大倉草紙

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【大阪】 鼻煙壺1000展 (大阪市立東洋陶磁美術館)

2008年09月11日 20時12分42秒 | 美術館・博物館・記念館・資料館
9月10日(水)
当日の行程:(阪急・河原町駅) → 【鴨川納涼床(京料理 先斗町 富美家)】 → (阪急・河原町駅~大阪市営地下鉄御堂筋線・淀屋橋駅) → 【鼻煙壺1000展(大阪市立東洋陶磁美術館)】 → (大阪市営地下鉄御堂筋線・淀屋橋駅~なんば駅) → 【赤毛のアン展(高島屋大阪店グランドホール)】



          

夫と夜に散歩をしていて、『鼻煙壺1000展』のポスターを見かけ、興味を持った。
「鼻煙壺」と書いて、「びえんこ」と読む。
嗅ぎタバコを入れる小さな容器だという。


   

淀屋橋駅で地下鉄を降り、市役所脇の遊歩道を歩く。
ミスト散布装置からの霧のおかげで、心なしか、涼しく感じられる。


   
              大阪市中央公会堂

『鼻煙壺1000展』の会場である大阪市立東洋陶磁美術館は、大阪市中央公会堂の向かい。
大阪市中央公会堂は、平成14年(2002)、重要文化財に指定されている。
ここで、結婚式を挙げる人たちもいるそうだ。


   
             大阪市立東洋陶磁美術館

ストロボと三脚は禁止だが、写真撮影は許可されていたので、カメラに収めたものをいくつか。


          
      緑ガラス貼金 騎馬人物文 鼻煙壺(清時代末)

   
      竹陽刻 螭龍文 八角形鼻煙壺セット(清時代末)

嗅ぎタバコは、タバコの葉を粉末状にして鼻腔に吸い込んだり擦り付けたりして、香りと刺激を楽しむもの。
17~18世紀のヨーロッパ宮廷で流行していたそうだ。
フランスでは、ルイ14世(1638-1715、在位1643-1715)が宮廷を禁煙としたため、嗅ぎタバコが王侯貴族を中心に広まった、と会場のパネルに書いてあった。
禁煙から嗅ぎタバコが流行したというよりも、ルイ14世の香り好きが高じた結果ではないかと思うが、いずれにせよ、匂いも煙も出ないタバコというのは、好ましい。
17世紀後半になると、嗅ぎタバコは中国に伝わる。
湿度の違いから、密閉式の容器が必要となり、鼻煙壺が誕生したようだ。

鼻煙壺は、通常、掌に乗るサイズ。
香水瓶くらいの大きさで、ものによっては、握ると拳の中に隠れてしまうほどに小さい。
上の写真(緑ガラス貼金 騎馬人物文 鼻煙壺)の鼻煙壺は大きめ(H14.7 W8.6)。
この大きな鼻煙壺は、嗅ぎタバコを保存するために使われていたそうだ。
「置き壺」「親壺」などと呼ばれるらしい。
嗅ぎタバコを置き壺から鼻煙壺へ移すときは、上に挙げた二枚目の写真(竹陽刻 螭龍文 八角形鼻煙壺セット)にあるような漏斗や匙を使う。
嗅ぎタバコを楽しむときは、鼻煙壺の蓋に付いている匙でタバコを小皿に取り出すそうだ。

会場には、様ざまな素材で作られた約1000点の鼻煙壺が並んでいる。
次に挙げるのは、すべて清時代末のもの。

   
    夾彩 花文 鼻煙壺            夾彩 花文 鼻煙壺

右側の夾彩 花文 鼻煙壺(0123)の胴部には窓が開いている。
内部に納められている筒には透彫が施されており、回転させて全面を見ることができる仕組みになっている。
このような瓶を「転心瓶(てんしんへい)」と呼ぶらしい。


   
    五彩 人物形鼻煙壺          紅釉金彩 蝉形鼻煙壺

   
  白胎印花 花文 鼻煙壺        青白釉透彫 龍鳳凰文 鼻煙壺

   
 金地五彩 蝙蝠文 瓢形鼻煙壺      五彩刻花 蝙蝠文 鼻煙壺

蝙蝠は、音が「福」に通じるらしい。
蝙蝠をデザインした鼻煙壺は、このほかにも多く見られた。

   
 緑ガラス白被せ 花文 鼻煙壺     白ガラス緑被せ 蓮弁文 鼻煙壺

   
 白ガラス二彩 花鳥文 鼻煙壺      桃ガラス二彩 孔雀文 鼻煙壺

   
緑ガラス白被せ 白菜形鼻煙壺    マーブルガラス雕琢 葡萄文 鼻煙壺

白菜の葉には、青虫が付いている。
細かい。

   
雪片ガラス五彩 猫蝶文 鼻煙壺       七宝 花卉文 鼻煙壺

   
  乳白ガラス 猫文 鼻煙壺       乳白ガラス褐色 蜥蜴文 鼻煙壺

   
    象牙 瓢形鼻煙壺             象牙 蟹形鼻煙壺

   
   針入り水晶 鼻煙壺            水晶 竹節形鼻煙壺

   
    水晶 亀形鼻煙壺             水晶 馬形鼻煙壺


大阪市立東洋陶磁美術館の常設展もすばらしい。
熱中しすぎて、全部を観るのに、思いのほか時間がかかった。
気付くと、閉館間際。
楽しい時間だった。