釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

ケネディ暗殺の真実は?

2017-10-31 19:15:22 | 社会
1963年11月23日土曜の朝、寝床から起きるとすでに両親が起きており、TVから悲壮なニュースが流れており、釘付けになった。今もその時の情景が心に残る。35代米国大統領ジョン・F・ケネディが遊説中のテキサス州ダラスで銃撃を受け亡くなった。米国の歴史で現職大統領の暗殺は4度あった。最初は1865年の16代大統領のエイブラハム・リンカーンの暗殺で、1881年の20代大統領ジェームズ・アブラム・ガーフィールドの暗殺、1901年の25代大統領ウィリアム・マッキンリーの暗殺で、いずれも銃が使われている。ケネディ以外の3人は南北戦争の時代を生きた人たちで、いずれも共和党であったがケネディのみが民主党であった。ケネディの直前の34代大統領を務めたドワイト・デヴィッド・アイゼンハワーは1939年の第二次世界大戦が始まった際には中佐であったが、大戦中に瞬く間に元帥にまで昇格した。ヨーロッパの連合国遠征軍最高司令官も務めている。各国との交渉を進めながら、戦略をねった手腕が好まれ、戦後、1953年に大統領に就任するが、ソ連との冷戦状態で、双方が軍備を拡大し、同時に大戦中から軍と軍需産業の拡大を目にして、軍産複合体の驚異的な成長に危惧を抱いた。アイゼンハワーは1961年1月17日の大統領退任時の演説で、この軍産複合体への警告を発した。キューバとの危機を引き継いだケネディはソ連との対立を緩和しようとした。アイゼンハワーも軍事費を削減する方向に動いていたが、ケネディはソ連との対立を緩和しようとしたため、結果的には軍産複合体に危機感をもたらせたと思われる。今月、トランプ大統領はケネディ暗殺事件の資料の公開に踏み切ったが、全ての資料ではない。銃撃犯として逮捕されたリー・ハーヴェイ・オズワルドは2日後にダラス警察署でジャック・ルビーによって射殺された。暗殺事件を調査した政府のウォーレン委員会はあくまでオズワルドの単独犯であると結論付けている。オズワルドはダラスの教科書倉庫ビル6階で、大統領の右斜め後方から銃撃を行ったとされる。しかし、暗殺シーンをとらえていた8ミリ映像のサプルーダー・フィルムでは大統領が頭を後ろにのけぞらせているシーンがあり、前方からの銃撃をうかがわせる。あくまで、委員会はケネディが後頭部から銃撃を受けたとしており、前から銃撃を受けたとする幾人かの目撃証言などとも矛盾しており、何よりも銃撃直前にケネディを近くで警護していたシックレットサービスが遠ざけられ、その一人などはその処置に抗議している。また、ベセスダ海軍病院でケネディの解剖を撮影したウィリアム・ブルース・ピッツァー少佐は1966年に海軍医療センターで射殺死体で発見されたが、自殺として片付けられている。撮影したフィルムには前方から銃弾が貫通している状態を写していた。ケネディは、1961年に在米亡命キューバ人部隊が米国のCIAの支援下でキューバのピッグス湾に侵攻してカストロ政権を打倒しようとした際に、CIAからの米軍による後方支援要請を断った。南ベトナムに駐留していた米軍を撤退させる考えもケネディは持っていた。2013年11月15日に発表された米国のギャラップ社の調査結果では、米国民の61%が「ケネディ氏の暗殺に組織的な「陰謀」があったと思う」としている。米国の軍産複合体はアイゼンハワーの危惧通り、その後も中東やアフリカに米軍を派遣し、介入して来た。平和や民主主義の名で。
清流の紅葉

