4月19日、関東に新たな鉄道テーマパークが誕生しました。
小田急電鉄が、看板特急である「ロマンスカー」の歴代形式を保存・展示する為に建設した、「ロマンスカーミュージアム」です。
タイミングを合わせて訪問することが叶いましたので、画像多めでご紹介したいと思います。
小田急電鉄では、初代ロマンスカー3000形「SE」から引退時期が一番最近である7000形「LSE」までの各ロマンスカーを保存していました。
しかし、複々線完成に伴うダイヤ改正に向けて車両数を増加させる上で、従来各形式を保存していた喜多見検車区が手狭になって来たことから、2017年に保存車両の整理を行いました。
そして、この動きの中でそれらの保存車両の一部を展示する施設が建設される事になり、保存してきた歴代ロマンスカー(と1形電車)を保存するべく完成したのがこちらの施設です。
館内には実に11両の車両が展示され、その名の通り歴代ロマンスカーが勢揃いしています。
入館しエスカレーターを降りると、早速こんなの車両が。
こちらは、小田原急行鉄道(現在の小田急電鉄の前身)が開業時に用意した1形電車の内、熊本電鉄に譲渡され1981年まで活躍していたモハ301を買い戻し、モハ10として復元したものです。
前回の記事で紹介した日立電鉄モハ1006(←モハ18)も元は同じ形式であり、かたや綺麗に屋内保存、かたや解体と、それぞれ引退から時が経った今年が転機となりました。
さて、歩を進めると、そこにはファン垂涎な光景が広がっていました。
歴代ロマンスカーがズラリ。
「ロマンスカーギャラリー」へと一歩足を踏み入れると、精悍な顔つきの歴代ロマンスカー達が非常に美しい状態で展示されていました。
早速個々の車両達を撮影。
最も手前に展示されているのは、2018年10月まで本線で活躍していた、7000形「LSE」です。ミュージアム内では最も最近まで活躍していた形式で、展示されているデハ7003は最後まで残った7003Fの新宿方先頭車でした。さよならツアーに抜擢された姿は記憶に新しいところです。
続いて隣に並ぶのは、3100形「NSE」。1996年に引退し、6両編成で残されていた3221Fの内両先頭車であるデハ3221、デハ3231、及び中間車で喫茶室付きであるデハ3223が無事保存されました。こちらは新宿方先頭車であったデハ3221で、ミュージアムに収蔵される為の整備が行われた際に愛称表示器が原型に復元されました。
反対側の先頭車であるデハ3231はさよなら運転の装飾のまま展示されています。この姿で何度もファミ鉄展に展示されましたので、見た事がある方も多いのでは。
3100形は車内に入れますので、忘れずに記録してきました。
特徴的な赤いモケット、展望車へと続く座席は、全鉄道ファンの憧れですね。
一番左に展示されているのは、不朽の名車、3000形「SE」です。
国鉄線上での狭軌最高速度(当時)達成、第一回ブルーリボン賞の受賞等、数々の偉業を成し遂げてきた、ロマンスカーの歴史を語る上で欠かすことのできない形式、それが3000形です。
小田急では輝かしい功績を持つこの形式を永久保存する事を決定し、3021Fの内新宿方先頭車であるデハ3021の先頭部を原型に復元し、5両編成のまま海老名検車区内の専用庫にて長年保存していました。
ロマンスカーミュージアム建設に際し、編成の内両先頭車であるデハ3021、デハ3025、及び中間電動車であるデハ3022がお色直しを受け、当館へと搬入されました。
反対側の先頭車は後年SSE車として改造されたままの姿となっており、編成内で2つの前面形状を楽しむことができます。
NSE車より暗めの色合いとなっているSE(画像はSSE車)の車内。天井が非常に低く、普通に立っても頭が当たりそうになったのが印象的でした。
さて、これら3形式が展示されているゾーンを抜けると、後年登場したロマンスカーが保存されているゾーンに入ります。
こちらは、1987年にLSE車の後継形式として、小田急電鉄開業60周年の記念に製造された10000形「HiSE」です。
HiSE車は2012年まで活躍していましたので、こちらも現役時をご存知の方も多いのではないでしょうか。長野電鉄に譲渡された編成は現在も特急「ゆけむり」として活躍していますので、現役の車両に実際に乗車することも可能です。
3両で保存されていた内、新宿方先頭車であるデハ10001のみが選定され、当館に落ち着きました。今まで紹介した形式は一部だけ立ち入り可能だった車内も、HiSE車では全体に立ち入ることができます。
カラフルな座席が並ぶ展望席にも実際に座ることができ、子供達に大人気の様でした。
