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あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

加悦SL広場の保存車両たち②

2018-04-24 | 京都府


加悦駅舎を模した資料館は、エントランスとしても機能している。

長らくご紹介してきた加悦SL広場の保存車両群ですが、いよいよこの記事が最後となります。
今回は、同広場に保存されている機関車たちをご紹介したいと思います。



エントランスから入場すると、まず見えるのが非常にレトロな車両たち。
向かって左側は、1261号機関車+ハブ3。1261号は1923年に製造された機関車で、鉱石輸送に使用されていました。後ろに繋がるハブ3は1889年にドイツで製造されたそうです。
向かって右側に展示されているのは、2号機関車+ハ4995。2号機関車はなんと1873年製造!翌年に開業した大阪~神戸間での運行に用いられ、「陸蒸気」と呼ばれた存在です。鉄道院時代は123号でしたが加悦鉄道では2号として使用され、廃車後も丁寧に保存されました。2005年には「123号機関車」として国の重要文化財に指定されています。後ろのハ4995は「マッチ箱」として親しまれた車両で、こちらは1893年製。非常に歴史のある車両たちが出迎えてくれる訳です。



その反対側には、国鉄を代表する巨大機たちが鎮座しています。C57 189とC58 390、どちらも当時の加悦町が展示用に国鉄から貸与を受けたものだそうです。あまり状態が良くない、と言うかそもそもあまり手を入れられている雰囲気もなく、加悦鉄道と縁のない彼らはひっそりと端で佇んでいました。



その隣に展示されているのは、103号機関車。こちらも加悦鉄道とは直接関係のある車両ではなく、2003年に閉園した宝塚ファミリーランドからやってきた車両です。製造当時は長門鉄道に在籍し、その後東洋レーヨンへと譲渡されて活躍。1964年に引退し、その後は宝塚で展示されていたそうです。



ターンテーブルから放射状に伸びた線路上で展示されているのは、4号機関車です。こちらは1934年に河東鉄道(現在の長野電鉄)から譲渡されたもので、1967年まで現役でした。だいぶ稼働率は高かった様で、在籍中は主力として活躍したそうです。



同じく放射状の線路上にて展示されているこちらは、DC351。1956年に南部鉄道(現在の岩手県北バス南部支社←南部バス)が製造し、1967年に加悦鉄道に譲渡されたものです。工場側線での入換作業に従事し、現在も綺麗に保存されています。



日本専売公社の専用線にて活躍していたKD-4、いわゆる“カトーくん”ですね。1999年に当広場に入線し、2008年に動態保存化されました。



1963年に神奈川臨海鉄道にて製造され、日本治金の専用線入換機として活躍したDB202。動態保存されており、こちらでも入換なんかに使われることがあるとかないとか。

この他にも車両がいるはずですが、修繕中なのか見当たりませんでした。いつか再訪した際には、綺麗な姿を見せてくれると良いのですが。
以上、加悦SL広場で保存されている車両たちでした。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日13時頃














加悦SL広場の保存車両たち①

2018-04-17 | 京都府


さて、長らく紹介してきた加悦SL広場の保存車両ですが、筆者の趣味的に旅客用気動車以外の車両たちの画像が少ない(and見識も少ない)ため、2記事に分けて一気のご紹介したいと思います。1両ごとの詳しい説明が気になる方は、是非現地へ。



まずはご紹介するのは、ハ21です。その製造年、なんと1893年!いまから百年以上前のものになります。鉄道省新橋工場製の同車、1972年まで現役だったとか。



続いては、ハ10。こちらは1926年製造の車両で、ダブルルーフが特徴的ですね。帯の示す通り車内は二等客席と三等客席に分かれていますが、現役当時は仕切り板を外して運用されたそうです。



車内はこんな感じ。明かり採り窓がなんともお洒落ですね。この部分は三等客席で、奥の仕切り板(廃車後に復元)の先が二等客席ですが、あまり違いは分からなかった記憶が…。



こちらは、キ165。ご存知の方も多いかと思いますが、国鉄時代に製造され、その後各地で私鉄に譲渡されたラッセル車です。青森県の弘南鉄道等では現在も活躍していますが、こちらのキ165は路線廃止と共に役割を終え、以降こちらで保存されています。日常的に降雪のある地域ではよく保存されている所を見かける形式ですね。



編成然とした状態で展示されているのは、ヨ2047+ワブ3+DB202です。いかにもな貨物列車と言った感じですが、中でもヨ2047はヨ2000形唯一の生き残りであり、大変貴重な存在となっています。



カフェカーとして利用されているのは、東京急行電鉄から譲受したサハ3104。とは言っても、カフェカー用に改装された際に車体自体に大幅に手を加えているため、「車両らしきもの」へと変貌を遂げています。なお実車は、1960年代後半にラッシュ時用に客車として使用され、1972年に廃車。その後側壁が撤去されて広場の休憩所として使用されていましたが、1996年にカフェへと改造されたそうです。



