釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

無意味なJアラート

2017-10-24 19:11:24 | 社会
今年岩手県では内閣官房によるJアラート(全国瞬時警報システム)が2度鳴らされた。8月29日と9月15日に、北朝鮮により弾道ミサイルが発射されたためだ。8月は北海道の襟裳岬から東へ1180Kmの地点に、9月は2200Kmの地点に落下した。まるで日本に直接落下されるかのようなメディアの報道ぶりであった。ミサイルにも単純に大別して、2種類がある。大気圏内を飛ぶものと、大気圏外を飛ぶものだ。国際航空連盟では高度100kmから上を宇宙と定義しており、米国空軍は80kmから上を宇宙としている。一般的には高度100Km以上を宇宙とする。そして、国の領空も航空機が飛ぶことの出来る高度100Kmまでが一般的である。北朝鮮の弾道ミサイルは日本上空では高度500Kmを超えている。したがって、これらのミサイルは領空侵犯にはあたらない。仮に領空侵犯していても実際には防ぐことは出来ない。弾道ミサイルは音速の何倍もの速さで飛ぶため、迎撃は不可能なのだ。北朝鮮が発射する弾道ミサイルに対してJアラートを鳴らす意味は全くない。太平洋戦争中の「空襲警報」とは異なる。「空襲警報」の対象は航空機である。警報で避難する余裕がある。しかし、現在、Jアラートが鳴っても避難の余裕も、避難する場所もない。一旦、弾道ミサイルが日本の国土に向けて発射されれば、巨額の費用を投じたイージス艦ですら、迎撃は不可能だ。米国が開発し、韓国に配備された弾道弾迎撃ミサイルシステムであるTHAADシステムですら、複数の弾道ミサイルには対応しきれない。まして、日本がやはり高額を投じたパトリオットPAC-3などは射程も短く、超高速の弾道ミサイルを迎撃出来ない。つまり、日本の現在の防衛手段では、開戦すれば、必ず、多大の被害を受ける。米国の軍事力を持ってすれば、最終的には北朝鮮を殲滅することが可能だが、そこへ至るまでには、韓国や日本だけでなく、最低限、米国のアラスカやグァムが被害を受けるだろう。しかし、米国は退役空軍パイロット1000人の招集や核搭載の戦略爆撃機B52をソ連崩壊後初めて24時間待機に入らせるなど開戦準備に入っている。NATO加盟国であるトルコや米国の同盟国であるサウジアラビアがロシアの超長距離地対空ミサイルシステムであるS-400の購入を決定し、中国も購入を検討している。複数の目標に同時に対戦能力を持ち、米国のTHAADシステムに勝るとされる。しかもロシアはS-400をさらに上回る性能のものを開発しているために、これらの国に売却出来るのだと言う。THAADには米国のミサイルを、S-400にはロシアのミサイルを迎撃出来ないようにプログラムされている。北朝鮮を考える場合は、軍備だけでなく、背後の中国やロシアの存在も重要だ。一つ間違えば、まさに第三次世界大戦にもなりかねない。もちろん中国とロシアでは微妙に温度差はある。中国は米国との表立った対立を避けようとしており、北朝鮮へのピンポイントの攻撃は了解する可能性があるが、ロシアは米国から経済封鎖を受けており、敵対関係にある。日本の世論調査では半数以上が北朝鮮への攻撃に賛成している。経済と同じく、まるで現実を見ていない。
ススキ