権威危うし

2008年07月07日 16時56分34秒 | B地点 おかか

 

「ねえ先生、僕、最近、退屈なんですよ。」
「しょうがないだろ。体調を崩したんだから、よーく寝て、治さなくちゃ。」
「ですが、どうも生活がマンネリで。飽きちゃいました。」

「ばかもん! マンネリで寝ていられる幸福を、有り難いと思わんのか!」
「……まあ、お前の気持は解る。しかしな、マンネリズムの打開というのは容易なことではない。」
「例えば、ちょんまげー! なんていきなりやってみても、これは単に奇を衒うに過ぎず、ケレンに堕すことになるからな。」
「うーん、ちょんまげだって、新鮮ですけどねえ?」
「いやいや。マンネリズムという同一性からの脱却とは、確かに差異化ではあるのだが、その際、差異は同一性に於いてのみ在る、という存在性を閑却してはならんのだ。」
「なるほど、超越論的時間規定に於ける時間そのものの産出を考えてみれば、存在者の存在自体が原基的にマンネリズムだと言えますからね。」

「ちょ、ちょっと待て、どこでそんな知識を……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


五色の短冊

2008年07月07日 16時10分00秒 | B地点 おむ

 

「今日も、おむの話をしよう」
「おむが病院から帰ってきたのが、06月27日だ。それから今日まで、十日の間、毎日抗生物質を服用したおかげか、目の腫れはすっかり引き、体の各所の傷も、膿まずに済んだ」
「だが、おむの鼻の色が良くない。いつもは綺麗なピンクなのだが、このところ、白っぽいのだよ。(特に昨日は、鼻がカサカサに乾いていたし、おむはダルそうに寝てばかりいた。)」
「もっとも、今日は、鼻は(まだ白っぽいとはいえ)湿っていたし、おむはカメラの若造の椅子に乗って遊ぶなど、活発なところを見せてくれた。が、心配したボランティアさんが夕刻、おむを病院に連れて行ってくれたのだ」
「血液検査の結果、猫エイズと白血病は陰性。よかった。しかし、『貧血』と診断されたそうだ」
「『伝染性貧血』の可能性もあるので、数日の間、更なる血液検査の結果待ちなのだ」

「おい、気分はどうだい。大丈夫かい」

「ええ、今日は、いい気分です」

「おかか先生こそ、もういいお年なんですから、気をつけて下さいね」

「こらっ、年寄り扱いするな!」

「へへ、先生、ごめんなさい」

「ふん。……ところで、七夕だな」

「神社で七夕飾りを見たぞ」

「七夕か……。僕の願い事は、」

「おかか先生が、健康でありますように」

「蝶も、」

「蜂も、他の虫たちも、花も、僕も、」

「皆が、いつまでも健康で過ごせますように……」