危険水域に入った日本の株価

2017-10-30 19:14:01 | 経済
台風の影響で、この時期貴重な土日は青空を見ることが出来なかった。今日も風が比較的強く、青空は見えたが、小雨もわずかに降った。市街地周囲の山々はさらに色付いては来ているが、遠野や内陸よりは遅い。東北の秋は素晴らしいので、毎年楽しみにしている。先日行った大船渡でも最も釜石よりになる大窪渓谷は人が訪れることのない渓谷でありながら、素晴らしい紅葉を見せてくれる。釜石では仙人峠が紅葉の名所となっており、何度か秋に訪れたが、大窪渓谷の方がはるかに綺麗だ。隠れた名所と言えるかも知れない。出来れば今一度行ってみたい。 今日も日経平均株価は先週に続いて上がっている。日本の株価は米国の株価を後追いする。アベノミクスは官製相場を作り出した。製造業が衰退した米国は1990年代後半にETF(Exchange Traded Fund)と呼ばれる金融商品を生み出した。金融経済に活路を見出し、金融と工学を合わせて、新しい金融商品を創出した。日本でも上場投資信託として、ETFが取り入れられている。ETFは主要企業の株にまとめて投資が出来る。現在そのETFの75%以上を日本銀行が保有している。このこと自体が異常である。ETFを通じて日本銀行は多くの企業の筆頭株主になっている。日本銀行が実質的に現在の株価を支えている。日本では個人の株取引を行なっている人が700万人だと言われる。あくまで限られた人がやっている。にもかかわらず、政権にいる政治家は、経済がうまく行っている指標として、株価を優先する。失われた30年はGDPがほとんど増えていない。先進国中最低である。しかし、安倍政権以来株価だけは異常に上昇した。日本の投資家はデータで現在の株の状態を評価しない。しかし、米国の投資家はしっかり日本の株価をデータで見ており、現在が危険水域にあることを警告している。1989年以降、日本の株の時価総額がGDPに対して100%を超えたのは3度しかない。バブル崩壊直前の1990年とリーマンショック直前の2008年、そして現在である。1990年にはGDPの140%にもなっていた。2008年は107~108%ほどである。それが現在は120%になっている。日本の株の指標には、主要220社の「日経平均株価」と東証1部上場全銘柄の時価総額を指数化した「TOPIX」と主に2種類ある。このうちTOPIXは1992年以後1800に至ると必ず反転して株が降下局面に至っている。現在、そのTOPIXが1768に達している。株の時価総額も国の債務も国民の所得であるGDPを超えれば、持続は不可能なのだ。その両者を無理やり「持続」させているのは中央銀行である日本銀行である。何事も無理な持続は、崩壊時には極端な崩壊をもたらす。株価が危険水域に至っているのは米国もEUも同じである。特に米国は日本以上に危険な状態に突入しているが、いずれの国の投資家も「Euphoria(根拠のない過度の幸福感)」に陥っている。日本には「風が吹けば桶屋が儲かる」と言うことわざがある。その意味は「無関係と思われることが大きな影響を与える」と言うことだ。これまでの世界の経済崩壊は常に思わぬことがきっかけで崩壊に至っている。しかも、どこかの国の株価が暴落すれば、必ず世界に波及する。もはやそれが起きるかどうかではなく、いつになるかが問題になるだけだ。

