緊急保護したのは先週の火曜(13日)の夕刻だったから、
今日で一週間になる。
ボランティアさんが届けて下さった猫ミルクがちょうど一缶、空になった。
作り置きはできないので、無論、授乳の度毎に余りは捨てる。
従って、全てを仔猫達が飲んだわけではないが、
少なく見積もってもこの缶のざっと四分の一は
仔猫たちの可愛いお腹に入っただろう。
* * * * *
皆、元気だ。
ミアちゃんはオットリ型だと思ったが、
性格が変わった(笑)のか、とても活発になった。
相変わらず、あまり鳴かないし、鳴き声も小さいが、
兄弟達や私にやたらとしがみつき、やたらと噛みまくる。
歯が生えつつあるので、おくちがムズムズするのかな。
どんどん缶でくれ、いや、噛んでくれ!
噛む度にお前は何かを学ぶ筈だ。
* * * * *
ミクちゃんとミアちゃんは滅茶苦茶に爪を立てるので、
私の手指はともかく、仔猫たちの目が傷つかないかと心配になり、
爪を切ることにした。
(ナアちゃんは比較的オトナなのであまり爪を立てない。
だから爪切りは、あとまわし。)
とがった爪の使い方も実践と実戦で学んで欲しいとは思うが、
今後は人間と共に暮らしてもらうわけだから、
爪切りも、爪切りに馴れることも、やはり学んで貰わねば。
猫の爪を切るのは何年ぶりだろう。
ふふふ、これも中々楽しいのよね……。
ここで梶井基次郎の「愛撫」を連想する。
この頃、私はまた別なことを空想しはじめている。
それは、猫の爪をみんな切ってしまうのである。
猫はどうなるだろう? おそらく彼は死んでしまうのではなかろうか?
いつものように、彼は木登りをしようとする。――できない。
人の裾を目がけて跳びかかる。――異う。
爪を研ごうとする。――なんにもない。
おそらく彼はこんなことを何度もやってみるにちがいない。
そのたびにだんだん今の自分が昔の自分と異うことに気がついてゆく。
彼はだんだん自信を失ってゆく。
この作品を読んでから、猫の爪を切ることに
微かな抵抗を感じるようになったという人も
多いのではなかろうか。
もっとも、梶井のこの空想は、猫の爪を全部切除してしまう、
というものだろうし、実際には誰もそんなことはしないけれど。
言うまでもないが、私も、先端の尖っている所を
ほんのちょっと切っただけである。念の為。