大倉草紙

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【兵庫】 シャガール展 色彩の詩人 (兵庫県立美術館)

2008年09月30日 19時10分54秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
9月27日(土)
当日の行程:(阪神・三宮駅) → 【コロー 光と追憶の変奏曲(神戸市立博物館)】【イートン・カレッジ/ダーラム大学所蔵 古代エジプトの美展(大丸ミュージアムKOBE)】 → (阪神・元町駅~岩屋駅) → 【シャガール展 色彩の詩人(兵庫県立美術館)】


          
   

兵庫県立美術館にて、シャガール展を観る。
シャガールといえば誰もが思い浮かべるタイプの作品だけでなく、初期の作品やパリから3年ぶりに故郷・ヴィテブスクに戻ったときに家族を描いた作品、それから数多くの版画が展示されている。


   
  「ユダヤ劇場」壁画シリーズより『ユダヤ劇場への誘い』(1920)

モスクワの国立ユダヤ劇場の壁画として描かれた作品7点は、劇場を模した空間に展示されている。
『ユダヤ劇場への誘い』は、横幅が8メートル近くもある巨大な作品だ。


展示されている版画は、「わが人生」(1922、刊行は1923)、「死せる魂」(1923-27、刊行は1948)、「ラ・フォンテーヌの寓話」(1927-30、刊行は1952)、「聖書」(1931-39、1952-56、刊行は1956)からのものであり、多色刷りのリトグラフもあった。

   
 「わが人生」より『母の墓で』    「死せる魂」より『ゴーゴリとシャガール』

   
  「ラ・フォンテーヌの寓話」より       「聖書」より『エゼキエルの幻視』
『人間の女に姿を変えた牝猫』

モノトーンよりも、シャガール独特の色彩を施された版画のほうが綺麗だ。
「死せる魂」は、登場人物の性格が端的に表されていて、面白かった。


          
         青い顔の婚約者(1932、1960に加筆)

この絵の解説に、現実に存在するモティーフを用いているのにもかかわらず、「幻想の画家」「空想の画家」と呼ばれることをシャガールは嫌っていた、とあった。
婚約者とシャガール自身と思われる青年、シャガールの記憶の中にある故郷の村と演奏家たち ― ここに描かれているのは、現実に存在するものばかりである。
改めてシャガールの作品を思い浮かべると、感情の動きを自由に作品空間に投影し、細部をデフォルメすることで、異常なまでのリアリティーを生み出しているのだと納得できる。

シャガール展に行ってから、ジッタリン・ジンの『プレゼント』が頭の中でぐるぐる回っている。
しかも、歌詞を全部知っているわけではないので、「あなたがわたしにくれたもの シャガールみたいな青い夜」ばっかり。
そういえば、ジッタリン・ジンが再び注目を集めているらしいと夫が言っていたけれど、耳にしないなあ。