人のストレス

2017-10-27 19:11:14 | 科学
人の身体は適度な刺激により、機能が維持される。あくまで「適度」である。刺激がなくとも、刺激が過度であっても機能は崩れる。この刺激のことをストレスと呼ぶ。したがって、ストレスには身体に良いストレスと悪いストレスがあることになる。適度な刺激は良いストレスであり、過度なストレスは悪いストレスと言うことだ。あえて言えば、全くストレスがないこともやはり悪いストレスになる。一般にはストレスと言うと悪いストレスを指す。現代は様々な悪いストレスが増えている。その結果、精神や肉体に過度な刺激が加わり、医学や医療が進んだにもかかわらず、病気を持つ人の数が増え続けている。寿命が延びたことも増加に影響はしているが、そもそも健康なまま寿命が延びていないことが問題だろう。常々、癌を含めてほとんどの病気が生活習慣に由来すると考えているが、その生活の中で、ストレスの関与も大きい。2013年2月の日本経済新聞によると、フィンランドの調査で、高血圧とコレステロールの高い40代の男性1200人ほどの15年間の追跡調査で、最初の5年間で飲食・飲酒・喫煙などを真面目に管理したグループの方が何もしなかったグループよりも寿命が短いと言う結果が出ているそうだ。真面目に管理することがストレスとなっていると言うことだろう。ここでもやはり適度な管理でなければならなかったのだろう。昨年10月4日のEARTH CHRONICLES と言うニュース記事では「Scientists: burdens in the childhood reduce life at the cellular level(科学者たち:幼少期のストレスが細胞レベルで寿命を縮める)」と題して、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究結果を紹介している。染色体の先端部分にはテロメアと呼ばれる部分があり、DNAを保護する役割を担っていて、細胞分裂を繰り返し、老化が進むとテロメアが短くなる。そのテロメアが子供の頃の離別や悲痛と言ったストレスにより、短くなることが分かった。幼少期のストレスが寿命を縮めるのだ。また、去る24日のMedical pressでは「Mysterious DNA modification seen in stress response (ストレスへの反応で不思議なDNAの変更が見られる)」と言う米国エモリー大学の研究結果を載せている。あくまでマウスでの実験であるが、ストレスにさらされるとDNAに本来とは異なるメチル化が起きている。うつ病の研究の中で見出されたが、ストレスによりメチル化した遺伝子は、精神神経障害に関連する遺伝子と重複していた。また、現在増えている認知症の6割はアルツハイマー型と呼ばれるもので、このタイプの認知症では脳の神経細胞にアミロイドβとタウタンパク質と呼ばれるものが蓄積していると言われる。一昨年発表されたアイルランドのダブリン大学の発表では、マウスの実験で、ストレスでマウスの脳の神経細胞にアミロイドβが蓄積している。ストレスは人の細胞、DNAに直接異変を起こす可能性がある。世界では精神的にゆとりを持ち、趣味を持つ生活が経済的にも不可能な人が増えている。病はますます増加するのだろう。
秋の木の葉

日本の未来

2017-10-26 19:13:01 | 社会
今年12月で釜石へ来て10年になる。釜石は初めての東北でもあった。同じ東北でも沿岸部にある釜石は、内陸と違って、夏は涼しく、冬は雪もほとんどない。東北としてはとても住みやすく、東北の他地域と同じく自然が豊かだ。そんな東北の自然や、あまり知られていない東北の歴史や民俗について書こうとブログを始めた。しかし、ブログを始めて3年満たないうちに巨大地震がやって来た。職場も被害を受け、半年ほどは機能不全に陥っていた。職場の回復に追われながらも、偶然震災時に大阪から来ていた娘と休日には東北の自然を堪能する日々が持てた。目の前の現実に余裕が出て、社会の動きに目をやると、原発事故や政府の経済政策に大きな疑問を感じさせられた。そのためブログの内容も次第に自然や歴史よりも社会や経済について書くことが多くなって行った。特に今年に入って、政府債務の問題を多く取り上げるようになったが、そのためかこのブログの読者数が急増している。それを意識すれば、なおその問題を取り上げてしまう。北朝鮮の問題も関係しているのかも知れないが。いずれにしろ、国内のメディアは政府に「忖度して」、事実を報じない。したがって、情報はむしろ海外の記事に頼らざるを得なくなる。現在の日本を考えると、あらゆる分野の衰退が予想される。社会の基盤は何と言っても経済であり、日本のこれまでの経済は人口で支えられて来た。その人口が減少して行き、貴重な存在となる若い世代の教育が蔑ろにされている。大学のレベルは国際的に年々低下している。20年前には東京大学がアジアで1番であった。現在ではシンガポールや中国の3校にも劣る。豊かな未来はとても望めない。それどころか、数年内には確実に財政破綻する。あるいは政府によって意図的にハイパーインフレがもたらされるだろう。いずれにしろ円紙幣はその価値を失う。130兆円の年金基金も内外の株や債券に投じられており、それらの暴落も時間の問題であるため、年金も崩壊するのは目に見えている。金本位制を離脱した通貨は発行量が増えれば増えるほどその紙幣の価値は低下する。通貨の歴史を振り返れば明らかなことだ。日本が始めて、欧米や中国も遅れて中央銀行が大量に通貨を発行したため、相対的に目立たなくなっているが、いずれの国の通貨も価値を失って来ている。本来であれば、Goldがその指標になるが、米国の中央銀行であるFRBがJPモルガンなどの投資銀行を通じてGoldの価格操作を行い、現在はGold価格を抑え込んでいる。それをやらなければ、Goldは高騰し、ドルの価値が失われていることが明らかとなるからだ。米国の通貨発行量は日本の比ではない。ドルの価値の低下をごまかし切れずに米国は2度もドルを切り下げざるを得なかった。そのうち3度目の切り下げをやるだろう。それをやれば米国債や米国株に投資した日本は大津波に襲われることになる。今の日本ではそれを受け止める体力はない。いずれ価値を失う円紙幣の価値を守ってくれるのは、これまでの歴史でもそうであったようにGoldでしかない。戦後あった預金封鎖は過去のものではない。メディアでは報じられていないが、2015年9月30日に行われた財務省の財政制度等審議会財政制度分科会ではこの戦後の預金封鎖を密かに審議している。財務省のHPではその資料も見ることが出来る。
大窪渓谷(大船渡市)





