雨上がりの子守唄

2010年04月23日 15時54分00秒 | B地点 おむ

 

 

「やっと雨が上がったか」
「ずいぶん降ったなあ」
「八重桜は大丈夫かな」
「ま、この程度の雨では散らないだろうが」
「おむの奴、まだ来ない」
「奴のリュックに乗らせてもらおう」
「うむ。快適、快適♪」
「あっ! おかか先生、僕のリュックに!」
「ふっふっふ~。早い者勝ちさ!」
「……ちぇっ」
「じゃ、『係長のイス』に乗ろうかな」
「よいしょっと」

ひょい
「おいおい、赤い毛布が空いてるじゃないか」
「僕、高い所が好きなんです」

「そうか? まあ、好きにしろ」
「あ~、いい眺めだなあ」
「八重桜が綺麗だ……」
「……あれ? なんだか寒くなってきた」
「イスの上は、風通しがいいからなあ」
「う~ん、寒気がする……」
「風邪を引いたかも……」
「何っ? そりゃいかん!」
「私は毛布に移るから」
「お前はリュックに乗るがいい」
「どうもすいません。お言葉に甘えます」

もぞもぞ
「体がすっかり冷え切っちゃいましたよ」
「そりゃいかんな。少し眠ったほうがいいぞ」
「そうだ! 子守唄を歌ってやろう」
「ね~んね~ん♪」
「ころ~り~よ~♪」

すりすり
「おこ~ろ~り~よ~♪」

すりすり すりすり
おむさんは、すこやかな眠りに落ちていった。
「やれやれ。世話の焼ける奴だよ……」