サハ3104の隣には、南海電気鉄道からきたモハ1202が鎮座しています。こちらは加悦鉄道とは縁の無い車両ですが、1995年に展示用に譲り受けたとか。そうならばもう少しちゃんと展示してくれよと言った状態ですが。。。



この記事の最後にご紹介するのは、京都市電N5。駐車場に唐突に置いてあるこちらの車両。正確には狭軌1形23号と言うらしいです。詳細は割愛。

さて、後半では機関車群をご紹介したいと思います。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日13時頃



加悦鉄道キハ101形/加悦SL広場

2018-03-29 | 京都府


引き続き、加悦SL広場の保存車両をご紹介したいと思います。
今回は、非常に珍しい形態を持つ気動車「キハ101形」を解説して行きます。



キハ101形は、1936年に加悦鉄道が自社発注で製造した車両です。元々はガソリンカーでしたが1962年にディーゼルエンジンへと換装され、1972年にキハ08 3が入線するまで活躍しました。
以前ご紹介したキハユニ51と同じくバケットカーであり、前面にデッキが設置されているのが特徴的です。車体長は11m級と非常に小さく、当広場で展示されている気動車の中でも目立つ存在です。



そんなキハ101ですが、もう一つ非常に大きな特徴があります。見づらい写真で申し訳ないのですが、上の画像と台車付近を見比べて頂けるとその違いがお分かりになるでしょうか?
実はこのキハ101、「片ボギー」と呼ばれる構造をしています。つまり、片側は一軸台車、もう片側はボギー台車と言うヘンテコな構造をしています。設計の意図が気になりますね。
しかもなんと、この車両動態保存だそうで…いつか動く姿を見てみたいものです。。。

次回も引き続き、加悦SL広場の保存車両を紹介します。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日13時頃



加悦鉄道キハユニ51形/加悦SL広場

2018-03-23 | 京都府


引き続き、加悦SL広場に保存されている車両をご紹介して行きます。
今回は、前回までに記事にした2両が来るまで主力であった、キハユニ51形をご紹介します。



転車台の周りに放射状に伸びる線路、そしてその上にズラリと並べられた加悦鉄道の車両たち。当広場の注目ポイントの一つとなっているこの転車台一帯の最も右寄りにて展示されているのが、キハユニ51形です。
キハユニ51は、1936年に芸備鉄道(現在のJR芸備線)によって製造された車両です。その形式名が表す通り、三等客室と郵便・荷物室の合造車であり、車体の1/3は郵便・荷物室となっています。
加悦鉄道には1962年に入線し、車内を全室客室化、キハ51となりキハ10 18の入線まで活躍しました。1994年には荷物室を復元し、キハユニ51形へと復帰、現在へと至っています。



この車両の特徴は、なんと行っても前面に取り付けられたバケットでしょう。昭和初期、地方鉄道の気動車を中心に流行したバケットを装備した姿は非常に印象的です。バケットカーの保存車は幾つか例がありますが、大型のボギー車でバケットが取り付けられた車両は殆ど残されておらず、貴重な存在と言えます。



当然ながら、車内は木張りとなっています。床の若干ヨレた木材が軋むのはなかなかのスリルでした。



復元された荷物室。郵便物を仕分けしていたであろう棚が設置されていますね。棚の左に写る扉は施錠されていましたが、どうなっているのでしょうか。

次回も引き続き、加悦SL広場の車両をご紹介して行きます。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日14時頃






加悦鉄道キハ10型キハ10 18/加悦SL広場

2018-03-16 | 京都府


最末期の主力車両2種が集う。

さて、前回から引き続き、当記事でも加悦SL広場の保存車両をご紹介したいと思います。

前記事でご紹介したキハ08 3と共に、加悦鉄道の最末期を支えたのが、国鉄から譲り受けた両運転台付き気動車、キハ10 18でした。



1974年にキハ08 3を譲受した加悦鉄道でしたが、依然として予備車として古典的な気動車を使用せざるを得ない状況でした(次記事辺りで詳述します)。
そのため、キハ08 3から遅れること6年、1980年に国鉄から譲渡を受けて入線したのが、キハ10 18でした。
キハ10形と言えば多くの方がご存知の通り、キハ10系グループの両運転台付き車です。1980年と言えば同系列の国鉄での末期であり、キハ10形も1981年には全車が除籍されています。

加悦鉄道に譲渡されたキハ10 18は、1956年に福知山機関区に新製配置され、豊岡にて廃車となった車両です。一度もこの地域を離れたことのない車両なんですね。



広場内では、出入り口となっている旧加悦駅舎のすぐ脇に設置され、なかなか目立っています。また、入園しなくても車内に入れるので少しお得かもしれません。とは言え、車内は壁で仕切られ、座席も撤去されていますので、原型とは程遠いものとなっていましたが。
広場内から撮影しても、現在は樹木が前面を塞いでおり、撮影は難儀…なんだか扱いがあまりよろしくない様に感じてしまいます。もちろん残してくれているだけで感謝感謝なのですが。。。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日14時頃