いよいよヘリコプター・マネーか

2017-10-25 19:17:46 | 経済
昨年6月27日、英国経済紙ファイナンシャル・タイムズ The Financial Times は「It’s time for investors to admit it: Abenomics has failed (アベノミクスは失敗である―投資家は、それを認めるべきときである)」と題する記事を載せた。「この3年間の企業収益増は、単に通貨安がもたらした結果に過ぎず、これから起こる逆流現象によって(すでにその兆候は出ているが)、さらに製造業を衰弱させて行くだろう。」と書いている。未だに輸出企業が日本の経済を支えていると考える政官財は円安こそが輸出企業の利益をもたらすと思っている。GDPに占める輸出企業の比率は20%にも満たないのにだ。円安はむしろ日本を売ることだ。大手大銀行やトヨタでさえ、今や実質株式の筆頭が外資となった。東京の不動産は中国に買い占められている。円安による安易な利益は企業モラルをも低下させることを加速させてもいる。モラル低下は東芝や神戸製鋼だけではない。さらに悪いことには日本銀行が福島第一原発事故を起こした東京電力や神戸製鋼の社債を買って支えている。日本の企業は責任を問われないだけでなく、社会への影響と称して、潰されない。まさに中国の国営企業と同じである。小選挙区制と言う基本的に憲法に違反した制度で勝利した首相はさらに「アベノミクス」を推し進めようとしている。昨年7月12日来日したベンジャミン・シャローム “ベン” バーナンキ Benjamin Shalom “Ben” Bernanke前FRB議長は安倍首相と対談している。バーナンキ前議長は「ヘリコプター・ベン」の異名をとる。思ったように回復しない経済を活性化するには空からヘリコプターで紙幣をばらまくように、社会に紙幣を大量に行き渡らせればいいとする。実態経済が期待した回復を見せず、物価目標2%も達成出来ない「アベノミクス」はいよいよヘリコプター・マネーに行き着くかも知れない。2015年 1月 5日のロイターReuters 通信はコラムで「日本は先進国初のヘリコプター・マネーを発動させるかも知れないJapan’s cash helicopter may be first to take off」と題する記事を載せている。国内とは違い、海外では「アベノミクス」への評価は低い。物価も実質賃金もGDPも低迷から脱せず、一部の不動産や株価などの資産価格だけが高騰している。究極のヘリコプター・マネーとは無利子の永久国債の発行となるかも知れない。現在はほぼ利子の限りなくゼロである国債となっているが、財政拡大を続ける首相にとって、先の金利上昇は懸念材料である。金利の1%上昇だけで消費税1%分の税収など吹き飛んでしまう(今年1月の財務省の発表では1%金利分は3.6兆円)。税収が増えなければ、政府の債務返済は困難であり、税収が増える経済の回復では金利も上昇する。要するに政府債務はすでに破綻状態になっている。それが顕在化するのを日本銀行が無理やり抑え込んでいるだけだ。日本の政府債務は今ICU(集中治療室)で人工心肺が取り付けられ、延命しているに過ぎない。ICUから出られる日は永久に来ない。政府債務の重症度があまりに高い。本来であれば2年前にすでに命を落としているはずであった。
稲架

