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インテリアコーディネーターのブログ。
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2月22日 京からかみ 工場見学

2011-02-22 | イベントレポート
先日、京からかみの製作過程を見学させて頂けるということで、京都市上京区にある山崎商店さんに行ってきました。

ご用意頂いていた版木は大正時代の手彫りのもの。

桜の版木です。

ちなみにこちらが機械彫り。合板でつくられています。
サイズは9寸5分。
このサイズで、版を襖紙に押して行った時に、仕上がりがバランスの良いデザインに仕上がるようにすることが本当に難しい。とおっしゃっていました。
昔の人のバランス感覚がどれほど優れていたのか?が良くわかります。

紙は版を押す表側を内にして巻かれています。その為、まずはこの巻きグセを取る作業が必要です。反対向けにくるくる巻いて、1日~1日半もの間、紙を寝かします。

次に版木の寸法を丁寧に測ります。
湿気の具合で版木のサイズが変わるため、毎回必ず測るのだそうです。

版木のサイズに合わせて紙に記しを付けます。

いよいよ唐紙文様を付ける作業に入ります。
版木に色を付けるためには、写真のようにうちわのような「ふるい」と呼ばれる道具を使います。このふるいにハケで色を付けます。今回見せて頂いたのは、ふのりにキラと黄土を混ぜたものです。
ふのりは漢字で「布海苔」と書きます。

乾燥ふのりを良く煮て溶かし、どろどろの糊状にします。

↑これがその様子。
温度に敏感で腐りやすく、扱いが大変なのだとか。

そしてこれが、ふのりとキラ・黄土を混ぜたものです。

ふるいにのせた色粉を丁寧に版木に付けていきます。
その後、いきなり和紙に刷るのではなく、まずは新聞紙で試し刷り。色のノリを確認します。

それからようやく、襖紙に刷っていきます。
この時、ばれん(版画を刷る時に一般的に良く使われる圧力をかけて色を染み込ませる道具)は使わずに、手を使うのだそうです。
また、キラを使う場合は、付着が弱いので、必ず2度刷りをします。

このような感じで刷られていきます。

新調にサイズを合わせていますが、矢印で示すような隙間ができます。
これが、機械印刷ではない手刷りの味でもあります。色のノリも微妙に違うので、全く同じものは作れません。色も同じ。
数日後に、同じものを。と言われても全く同じ色は出せないのだとか。
まさに一点もの。
このようにして作られる唐紙は、同柄で、ただ刷るだけでも1時間でたった3枚しかできません。
手間ひまかけて作られる1枚の襖紙。
とても贅沢な一品ですが、ぜひ、おすすめしたいアイテムの一つです。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひつじ年)
2011-03-17 00:06:41
京からかみの工場見学なんて、貴重な経験ですね。

それにしても、版木を毎回測るというのは驚きです。
職人の勘(?)的な要素が強いのかと思っていましたが、緻密な計算の上に成り立っているのですね。

又「隙間」というのが「からかみって、いつまででも見てられるわ~」の秘密なのかも知れませんね。
一般的な隙間なしのプリントには、一種の圧迫感があるような気がします。
「隙間」が微妙な揺らぎというか、飽きのこないデザインを成立させているのかもしれません。

もし版木がもっと大きかったり、それこそ襖サイズ
だったら・・・?!
多分デザインに飽きたり、扱いが大変で後世に残らなかったかもしれません。
人の手になじむ大きさ、刷り上りとの兼ね合い、など試行錯誤の結果、最もよいバランスの「隙間」が生まれたのでしょう。

長々と唐紙LOVEを書き込んでしました。
唐紙のよさを一人でも多くの人に知ってもらいたいですね!
返信する
Unknown (ogawa)
2011-03-17 09:23:29
今、ハチセにこれほど唐紙が浸透したのもひつじ年さんのおかげと言っても過言ではありません。
ひつじ年さんと和紙のショールームに訪れることができて、私もとても楽しかったです。
襖紙としては、とても高価なものではありますが、「それでも使いたい!」とまずは社員が思ってくれるきっかけになったような気がします。

ありがとうございます!
返信する

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