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白菊 -shiragiku-

2015-07-29 20:12:00 | 文学の話
何だか年々、戦時中のことが気になってきています。父も母もギリギリ戦争を知る世代ですが、まだ子供だったため戦地体験はしていません。幸いにふたりとも疎開もせず、両親と一緒に当時としては穏やかな生活をしていられました。

私がまず気にかかったのが、硫黄島のこと。長野の松代出身の栗林中将の生きざまに衝撃を受けました。そして、両国に泊まった時のこと…ホテルのすぐ隣が旧被服省跡地で、関東大震災や東京大空襲で亡くなられた何万もの人たちの慰霊堂がありました。

祖母がお世話になっていた施設の90代の理事長は、シベリアに抑留された経験をお持ちです。スッと延びた姿勢に、若き日の姿が重なります。病院仕事でも、90代の患者さんがシベリア抑留の話をし始めることがありますが、仕事が忙し過ぎてキチンと最後までうかがうことができないのが申し訳なく無念です。

          

そんな思いの中で、この本を読みました。温泉エッセイストの山崎まゆみさんは、温泉のみならず、戦争体験者に聞き書きをしたご著書もあります。『ラバウル温泉遊撃隊』は、とても興味深く読ませていただきました。そして昨年上梓した『白菊-shiragiku-』は、彼女のふるさとである長岡の伝説の花火師・嘉瀬誠次氏に聞き書きをし、その深い思いを綴った1冊です。真摯な取材のもとに、戦争に行った人々のひと言では言いあらわせない思いが浮かび上がります。長岡の花火は、なぜ涙を誘うのか?その答えがこの本にあります。

嘉瀬さんのことがもっと知りたくて一緒に読んだのが『あがれ!大輪菊玉』藤田博保 著と『やさしい花火』上条さなえ 著の2冊。前者は、嘉瀬誠次さんのお父さまである嘉瀬誠喜さんのお話、後者は嘉瀬さんのお孫さんの目を通して嘉瀬誠次さんを描いたものです。どちらも児童書ですが、深く心に刻まれました。

長岡の花火は、8月2日と3日。その前夜の1日、長岡に空襲が襲った時間に打ち上げられる、追悼の白一色の花火・白菊。実際に見たら、私も泣いてしまうことでしょう…。終戦70年、私たちが忘れてはいけないことはたくさんあるはずです。

白菊-shiragiku- 山崎まゆみ 著→
http://books.rakuten.co.jp/rb/12835378/
山崎まゆみさんオフィシャルサイト→http://ingsnet.com/mayumi/
長岡まつり大花火大会webサイト→http://nagaokamatsuri.com/

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