無意味なJアラート

2017-10-24 19:11:24 | 社会
今年岩手県では内閣官房によるJアラート(全国瞬時警報システム)が2度鳴らされた。8月29日と9月15日に、北朝鮮により弾道ミサイルが発射されたためだ。8月は北海道の襟裳岬から東へ1180Kmの地点に、9月は2200Kmの地点に落下した。まるで日本に直接落下されるかのようなメディアの報道ぶりであった。ミサイルにも単純に大別して、2種類がある。大気圏内を飛ぶものと、大気圏外を飛ぶものだ。国際航空連盟では高度100kmから上を宇宙と定義しており、米国空軍は80kmから上を宇宙としている。一般的には高度100Km以上を宇宙とする。そして、国の領空も航空機が飛ぶことの出来る高度100Kmまでが一般的である。北朝鮮の弾道ミサイルは日本上空では高度500Kmを超えている。したがって、これらのミサイルは領空侵犯にはあたらない。仮に領空侵犯していても実際には防ぐことは出来ない。弾道ミサイルは音速の何倍もの速さで飛ぶため、迎撃は不可能なのだ。北朝鮮が発射する弾道ミサイルに対してJアラートを鳴らす意味は全くない。太平洋戦争中の「空襲警報」とは異なる。「空襲警報」の対象は航空機である。警報で避難する余裕がある。しかし、現在、Jアラートが鳴っても避難の余裕も、避難する場所もない。一旦、弾道ミサイルが日本の国土に向けて発射されれば、巨額の費用を投じたイージス艦ですら、迎撃は不可能だ。米国が開発し、韓国に配備された弾道弾迎撃ミサイルシステムであるTHAADシステムですら、複数の弾道ミサイルには対応しきれない。まして、日本がやはり高額を投じたパトリオットPAC-3などは射程も短く、超高速の弾道ミサイルを迎撃出来ない。つまり、日本の現在の防衛手段では、開戦すれば、必ず、多大の被害を受ける。米国の軍事力を持ってすれば、最終的には北朝鮮を殲滅することが可能だが、そこへ至るまでには、韓国や日本だけでなく、最低限、米国のアラスカやグァムが被害を受けるだろう。しかし、米国は退役空軍パイロット1000人の招集や核搭載の戦略爆撃機B52をソ連崩壊後初めて24時間待機に入らせるなど開戦準備に入っている。NATO加盟国であるトルコや米国の同盟国であるサウジアラビアがロシアの超長距離地対空ミサイルシステムであるS-400の購入を決定し、中国も購入を検討している。複数の目標に同時に対戦能力を持ち、米国のTHAADシステムに勝るとされる。しかもロシアはS-400をさらに上回る性能のものを開発しているために、これらの国に売却出来るのだと言う。THAADには米国のミサイルを、S-400にはロシアのミサイルを迎撃出来ないようにプログラムされている。北朝鮮を考える場合は、軍備だけでなく、背後の中国やロシアの存在も重要だ。一つ間違えば、まさに第三次世界大戦にもなりかねない。もちろん中国とロシアでは微妙に温度差はある。中国は米国との表立った対立を避けようとしており、北朝鮮へのピンポイントの攻撃は了解する可能性があるが、ロシアは米国から経済封鎖を受けており、敵対関係にある。日本の世論調査では半数以上が北朝鮮への攻撃に賛成している。経済と同じく、まるで現実を見ていない。
ススキ

