釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

窮鼠猫を噛む

2017-10-16 19:15:57 | 社会
先月20日、安倍首相は米国ニューヨークの国連総会で、一般討論演説を行った。その8割は北朝鮮問題であった。先の11日には石油の輸出制限を含んだ安全保障理事会の北朝鮮への制裁決議が行われていた。首相は演説の中で、「対話による問題解決の試みは無に帰した」「(安全保障理事会の)決議はあくまで始まりにすぎない。必要なのは行動だ」と述べている。11日の決議を米国とともに主導した日本に対して、9月13日、北朝鮮の朝鮮中央通信は、朝鮮アジア太平洋平和委員会の声明を伝えた。「日本列島を通過するICBMを打ち上げたのに、全く気が付いていない人達には効果的な一撃を与えるべきだ。日本列島の4つの島は、チュチェ思想の核爆弾によって海に沈むべきだ。もはや日本は私たちの近くに存在する必要はない。これが怒れる朝鮮軍と人民の声だ。」と。また、今月2日には朝鮮中央通信が「日本の圧力騒動は日本列島に核の雲をもたらす自滅行為だ」だと報じている。米国は自国の利権を損なう中東の国々を実質的に侵略して来た。しかし、北朝鮮は直接には自国の利権とさほどリンクしていない。にもかかわらず、「悪の枢軸国」と認定して来たのは、自国本土へ到達し得る核爆弾を搭載した大陸弾道弾の開発を北朝鮮が進めて来たことを脅威と捉えているからだ。北朝鮮は自国が生き残るために核開発とミサイル実験を繰り返して来た。核を持たなかったイラクやリビアの結末を見ているからだ。生き残るためには、核実験やミサイル発射実験で、「意志」は示しても先制攻撃をするつもりはない。米国と武力衝突すれば、自滅は明らかだからだ。しかし、米国から攻撃を受ければ、北朝鮮として可能な限り、反撃に出るだろう。その反撃の対象は、容易に攻撃し得る韓国と日本になるのは明らかだ。そうした状況を知りながら、日米の政権トップが、対話を無意味とする発言を行なっている。もはや武力的な解決の道しか残されていない、と言っているようなものだ。北朝鮮はおそらく、攻撃を受けた場合の反撃の準備を整えているだろう。経済封鎖下でも、すでに石油を2年分備蓄しているとも言われる。安倍首相は「日本を守り抜く」と言いながら、米国から効果が期待出来ない高価なミサイル防衛設備を購入するだけで、現実に核爆弾が日本に投下された場合は事実上無防備である。イスラエルやスウェーデンのような核シェルターは政治的要人のためだけしか準備されていない。東北であれば、米軍の駐留する三沢基地の三沢安全保障作戦センターや使用済み核燃料の再処理工場が狙われれば、東北全域に放射性物質が拡散するだろう。六ヶ所村再処理工場は4基の原発がある大飯原発と比べて、放射性物質の量は350倍とされ、桁違いの量である。54基ある日本の原発は1基でも広島型原爆の1000倍の放射性物質を出すと言われているのだ。住民はそれから身を守る術がない。Jアラートなどは、何の役にも立たない。武力衝突では決して「日本を守り抜く」ことなど不可能だ。「窮鼠猫を噛む」と言う単純な事を何故為政者は無視するのか。12日、トランプ大統領はユネスコ(国際教育科学文化機関)から脱退すると発表した。米国は1984年にも脱退しており、その後、1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争を行い、同じ年に再加盟している。ユネスコは戦争の悲劇を繰り返さないと言う理念により1945年に設立された。去る14日、韓国の東亜日報は、16日から朝鮮半島近海で予定されている米国と韓国の合同軍事演習に対抗して、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する可能性がある、と報じた。米国の偵察衛星で、平壌近くや平壌の北西にある平安北道地域で、移動式発射台が格納庫を出て移動する様子が確認されている。
見せばや