--闘うは、われ、ひとりなり--
☆小説「孤高」
⑰
--闘うはわれひとりなり--西川攻著
「このままでは日本が危ない」
2012年6月11日午前
紆余曲折はあったものの、
肝臓癌摘出術は決行。
手術が成功裡に終わった3日後、裕樹は病床で朝刊2紙に見入っていた。
2009年夏の悔し涙の衆院選出馬断念。
爾来、今日までの3年間、間断無く入院手術通院の闘病生活の日々が続いていた。
結果、政治活動は実質的にはその段取りすら立てられない状況下に追いやられ、大切な期間が延々と流れ去ってしまっていた。
「次回も断念せざるを得ないかもしれない」と、やるせない闘病生活の身の不甲斐無さに接し、焦りと、時には達観が、錯綜し裕樹は如何とも耐え難い身一つではあるが心は二つの彷徨いの極限の境地に陥ってしまっていた。
折しも総選挙含みの様相が加速し、今日か、明日の解散をも取りざたされ政局は緊迫度を増していた。
だが、裕樹はそれに呼応するかのごとく持ち前の不屈の魂は3年前の大手術後と同様、今回も日を覆う毎に見事に回復していた。
「早く退院しなければ!」との決意を以って、早くも退院後の戦略と日程の作成づくりに没頭していた。
「このまま、惰性と詐術を弄するだけの廃頽堕落の既成政治家政党に永田町を席巻され続けるなら日本は取り返しがたい禍根を残し国難の今大変な事態になる。」
「不毛な格差選挙をいつまでも繰り返し、有意な人材の国政へのチャンスが将来亘って悉く封殺されている現状。
それが及ぼしている国益の損失は余りにも甚大で計り知れない。」
「日本には、政治家はもはや一人もいなくなった実体やその原因が将にここにあることに何故国民は気付けないのか!」
「以上諸々を冷静沈着に考えるほど、こんなことで今、死ぬわけにはいかない。
私には今だからこそ、やらなければならない事が山ほどある。」
「急がなければ!」
裕樹は逸る気持ちを抑えることができなかった。
次回は「秘中の秘の戦略」です。
平成25年正月2日
西川攻(さいかわおさむ)でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます