シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0129■仕方がないこと

2005-12-30 | 猫の海外暮らし
2005年最後の配信なんだってニャン。いろいろありがとう。生きてるし、元気で新しい年を迎えるよ。来年もよろしくニャン。
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二本足がたくさん来てワイワイやってた。
最近じゃ、よくあることだ。おいらたちはヤレヤレと、アイツらの部屋にいた。夜だし、外に出たかったけど、ドアを開けてくれるどころじゃないだろう。がまんしてアニキとくっついてた。

そのうち、みんな出てった気配。
「終わったな?」
リビングに行くと、電気はついてるけど誰もいなかった。ソファーに乗ってみる。
いろんな二本足のにおいがして、頭がクラクラする。

しばらくするとアイツが走って帰ってきた。驚いた、スゴいにおいだ! なんなんだ? ソファーに座っておいらを抱くと、アイツは、
「ネコが、ネコがクルマにひかれちゃったの。どうしよう!」
と言った。
ネコが?
クルマに?
ひかれた・・・ってなんだ?

おいらは身をよじってアイツの腕から逃げた。抱っこは嫌いじゃないけど、このにおいは不吉すぎた。他の四つ足、しかも相当弱った四つ足のにおい。クルマとなにかあったんだろう。

「ピッピー、どうしよう。どうしよう・・・」
と言いながら、アイツは泣いていた。おいらはにおいをがまんしながら、そこにいた。ドアが開いてたから外に出られたけど、なんとなくそうした方がいいような気がした。このにおいは普通じゃない。アニキも出てきて、盛んにアイツの足の指のにおいをチェックしてる。

話はこうだった。アイツは家の前で、この先の家の四つ足がクルマにぶつかるのを見たらしい。すぐに抱いて家に連れてった。それで、こんなににおうんだ。あの耳が聞こえないヤツだろう。ヤツは交信もしないし、人形みたいにじっとしてるから、誰もケンカを売らなかった。
においもわかってなかったのかもしれない。

アイツはかわいそうだと泣くけれど、これは仕方がないこと。ヤツはおいらが見た、あの橋を渡ったんだろう。音もにおいもわからなくても、橋の向こうになにか見えたのかもしれない。それがなにか見たかったんじゃないのか?

1匹で生まれて来るように、1匹で橋を渡るんだ。
それは誰にでも起きること。心配いらないのさ。(来年もつづく)

(アイツが見たこの話はこちらからどうぞだニャン)


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