釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

男性介護者

2010-08-18 12:35:15 | 文化
1998年から2009年の12年間で介護が原因と考えられる殺人や心中は、454件、昨年には46件発生しているそうだ。そして、その加害者の約7割が男性介護者だったと言う。現在日本では100万人余りの男性が、伴侶や親の介護を行っている。全介護者の3人に1人は男性で、その割合は今後ますます増加して行く。介護者になった中高年の男性はもともと家事についていなかった人がほとんどのため、いざ介護に当たってみると分からないことばかりで、相談相手もいないことから、孤立し、ストレスを溜めやすいと言う。さらに、男性は社会での仕事と同様の姿勢で人に頼らず、自力で懸命に取り組み、やはり、仕事と同様にその「結果」を求めようとするようだ。しかし、高齢者を対象とする介護は高齢であるがために思わしい「結果」は得られず、かえって、悪化すらして行く。そこに精神的ないら立ちが生まれ、虐待や心中、殺人へと繋がって行くようだ。男性は社会で真面目に取り組めば少なくとも一定の成果が上げられることを身に付けてやってきた。介護でも同じやり方にどうしてもこだわってしまい、そのため、思わしい成果がでない介護に対して「切れてしまう」。介護は社会での仕事とは全く異なる世界だ。男性が介護者となった時、何らかの第三者的な援助がなければ、介護者・被介護者ともに不幸を招く可能性が今後も続く可能性があるように思われる。


野萱草 (のかんぞう)幻想