HiSE車から見て窓側には、展示されているロマンスカーでは唯一ボギー車であるこちらの形式が展示されています。
20000形「RSE」。先ほど紹介したSSE車が最末期に運用されていた、JR御殿場線直通特急「あさぎり」の後継形式であり、HiSE車と同じく2012年まで活躍していました。
20001Fは3両で保存されていましたが、ミュージアムへの展示に際し新宿方先頭車であるデハ20001と中間ダブルデッカー車であるサハ20151のみが残され、保存されました。
なお、RSE車は2編成いた内の1編成(20002F)が富士急行電鉄へ譲渡され、「フジサン特急」として現在も活躍しています。
デハ20001の車内が公開されていますので、こちらも記録してきました。
運転台付近。
車番プレート及びブルーリボン賞受賞を表す記念プレート。
実を言うと、RSE車の周りだけは何故か人が多く、人を写さずに撮影するのに苦労しました…待った甲斐があり、どの車両も大方満足の行く記録が出来ましたが。。。
ミュージアム内にはもう一つ目玉として「ジオラマパーク」がありますので、そちらも見学してきました。
箱根湯本駅を突き抜けて出発していく(笑)、50000形「VSE」。
起点である新宿駅から箱根湯本駅、更にその先の箱根登山鉄道線区間までを再現したこちらのジオラマでは、ミュージアムで展示されている歴代ロマンスカーに現役のロマンスカー、通勤型車両に江ノ電新500形、箱根登山鉄道の各形式等が走り回っており、非常に見応え十分でした。なお、線路自体はエンドレスとなっている様で、新宿駅と箱根湯本駅はそれぞれ“その先”がある様でした。
そのままミュージアムショップでお土産を購入し、今回の訪問は終了となりました。
平日と言うこともあってか、そこまで多くの方が来ていた訳ではなかったので、各車をゆったりと記録することができました。
現在は事前予約制となっていますが、土日のチケットは完売している事が多いようなので、週末は多くの家族連れとファンが訪れそうですね。
最寄駅は海老名と、若干都心からは離れた所ではありますが、これは行く価値が大いに有ると感じました。こちらの記事を見て気になった方は、是非とも足を運んでみては。
〈物件データ〉
設置場所:神奈川県海老名市 ロマンスカーミュージアム内
開館時間:10時~18時
撮影データ:2021年5月7日15時半頃
小田急電鉄が、看板特急である「ロマンスカー」の歴代形式を保存・展示する為に建設した、「ロマンスカーミュージアム」です。
タイミングを合わせて訪問することが叶いましたので、画像多めでご紹介したいと思います。
小田急電鉄では、初代ロマンスカー3000形「SE」から引退時期が一番最近である7000形「LSE」までの各ロマンスカーを保存していました。
しかし、複々線完成に伴うダイヤ改正に向けて車両数を増加させる上で、従来各形式を保存していた喜多見検車区が手狭になって来たことから、2017年に保存車両の整理を行いました。
そして、この動きの中でそれらの保存車両の一部を展示する施設が建設される事になり、保存してきた歴代ロマンスカー(と1形電車)を保存するべく完成したのがこちらの施設です。
館内には実に11両の車両が展示され、その名の通り歴代ロマンスカーが勢揃いしています。
入館しエスカレーターを降りると、早速こんなの車両が。
こちらは、小田原急行鉄道(現在の小田急電鉄の前身)が開業時に用意した1形電車の内、熊本電鉄に譲渡され1981年まで活躍していたモハ301を買い戻し、モハ10として復元したものです。
前回の記事で紹介した日立電鉄モハ1006(←モハ18)も元は同じ形式であり、かたや綺麗に屋内保存、かたや解体と、それぞれ引退から時が経った今年が転機となりました。
さて、歩を進めると、そこにはファン垂涎な光景が広がっていました。
歴代ロマンスカーがズラリ。
「ロマンスカーギャラリー」へと一歩足を踏み入れると、精悍な顔つきの歴代ロマンスカー達が非常に美しい状態で展示されていました。
早速個々の車両達を撮影。
最も手前に展示されているのは、2018年10月まで本線で活躍していた、7000形「LSE」です。ミュージアム内では最も最近まで活躍していた形式で、展示されているデハ7003は最後まで残った7003Fの新宿方先頭車でした。さよならツアーに抜擢された姿は記憶に新しいところです。
続いて隣に並ぶのは、3100形「NSE」。1996年に引退し、6両編成で残されていた3221Fの内両先頭車であるデハ3221、デハ3231、及び中間車で喫茶室付きであるデハ3223が無事保存されました。こちらは新宿方先頭車であったデハ3221で、ミュージアムに収蔵される為の整備が行われた際に愛称表示器が原型に復元されました。
