原子炉2基の予期しない停止によって「前例のない電力不足」に見舞われる韓国より転載
[追記] 下の記事を書いた後の 11月9日になって、韓国の電力問題はさらに深刻になったようです。韓国メディアでは、「来年初めの韓国の電力供給余力はゼロになる可能性もある」と報じています。記事の一番下に、読売新聞の報道を掲載しておきます。
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最近は、日本も含めていろいろな国で「電力不足」の問題が発生しますが、韓国では、原子炉2基の稼働が停止をすることによって、この冬、「前例のない」という表現が使われるような電力不足になることが確実視されています。
日本も震災後には、前例のない電力不足の中で、関東などでは計画停電などもおこないながら、一応なんとか今に至るわけですけれど、本当に最近までの何十年かで聞いたこともないような「電力不足問題」というものが各地で浮上しています。
今回は、そのことに関しての朝鮮日報の記事をご紹介します。
なお、今回の韓国の原発の稼働停止は事故や災害が原因ではなく、VOR によると、下のような要因ということです。
「韓国、原子炉2基を停止」 (VOR 2012.11.05)より。
韓国政府はヨンハン原発の原子炉2基を臨時停止すると発表した。部品の納入者が証明書を偽造していたことが発覚したためだ。
決定された運転停止は即刻実行されねばならない。2013年1月まで原子炉は運転を再開しない予定だ。その間に技師たちが、偽造証明書によって納入されていた部品5000点以上を交換する。
ということのようです。
ここから朝鮮日報の記事です。
朝鮮日報 (韓国) 2012.11.05
原発2基の稼働停止により 「全国的な停電(ブラックアウト)」まで懸念される
生産可能な電力はすべて出さねばならないほど前例のない事態だ。2カ月後にはブラックアウト(大停電)が発生する可能性さえある。
韓国の電力当局が赤信号が灯った。電力当局の幹部のひとりは11月5日に、
「霊光原発 5号機と 6号機の稼働停止は予測していなかった突発的な事態だ。ストップした2基の発電量は計200万キロワットであり、これらが今後復旧しない場合、この冬は確実に電力不足となる。しかし今のところその備えはまったくない」
と述べた。
電力供給の非常事態は 11月6日の午後4時12分に、電力需要量が 6392万キロワットにまで上昇したことから始まった。
現在の電力供給能力は最大で 6849万キロワットだが、この時点で供給余力がわずか 457万キロワットにまで落ち込んだのだ。
当局は予備電力が 500万キロワットを下回った時に、5段階の電力需給非常警報の中の「準備段階」を発令した。
韓国国内にある発電所の発電能力は計 8200万キロワットだ。
これに対し、来年1月の、寒さが最も厳しくなる時期に予想される最大電力需要は8000万キロワット。これは韓国国内にある全ての発電所がフル稼働しても、予備電力がわずか 200万キロワットにまで低下することを意味する。
非常警報の3段階目の「警戒」を発令しなければならないほどの深刻な状況だ。
ところがこの秋の時点で韓国の発電所はすでに最悪の状況にある。11月5日に霊光原発 5号機と 6号機がストップした影響で、供給量は 200万キロワット減少した。
また 11月 20日には 70万キロワットの発電量を持つ月城1号機も設計上の寿命を迎えるため、当分は稼働が停止する見通しだ。
これら3基の発電能力は計 270万キロワットだが、これが供給されないとなると、計算上では需要が供給を上回るようになる。
1回でもブラックアウトが発生すれば、被害は11兆ウォン(約8100億円)に上ると専門家は試算している。
[追記] さらに三号機にも異常が見つかる。
韓国原発で亀裂6か所、電力供給危機の可能性
読売新聞 2012.11.09
韓国原子力安全委員会は9日、南西部・全羅南道(チョルラナムド)の霊光(ヨングァン)原発3号機で、原子炉の出力を制御する燃料棒を通す「案内管」に6か所の亀裂が見つかったと発表した。
同原発の5、6号機は今月5日、品質証明書を偽造して納品された部品が大量に使われていたことが発覚し、交換のため運転を停止している。韓国メディアは、この2基に加え3号機の運転再開も年内に実現しなければ、来年初めの電力供給余力はゼロになる可能性もあると伝えた。