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シロ猫ピッピの「おいら物語」

生死をさまようガン闘病中に人間の言葉がわかるようになったシロ猫ピッピの物語。ニュージーランドからお送りしています!

Vol.0200■あれから10年

2006-10-10 | 猫の病気
おいらのメルマガ200号!
スッゲー続いたよな~。まだ生きてるからね、おいら。
ちょうど2年前に始まったんだ。最初はこんなだったんだぜ。
なんでおいらが話せるかは、こっち
こっちからどーぞだニャン。
(メデタイしね、きれいにしなきゃ。ペロペロ→)
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おいらの悪性リンパ腫とかいうガンが治ったのは2004年4月23日。
・・・って、おいらはそんなこたぁ知らないけど、そうなんだと。
なんでこの日かって言うと、アイツが決めたから。
なんでそう決めたのかはアイツが書いた「闘病日記」でどうぞだニャン。

で、それから2年半経ったんだと。
これもアイツがそう言うから。
で、それは四つ足のトシで言うと10年なんだと。
これもアイツがそう言ってる。

10年っていうのはうちの小さい子が生まれてから今までくらいの長さらしい。
ぜんぜんよくわかんないけど、そういうことなんだと。二本足はそう決めてるらしい。
まぁ、その、いっぱい生きたってことだよな?

「悪性リンパ種にかかったネコは治療が成功しても1年半後の生存率は10~15%なんだとさ。生き残った以上、おいらは10~15%に入って長生きするぞ~!アイツは20年生きろと言ってるけど。」
って、ネコ屋敷のプロフィールにあるけど、ホント長生きしてるよ、おいら。


これって15匹の悪性リンパ腫の四つ足がいたら1匹しか残んないってことなんだってな?
15匹って・・・・、いっぱいじゃないか!

前に話した図々しい「黒トラ」
跳べるけど歩けない「ジャック」
前の家の隣のいつもヒマな「オブリ」
もう1軒の隣の家に住んでた「リリー」
ずっとオブリと間違えられてた「イライジャ」
どっから来たのか知らない服を着た「ヨボヨボ爺さん」
迷子になった「ベージュ」

今の家によく来る「スィン」
犬みたいにデカくておいらの庭でウンチまでしてく「犬ネコ」
アニキにそっくりだけど顔が汚い「偽アニキ」
1回しか見たことないけどオブリの黒をトラ模様にしたような「トラオブリ」
こいつも1回だけ遠くから見たこの辺じゃ珍しいおいらみたいなシロ猫
オブリをもっと黒くして足の先っぽだけ白くさせたような「タビ」
そして、アニキとおいらを全~部合わせたくらいってことだろ?
おいらの知ってる四つ足全部じゃないか!

そん中の1匹ねぇ。ふーん。
まぁさ、これからも生きてくよ。あったかくなったし、ガンもなさそうだし、痛いとこもかゆいとこもないし。生きてくにはちょうどいいぜ。

メルマガの200号も、いっぱいってことらしいな。
読んでくれてありがとニャン。おいらが生きてる限り続くぜ。

(↑よし、きれいになったぜ!これからもよろしくニャン)
(つづく)

Vol.0196■長生きは三文の得

2006-09-26 | 猫の病気
ずい分、小さい二本足が来た。ヨチヨチ歩いておいらたちのご飯のところへ。
カリカリをつまんだ。喰う気らしい。
「ダメよ。これニャンニャンのなの。ばっちーからね。」
とアイツ。
おいおい、おいらたちはばっちーもん喰ってんのか?
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「チャッチャ、痩せてきてない?暖かくなったとはいえ、ちょっと痩せすぎじゃない?頬もこけてピンクパンサーみたいでしょ?茶色だけど。」
アニキの調子を心配するアイツ。
「そう?」
アニキが大好きなくせに、なんにも知らない連れ合い。

アニキは元気がなかった。外に行かないし目にも力がない。
糖尿病のせいだろう。
こんなにあったかくなったら、普通は元気になるもんさ。
(←日向ぼっこも家の中ばかり・・・)

心配になったアイツはインシュリンをちょっと減らした。
そうしたら、もっと元気がなくなった。
前足にあごをのっけて動かないアニキ。ネコ正座もしないし、歩き回らない。
トイレに行って水飲んで、ソファーに戻ってまた前足にあごをのっけて・・・