高橋是清

2017-10-23 19:14:03 | 社会
各地で被害をもたらしたスーパー台風21号も、釜石では昨夜いつもより多少強めの風と雨となっただけで、午後には風も雨も止まった。昼頃には岩手県の東160Kmの太平洋上を通過したようだ。雨が止むと、周囲の山々の木々の色付きが目に入るようになった。今週末には目を楽しませてくれるかも知れない。選挙は予想どおりと言うか、基本的には変わらない結果となった。40歳未満の人たちの保守化がそのまま反映されている。秋葉原では首相の演説に、「親衛隊」まで登場している。他所での演説で、「帰れ、帰れ」の罵声を浴びたためかも知れないが。いよいよ憲法改正と財政ファイナンスが推し進められて行くのだろう。アベノミクスの財政ファイナンスは世界大恐慌後、1936年の二・二六事件で軍部に暗殺された大蔵大臣高橋是清の経済政策に例えられる。しかし、中身は似て非なるものだ。大蔵大臣として、何よりも財政の安定を重視し、緊縮財政を進めたために軍部、陸軍の青年将校の反感を買った。現在の政権は緊縮財政どころか、まさしく放漫財政そのものだ。高橋是清は金融政策も取り入れ、見事にデフレを脱却させたが、現政権はこれだけ異例の金融政策を続けても、デフレからの脱却は果たせていない。あらためて高橋是清の経歴を見て、さすがと思わせられた。出自に傷があり、仙台藩の足軽に養子として出されたが、米国人医師ヘボンの私塾に入り、米国留学を目指した。しかし、米国人に騙され、奴隷のような生活を余儀なくされた後、1年ほどで帰国する。米国で知り合った森有礼の勧めで文部省に入り、農商務省の官僚なども歴任し、1904年の日露戦争時は日本銀行副総裁として、英国に渡り、戦費の借り入れ交渉を成功させている。1905年には貴族院議員に選ばれ、1911年に日本銀行総裁となる。この時、高橋は政府に財政の安定を求めている。1921年には半年だけであるが、内閣総理大臣も務めた。1927年に昭和金融恐慌が発生したため、請われて3度目の大蔵大臣に就任し、金融恐慌を治めている。1931年、関東軍の暴走で満州事変が引き起こされた後、犬養毅にまたも請われて、4度目の大蔵大臣に就任する。翌年、五・一五事件で犬養毅が軍部に暗殺されると、臨時の総理大臣も務めた。1934年に6度目の大蔵大臣に就任し、デフレからの脱却を成功させたが、インフレの行き過ぎを考え、緊縮財政を行なって、軍費を縮小させようとしたことが、軍部の反感を買ってしまった。こうした経歴を見ると、いかに現在の政治家とは異なっているか、その違いにある意味で納得させられる。政府の財政の安定を基本に、恐慌や不況を脱する手腕は、一夜にして身についたものではなく、若き日の苦労と官僚としての努力の賜物だろう。財政規律を投げ出した現首相の経済政策の行く末はもはや明らかだろう。

