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インテリアコーディネーターのブログ。
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10月26日 一棟貸し宿 京宿家 豊園くれない庵

2010-10-26 | インテリア/建築
1月22日に初投稿1月26日に「その2」2月27日に「その3」として、現在5棟ある「京宿家」のうち、工事を担当した「豊園くれない庵」について取り上げました。
今日は、それらの記事と多少重なるところもありますが、この宿の改装のポイントとなるところ、お泊りの際にはぜひ、見て頂きたいところを紹介したいと思います。

①玄関手すり

サクラです。
これは新たに用意した材ではなく、この建物にもともとあったものを再利用。
某リフォーム番組じゃなくても、コレくらいはします!(笑)

写真が暗くてわかりにくいと思いますが、コレがもとの姿。床の落とし掛けでした。
大工さんにちょっとした造作を加えて頂くと、バリアフリー条例の基準を補うための手すりもこんなに素敵に生まれ変わります。

②型板ガラス

玄関框を上がるとちょうど目に付く場所にはめ込んだ型ガラス。
実はコレ、たまたま訪れた他の担当者の現場で捨てられそうになっていたものを救出してきたもの。あんまりガラスがかわいかったので、考えもなくキープしていたのですが、やっと日の目を見ることができました。
UPにするとこんな模様です。

日本では高度経済成長期の住宅建設とアルミサッシの普及に伴い、型板ガラスが普及しました。特に1961年から75年頃まで「型板ガラス戦争」と呼ばれる激しい販売競争があったそうです。これはその頃のもの。
ちなみに、それらのガラスには全て名前が付いているんです。改めてオシャレな時代だったのだなぁ。と思います。
このガラスは「野道=のみち」という名前がついていました。「田畑の中を歩くようなイメージ」なのだそうですが、実は「外国の布地の柄がデザインのヒント」になっているのだそう。
60年代の日本を思い浮かべながら、見て頂くと、ガラスだけではなくその背景にある風景が見えて来るかも知れません。

③洗面

洗面化粧台の正面の壁に段差を付けました。
出ている部分には鏡を設置、一部を凹ましてガラスモザイクを施工。「くれない庵」の名称に合わせて紅色がチラホラ入るものを探しました。

④洗面入口建具

大工さんの技が光るおさまり。玄関扉を開けて正面に見える場所ですから、ただの建具枠ではなく、このような繊細な技術が活きます。

⑤浴室

この写真ではわかりませんが、天井の高さを確保するため、勾配天井になっています。
また、漆黒のタイルの中に紅色のタイルを1枚。あらゆる場所にさりげなくテーマカラーが散りばめました。

⑥和室
 
オリジナルで製作した襖です。紅色の使い方がポイント。
また、こちらの畳表はいぐさではなく、和紙を採用。いぐさに比べて色褪せしにくく、耐久性・防汚性に優れ、ダニ・カビの発生を抑えます。

さりげなく、竹が埋め込んであったり・・・。
宿泊の際に探してみてください。

⑦寝室
 
京都の町家には今もたくさんの井戸が残っています。こちらにも涸れてしまってはいましたが、残っていました。着工前にお祓いをして埋め戻します。
当時のままの吹き抜けや天井を残し、京町家ならではの空間を愉しんで頂けます。

⑧板間
 
建物の雰囲気に合わせて作成したキッチンです。こげ茶色のタイルに紅色のタイルを散りばめました。

⑨その他
 

建具のちょっとしたおさまりや、下地窓など、細かいところの小さなコダワリを見つけて帰ってください。

⑩京宿家
 
そして、これらがオリジナルの表札とのれんです。
京宿家の顔となるこの2つのアイテムは、京宿家ブランドを持つ全ての宿泊施設に同様のものが設置されています。とても控えめな表札ですが、これを目印にお越しくださいね。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (さぶ)
2010-10-26 19:39:59
手仕事の温かさを感じます。
いいですねー。
畳表に和紙があるとは知りませんでした。
ちょっとした驚きです。
返信する
Unknown (ogawa)
2010-10-28 09:26:20
いぐさのにおいがしないのが、残念な点ですが、丈夫でメンテナンス性も良く、色褪せもしないのが魅力的です。
宿や賃貸物件など、いつまでも完成当初の美しさを保ちたい建物には、ピッタリだと思います。
返信する

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