釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

久方のワイダの映画

2010-08-15 12:32:55 | 歴史
お盆でどこへ出かけても人が多く出ているだろうと思うと余計に出かける気がしなくなる。三連休を家で過ごすのに、普段読めていない本を読むだけでなく、以前からそのうち見てみようと思っていたポーランドの84歳になるアンジェイ・ワイダ監督の最新作「カティンの森」を見てみた。学生時代に同監督の「灰とダイヤモンド」を見て印象に残った監督だ。1939年9月ポーランドは西からはドイツ軍により、東からは旧ソ連軍により侵攻され、両国に降伏し、ポーランド軍の兵士や将校は捕虜となり、ソ連軍に連行された捕虜は収容所に送られたが、その収容所の一つで捕虜の虐殺が行われた。ワイダ監督自身の父親もポーランド軍の大尉としてソ連軍の捕虜となり、虐殺されている。戦争の終結していない1943年2月にドイツ軍により「カティンの森」でのソ連軍によるポーランド人捕虜の虐殺が調査され発覚された。その後も赤十字などが調査に参加し、4,243体までは確認されたが、戦後はポーランド自体が共産主義体制になったため、ソ連に遠慮して正式な調査は行われていない。25万人もの行方不明者がいたと言うが消息が不明のままだという。どこの国の軍隊も常に残虐性を秘めており、その残虐性の犠牲者はまた常に無力になっている人たちばかりだ。人は善人でもなく、悪人でもない。状況が人をそうさせる。残虐な兵士も善き父親なのだ。


甲子川の土手に咲くコスモス