馬の渡来

2017-10-21 19:19:00 | 歴史
子供の頃、地方ではまだ牛が農耕に使われており、馬が道を荷を積んで歩いていた。そんな風景が瞬く間に消えてしまったが、東北ではまだ牛や馬の姿だけは見ることが出来る。牛は農耕ではなく、搾乳と食肉用に変わり、馬は競走馬の飼育に変わってしまったが。東北はかって産金・産馬と称されたように、国内でも馬の産地として知られていた。放牧に適した丘陵地が多くあるだけでなく、縄文時代に遡る馬の歴史がある。日本の一般的な歴史では、馬は4世紀に渡来したとされている。考古学的な馬の骨の発掘は4世紀のものが最古であるからだ。しかし、和田家文書にはまるで違った馬の歴史が書かれている。北鑑第十三巻の五に「古来、宇曽利の地に馬の放たれしは、東海の海より大筏に乗せて六頭の駒をつれ来たる津保化族の祖になる古人の、つれきたるものなりと曰ふ。山靼馬と異なり背高く、駆くるに速く、名馬たりと曰ふ。古来、丑寅日本国の地に馬の渡り来たるは、古老に曰はしむれば、三渡来に曰ふ。一は馬の氷雪渡り。二は山靼船渡り。三は東海筏渡り。と曰ふ。是れ何れも実なりと、幾古老何れに聞くも同意たり。されば、古に渡来せし馬の着地にては、人の古に用ひし石鏃あり、一の渡来地になるサガリイ、二の渡来地なる秋田、三の渡来地なる宇曽利を順に、地に遺れるは、*に異なりぬ。一は石槍、二は石鏃、三もまた石鏃なり。一はウデゲ族、二はモンゴル、三はなんとアメリカなるインディアン族のものなり。依て、一は追れ馬にて、二は船来に、三は筏渡りと相成れり。古代なるは、気の候、潮流の流度ぞ今代と異なりて、その可能ありけると曰ふなり。アメリカン国の北に大森林国ありて、その巨木を筏とせるは、吾が国の及ばざる大木なりと曰ふ。亦、サガリイ、渡島との海なす峽も冬至りては馬の渡れる結氷となりて可能たりと曰ふ。さればウデゲ族の古老の曰ふは眞なり。(*には石鏃の絵が書かれている)」とある。津保化族はユーラシア大陸のバイカル湖付近からアラスカを経由してアメリカ大陸へ渡った。しかし、その一部が故郷を目指して引き返し、大筏で馬を乗せて海を渡った。その一団が宇曽利にたどり着く。その後彼らは現在の青森県の「奥内、三内、入内」に住み着いた。北鑑第十六巻卅八「外浜に奥内、三内、入内ありて、何れも古代人永住の地たり。信仰深き民、津保化族のたり。」とある。すなわち、三内丸山遺跡は津保化族が残したものだ。また北鑑第六巻「荒覇吐王之創」で、荒覇吐神の伝来を記した後、「即ち、此の神なる渡来なるは、馬と倶に入りたり。アルタイ及び蒙古国は馬産国にて、馬にかかはれる諸傳の多く傳はりぬ。東日流に人祖をなせるその系なるは、今になるハルハ族、ブリヤート族、ドルベト族、カザフ族らにて、西山靼なる紅毛人系ありき。」として、アルタイ及び蒙古由来の馬について書かれている。すなわち二の船来だと思われる。秋田にたどり着いたのだろう。一のウデゲ族はロシアの沿海州に今も住む先住民族である。「サガリイ」、今のサハリン、樺太に伝来した。日本馬の由来は遺伝子的にモンゴルだとされている。蒙古斑を持つ日本人と同じく、馬も3つのルートで伝来したが、結局は全て本来はモンゴル産であった。
紫式部