「医者に連れてくか?」
と、連れ合い。
「もうちょっと様子を見ましょう。」
と、アイツ。クルマになんか乗せたらもっと大変だぜ。

アイツは新しいコンゴウケズリブシの袋を開けた。
プ――――ンといいにおいが、ソファーにいたおいらのところまでにおってきた。
これはアニキの大好物。
アイツはそれをアニキの好きなツナ缶に山盛り混ぜた。

腹が減ってるときにインシュリンを打つと、アニキはホントに倒れちまう。
打たないとどんどん弱る。
弱ると喰わない。
喰わないと打てない。
打つなら喰わなきゃ。

「いい?インシュリンの量を元に戻すからしっかり食べてね。」
アイツはアニキにそう言って、目の前に大盛りのボールを置いた。

ハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフ
ハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフハフ

アニキは3杯喰った。
やっぱりネコがいい。

「いいぞ、チャッチャ。“長生きは三文の得”って言うからな、しっかり喰うんだぞ。」
と、連れ合い。
「長生きしても三文しか儲からないの?」
とゲラゲラ笑うアイツ。
とにかくこれで、アニキは元気になってきた。
(つづく)


Vol.0194■橋を渡って

2006-09-21 | 猫の病気
元気なかったアニキも元気になってきた。
アイツはあいかわらずアニキの好きなネコ缶が入ったボールを持って追いかけ回してる。
糖尿病の四つ足はインシュリンを打つ前に喰っとかなきゃいけないから、こうなるんだ。
元ガンの四つ足にはなんにもないけどね。
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アイツの頭ん中にいた茶色の四つ足。
この辺のやつじゃなかったけど、アイツの頭のテレビを見てるうちにすっかり覚えちまった。そいつは病気だった。喰ったり飲んだりしなくなっても、けっこう元気だった。

でも、死んだんだ

見たこともにおいをかいだこともないやつだったけど、こんだけしょっちゅうテレビで見てると交信みたいになんのさ。ぼんやりなんかを感じる。
それが急に消えたんだ。

二本足だってわかるだろう?誰も見てないテレビを誰かが消すと、家の中が静かになる。
「わー、静かー。」
って誰かが言う。あれとおんなじ。
消えたときに、なにかあったって気がつくんだ。

出かけてたアイツは帰ってきてパソコンを見て、やっと気がついたらしい。
そいつの写真を見ながらジーっとしてた。そいつのこと、おいらのこと、アイツの頭ん中にはいろんなものが次から次へと出てきた。

あの茶色の四つ足は橋を渡ったんだ。
いつかおいらが見た、それまで一度も見たことがなかった四つ足にぴったりな小さな橋。
世の中なんでもかんでも二本足用にできてるのに、その橋だけは違った。
あのときのことは前に長い長い話をしたから、こっちから見てくれよな。

きっと、あの橋を渡ったんだろう。

橋を渡るのはワルいことじゃない。いつかは1匹であの橋を渡るんだ。
生まれてきたときに突然やってきたように、突然行くのさ、あの向こうに。
多分ね。
苦しくないし、怖くもない。特に楽しくもないけど、寂しくもないぜ。
そんなに遠くでもワルいところでもなさそうだった。

ただ渡ったら戻れない―――ってこと。

いつか渡るときが来たらわかるぜ。おいらは橋を見たけど、渡るときじゃなかったみたいなんだ。
戻ってきちまったからね。
鈍い二本足にも、渡るときがきたらわかるんじゃないか?

だからあんまり悲しまないほうがいいぜ。
いつかはみんな橋の向こうへ行くんだ。
そこでまた一緒になるんじゃないか?
二本足は見えるものしか覚えらんないけど、おいらたちはにおいで覚えてるから、誰が誰かそんなに簡単に忘れないぜ。
そっちこそ、ちゃんと覚えてろよ!

