時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

ひとつの生き方

2010年05月17日 | 午後のティールーム
 5月に入り、先月とは打って変わったような晴天、新緑の美しい日が続く。それに合わせたかのように、次々と外国の友人たちがやってくる。今年は天候も異変続きだったが、こちらもあまり例がないことだ。予定表のやりくりがつかないほどになった。

  多くは人生の長い「仕事」の時期にようやく終止符を打ち、これまでできなかったことを楽しみたいと思っているようだ。皆、元気溌剌としていて、驚くばかりだ。仕事の世界が持つさまざまなしがらみや束縛から解放されて、生まれ変わり別の人間になったような人もいる。こうした人たちを見ていると、経済学でしばしば単純化して形容されるように、「余暇」leasureに対して「労働」labour は「苦役」toil and trouble なのかと思ったりする。

 今週は現役時代ずっとニュージャージーに住み、ニューヨークなどで仕事をしていたが、2年ほど前から生活の場を、ヴァーモントの小さな村へ移した夫妻に再会する。ほとんど24時間の空の旅をして、日本へやってきた。大学出たての若い頃は日本に住んだこともある親日家だ。金融・保険業界で活躍し、数年前までは映画「キャピタリズム」の世界にいたと冗談まじりに話す。

 この夫妻が、ニューイングランドの小村へ移住した理由に驚かされる。積雪の日が最も長い所を選んだとのこと。夫は冬季オリンピックのスラローム種目で、一時はアメリカ・ティームの選手候補に選ばれたくらいのスキーヤーだ。日本に初めて銀メダルをもたらした前IOC副会長のI氏と共に滑ったことを誇りにしている。スキーばかりかゴルフ、フットボールなどスポーツ万端に優れ、活力に溢れている。大のジャズ・ファンでもあり、来日直前にはニューオリンズのジャズフェスティバルへ行っていた。

 スキー歴も50年近くになる。出発前にも肋骨と腓骨を骨折したようだが、いっこうに止めるつもりはないようだ。仕事をしていた時も自分の思うように人生を設計し、大方その通りに過ごしてきた。うらやましいが、なかなかできないことだ。これまでにいくつか挫折もあったのだが、強い精神力で乗り越えてきた。その生き方に、大きな力をもらう。5月は久しぶりに充電したようだ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 絵が日の目をみるまで | トップ | アリゾナから裂けるアメリカ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

午後のティールーム」カテゴリの最新記事