日米の社会崩壊

2017-10-20 19:18:05 | 社会
22日には衆議院選挙があり、大手メディアは改憲勢力の優位を伝える。日本は明らかに「戦争の出来る国」になりそうだ。米国の大統領周囲には軍需産業関係者が採用され、イランや北朝鮮との衝突が危惧される状況が作り出されている。日本の首相と米国の大統領は揃って、それぞれの社会を崩壊させようとしているように見える。社会の基盤である経済は、米国では20兆ドルの政府債務と32兆ドルの貿易赤字と言う巨大な債務を抱える一方で、株価は歴史始まって以来の高値を更新し続けている。日本ももはや返済不可能な政府債務を抱える中で、日経平均株価が21年ぶりの高値になり、29年ぶりの連続上昇記録となっている。いずれも中央銀行による前代未聞の通貨発行により達成された株価である。ロイター通信によれば、日本の株の購入者は以前は外国人が筆頭であったが、今では日本銀行に変わってしまった。いつ起きてもおかしくない巨大な経済崩壊の火種がEUにも米国にも中国、日本にもある。ひとたび崩壊が起きれば、歴史始まって以来の世界恐慌となる。製造業の衰退から米国が「金融工学」により生み出した怪物賭博であるデリバティブが、IMF(世界通貨基金)によると世界のGDP総額の6.5倍にもなっている。政府と中央銀行が一体となって、経済崩壊に至らないように「異次元」の政策、超低金利と大量の通貨発行を行って来た。しかし、すでに進退極まる時期に入って来ている。金融緩和を続けても、金融緩和をやめても、どちらも危機に至るのは明らかだ。この状況で、安易な打開策として「戦争」を利用しようとする為政者が現れれば、一時的に崩壊をさらに先延ばしさせるだけになるだろう。世界中で貧富の格差が拡大している。それが顕著な米国では暴動の起きる可能性すらある。米国の暴動は銃社会であるだけに、激しいものになるかも知れない。不動産屋の米国大統領は、こうした現状を損益計算しているだろう。日米の首脳は自国の健全な回復よりも、自己の地位の保全に走っている。その意味では北朝鮮と同じだろう。あまりに歪み過ぎた今の社会を穏便に修正する手立てはもはやない。修正するには遅過ぎる。二人の首脳は、崩壊への道を進んでいるようにしか見えない。無論、それがいつになるかは誰にもわからないが、崩壊がいずれやってくることだけは確実だ。経済的にも社会的にも何がブラック・スワンになるかは予想は出来ない。米国ハーバート大学のジェフリー・フランケル Jeffrey Alexander Frankel 教授はブラック・スワンはすでに飛び立っていると言い、レーガン政権の財務長官補であったポール・クレイグ・ロバーツPaul Craig Robertsは2015年から世界的な崩壊が迫っていると警告しており、昨日にはまた株式への最大の危険はドルであると警告している。
稲穂とアキアカネ

遺伝子が教える過去と現在

2017-10-19 19:17:35 | 科学
古生物学の分野に遺伝子研究が取り入れられたのは、まだわずか10年前でしかないが、5年くらい前から、急速に新しい情報が得られるようになった。その結果、人属には現生人類であるホモ・サピエンス・サピエンスの他に、ネアンデルタール人ホモ・ネアンデルターレンシスやデニソワ人ホモ・サピエンス・デニソワがあり、それらの種は互いに交配していたことがわかって来た。さらにはまだ発見はされていないが、遺伝子から他にも第4の種がいた可能性があるようだ。少なくともこの3種は数万年の間、地球上で共存していた。現在のヨーロッパ人には、ネアンデルタール人のDNAが平均して1~2%含まれている。2008年にロシアの西シベリア、アルタイ山脈のデニソワ洞窟で41000年前の5~7歳の少女の小指の骨の断片が発見された。DNA解析で、この子供は現生人類ともネアンデルタール人とも異なっていることがわかった。メラネシア人のDNAの4~6%が、また中国南部の人のDNAの1%がデニソワ人由来のものであった。ネアンデルタール人はユーラシア大陸の西方に、デニソワ人は東方に分布していたと思われる。米国ジョージ・ワシントン大学の研究では、デニソワ人の体格はネアンデルタール人と同じか、それよりも大きいと言う。マックス・プランク進化人類学研究所などの研究によると、80万4000年前に現生人類との共通祖先からネアンデルタール人・デニソワ人の祖先が分岐し、64万年前にデニソワ人がネアンデルタール人から分岐している。ただスウェーデンのウプサラ大学の研究では、デニソワ人とネアンデルタール人の分岐は35万年前になるとされる。こうした古生物学の立場から見ると、現代世界で見られる人種差別は、ほとんど意味をなさないと言う。英国の遺伝学者アダム・ラザフォード Adam Rutherford氏によると、白人と黒人、黄色人種の間のDNAの違いよりも、アフリカ大陸内部の人たちの間のDNAの違いの方がずっと大きいそうだ。また世界で頻発する残虐な殺人なども犯人の遺伝子に問題があるのではなく、環境から受ける精神的な部分に問題があるだろうと言う。古生物学の遺伝子研究が進むことにより、現代人の由来だけではなく、現在の世界のあり方に遺伝子以外の原因があることもクローズアップされて来る。
落ち葉