(↑橋の向こうでまた一緒になるんだってば。)
(つづく)

Vol.0190■おいらは待った 

2006-09-06 | 猫の病気
おいおい、なんだよ。自分のメルマガばっかUPしてさ。
まるでおいらが忙しいみたいじゃないか。
しばらくでゴメンよ。
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最近、アイツの頭ん中のテレビにはおいらの知らない四つ足がよく出てくる。
毛の長い茶色の四つ足だ。この辺じゃ見かけない顔。
「?」
と思ってたら、どうもそいつは病気らしい。心配してるんだ。

リンパ腫とかいうガンになったときのおいらとおんなじように、
そいつは喰ったり飲んだりしないんだと。
ふ~ん。
あのときのことはそんなによく覚えてないから、うまく言えないけど、喰えなかったし、飲めなかったんだ。
(おいら、流動食中。よく覚えてないけど→)

からだの中が熱くて苦しくて、なんかを喰うなんてとんでもなかった。
(←おいら、点滴中。これもよく覚えてないけど)
苦しくて苦しくて鳴きつづけたあとは声も出なくなった。
鳴く力もなかった。

喰えないくらいだから毛づくろいもしない。
こんなにきれい好きなおいらたちが毛づくろいしないのは、よほどのことなんだ。



においもわかんない。
音も聞こえない。
見えてても見えない。
まばたきもしない。
目はバリバリで口はカラカラ。
でも、飲めないし喰えなかった。
(点滴中は動けないようにケージの中、・・・だったらしい→)
それぐらいからだの中がめちゃくちゃだったってこと。

ケガなら舐められるけど、からだの中じゃ舐めらんない。
おいらは待った。
舐めらんないなら、熱いのと苦しいのがなくなるまで待とうと思った。
でも、いつもみたいにしてたら熱いのと苦しいのとで死んじまうかもしれないから、感じないで忘れることにした。


においも、
味も、
音も、
見えるものも、
アニキのことだって・・・



(↑あとは「トランスファーファクター」飲んで暗くして、ひたすら寝るんだ。でも目が覚めると家だったし、アイツらがいた。そこはちょっと覚えてる。で、また寝んのさ。待つには寝るのが一番。)

信じらんないかもしれないけど、おいらたちにはそんなことができんのさ。
やろうと思えばね。それで、おいらは今でもここにいるんだぜ。

アイツが書いたおいらのガンの話はコッチで↓
「ペットプロジェクト」
「ペットプロジェクト その2」
「ペットプロジェクト その3」
(つづく)

Vol.0133■アニキと糖尿病

2006-01-13 | 猫の病気
ちょっと見ないうちに近所の子ネコが大きくなってるんでビックリだ。それだけおいらたちは古くなってるってことか?だからなんだってこともないんだけどさ。
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アニキは糖尿病だ。もうずっとそうだ。
糖尿病だとなにがどうなるのか、おいらにはよくわからない。苦しそうでも痛そうでも辛そうでもない。でも、あるとき、ビックリするくらいガブガブガブガブ水を飲みだし、これまたビックリするくらいシャーシャーシャーシャーおしっこを始めた。
そしてガリガリに痩せ始めた。
(糖尿病でね~、大事にしてくれニャン。抱っこより掻きがいいニャン→)

ちょうど、アイツらが旅行に行く前でガタガタやってた頃だ。アニキの顔はみるみる小さくなった。元気もなかったかな?でも、それ以外は普通だった。アイツらは気がつかないまま、旅行に行っちまった。

何度も朝になったり夜になったりして、アイツらが帰ってきた。
「あれ~?チャッチャ~、ちょっと痩せてない?」
さすがにアイツが気がついた。
「そっか、ママたちがいなくて寂しくて食欲不振になっちゃったのね~♪」
と言いながら、いつものようにヒョイッと抱いた。

アイツの顔色が変わった。
「おかしいわ、こんなに軽いなんて。痩せ過ぎだわ。10日でこんなに痩せられる?ほら、背骨だってこんなにゴツゴツしてる!」

次の日、アニキは獣医に連れていかれた。一生懸命嫌がってたけど、ムダだった。バッグに入れられ、アイツと一緒に、おいらが大嫌いな上下に動く四角い部屋の中に消えていった。

帰って来たとき、アニキは糖尿病だった。
「これから一生注射を打つのよ。朝晩とね。がんばろうね、チャッチャ!」
アイツはそう言い、張り切ってる。理由がわかってホッとしたんだろう。
それからアニキはずっと糖尿病だ。おいらのガンが治っても、まだ糖尿病だ。そして、毎日注射を打ってる。
(つづく)