反対側の先頭車であるデハ3231はさよなら運転の装飾のまま展示されています。この姿で何度もファミ鉄展に展示されましたので、見た事がある方も多いのでは。
3100形は車内に入れますので、忘れずに記録してきました。
特徴的な赤いモケット、展望車へと続く座席は、全鉄道ファンの憧れですね。
一番左に展示されているのは、不朽の名車、3000形「SE」です。
国鉄線上での狭軌最高速度(当時)達成、第一回ブルーリボン賞の受賞等、数々の偉業を成し遂げてきた、ロマンスカーの歴史を語る上で欠かすことのできない形式、それが3000形です。
小田急では輝かしい功績を持つこの形式を永久保存する事を決定し、3021Fの内新宿方先頭車であるデハ3021の先頭部を原型に復元し、5両編成のまま海老名検車区内の専用庫にて長年保存していました。
ロマンスカーミュージアム建設に際し、編成の内両先頭車であるデハ3021、デハ3025、及び中間電動車であるデハ3022がお色直しを受け、当館へと搬入されました。
反対側の先頭車は後年SSE車として改造されたままの姿となっており、編成内で2つの前面形状を楽しむことができます。
NSE車より暗めの色合いとなっているSE(画像はSSE車)の車内。天井が非常に低く、普通に立っても頭が当たりそうになったのが印象的でした。
さて、これら3形式が展示されているゾーンを抜けると、後年登場したロマンスカーが保存されているゾーンに入ります。
こちらは、1987年にLSE車の後継形式として、小田急電鉄開業60周年の記念に製造された10000形「HiSE」です。
HiSE車は2012年まで活躍していましたので、こちらも現役時をご存知の方も多いのではないでしょうか。長野電鉄に譲渡された編成は現在も特急「ゆけむり」として活躍していますので、現役の車両に実際に乗車することも可能です。
3両で保存されていた内、新宿方先頭車であるデハ10001のみが選定され、当館に落ち着きました。今まで紹介した形式は一部だけ立ち入り可能だった車内も、HiSE車では全体に立ち入ることができます。
カラフルな座席が並ぶ展望席にも実際に座ることができ、子供達に大人気の様でした。
HiSE車から見て窓側には、展示されているロマンスカーでは唯一ボギー車であるこちらの形式が展示されています。
20000形「RSE」。先ほど紹介したSSE車が最末期に運用されていた、JR御殿場線直通特急「あさぎり」の後継形式であり、HiSE車と同じく2012年まで活躍していました。
20001Fは3両で保存されていましたが、ミュージアムへの展示に際し新宿方先頭車であるデハ20001と中間ダブルデッカー車であるサハ20151のみが残され、保存されました。
なお、RSE車は2編成いた内の1編成(20002F)が富士急行電鉄へ譲渡され、「フジサン特急」として現在も活躍しています。
デハ20001の車内が公開されていますので、こちらも記録してきました。
運転台付近。
車番プレート及びブルーリボン賞受賞を表す記念プレート。
実を言うと、RSE車の周りだけは何故か人が多く、人を写さずに撮影するのに苦労しました…待った甲斐があり、どの車両も大方満足の行く記録が出来ましたが。。。
ミュージアム内にはもう一つ目玉として「ジオラマパーク」がありますので、そちらも見学してきました。
箱根湯本駅を突き抜けて出発していく(笑)、50000形「VSE」。
起点である新宿駅から箱根湯本駅、更にその先の箱根登山鉄道線区間までを再現したこちらのジオラマでは、ミュージアムで展示されている歴代ロマンスカーに現役のロマンスカー、通勤型車両に江ノ電新500形、箱根登山鉄道の各形式等が走り回っており、非常に見応え十分でした。なお、線路自体はエンドレスとなっている様で、新宿駅と箱根湯本駅はそれぞれ“その先”がある様でした。
そのままミュージアムショップでお土産を購入し、今回の訪問は終了となりました。
平日と言うこともあってか、そこまで多くの方が来ていた訳ではなかったので、各車をゆったりと記録することができました。
現在は事前予約制となっていますが、土日のチケットは完売している事が多いようなので、週末は多くの家族連れとファンが訪れそうですね。
最寄駅は海老名と、若干都心からは離れた所ではありますが、これは行く価値が大いに有ると感じました。こちらの記事を見て気になった方は、是非とも足を運んでみては。
〈物件データ〉
設置場所:神奈川県海老名市 ロマンスカーミュージアム内
開館時間:10時~18時
撮影データ:2021年5月7日15時半頃