漣

 

	かなり増水している。
	一時的にせよ、少なくとも矢印の高さ迄は水位が上がったようだ。
	２段目より上の草は無事だが、１段目の草には、水で薙ぎ倒された痕跡がある。
	私達がいつも過ごしているこの辺りは、水に浸かったのだろう。流されて来たゴミが、水で倒された草に引っ掛かっている。
	よっちゃんも元気な姿を見せてくれたが、昨夜の雷雨には驚いたことだろう。
	空気中の粒子が雨で洗われたせいか、夕刻には壮麗な空を見ることができた。
	おかか先生が水を飲みに行った。勿論今なら安全だ。川面の漣（さざなみ）に空が映えて美しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

至福の欠伸

 

	ふわっ
	……ああっ
	……ああ～～ああ
	……あ
	……んむ
	……くう
	……くうぅっ
	……くは～

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真のグルメ

 

	「さっき、五歳くらいの男の子が遊びに来てな」
	「カリカリを置いてったよ」
	「折角ですが遠慮しましょう。いつもの特製ウェットフードがそろそろ届きますからね」
	「うむ、そうなんだよな」 「気持はありがたいんですけどねえ」
	「私は歯が悪いから、ドライフードは苦手だしな」 「これは無駄になっちゃいますね。もったいないけど」
	「しかし……」
	「やっぱり食べよう」 「そんな。無理に召し上がらなくても」
	「あの子の愛情の味がするよ」 「先生……」