あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

小田急ロマンスカー各形式等/ロマンスカーミュージアム

2021-05-07 | 神奈川県
4月19日、関東に新たな鉄道テーマパークが誕生しました。
小田急電鉄が、看板特急である「ロマンスカー」の歴代形式を保存・展示する為に建設した、「ロマンスカーミュージアム」です。

タイミングを合わせて訪問することが叶いましたので、画像多めでご紹介したいと思います。



小田急電鉄では、初代ロマンスカー3000形「SE」から引退時期が一番最近である7000形「LSE」までの各ロマンスカーを保存していました。
しかし、複々線完成に伴うダイヤ改正に向けて車両数を増加させる上で、従来各形式を保存していた喜多見検車区が手狭になって来たことから、2017年に保存車両の整理を行いました。
そして、この動きの中でそれらの保存車両の一部を展示する施設が建設される事になり、保存してきた歴代ロマンスカー(と1形電車)を保存するべく完成したのがこちらの施設です。

館内には実に11両の車両が展示され、その名の通り歴代ロマンスカーが勢揃いしています。

入館しエスカレーターを降りると、早速こんなの車両が。



こちらは、小田原急行鉄道(現在の小田急電鉄の前身)が開業時に用意した1形電車の内、熊本電鉄に譲渡され1981年まで活躍していたモハ301を買い戻し、モハ10として復元したものです。
前回の記事で紹介した日立電鉄モハ1006(←モハ18)も元は同じ形式であり、かたや綺麗に屋内保存、かたや解体と、それぞれ引退から時が経った今年が転機となりました。

さて、歩を進めると、そこにはファン垂涎な光景が広がっていました。



歴代ロマンスカーがズラリ。

「ロマンスカーギャラリー」へと一歩足を踏み入れると、精悍な顔つきの歴代ロマンスカー達が非常に美しい状態で展示されていました。



早速個々の車両達を撮影。

最も手前に展示されているのは、2018年10月まで本線で活躍していた、7000形「LSE」です。ミュージアム内では最も最近まで活躍していた形式で、展示されているデハ7003は最後まで残った7003Fの新宿方先頭車でした。さよならツアーに抜擢された姿は記憶に新しいところです。



続いて隣に並ぶのは、3100形「NSE」。1996年に引退し、6両編成で残されていた3221Fの内両先頭車であるデハ3221、デハ3231、及び中間車で喫茶室付きであるデハ3223が無事保存されました。こちらは新宿方先頭車であったデハ3221で、ミュージアムに収蔵される為の整備が行われた際に愛称表示器が原型に復元されました。



反対側の先頭車であるデハ3231はさよなら運転の装飾のまま展示されています。この姿で何度もファミ鉄展に展示されましたので、見た事がある方も多いのでは。

3100形は車内に入れますので、忘れずに記録してきました。



特徴的な赤いモケット、展望車へと続く座席は、全鉄道ファンの憧れですね。

一番左に展示されているのは、不朽の名車、3000形「SE」です。



国鉄線上での狭軌最高速度(当時)達成、第一回ブルーリボン賞の受賞等、数々の偉業を成し遂げてきた、ロマンスカーの歴史を語る上で欠かすことのできない形式、それが3000形です。
小田急では輝かしい功績を持つこの形式を永久保存する事を決定し、3021Fの内新宿方先頭車であるデハ3021の先頭部を原型に復元し、5両編成のまま海老名検車区内の専用庫にて長年保存していました。
ロマンスカーミュージアム建設に際し、編成の内両先頭車であるデハ3021、デハ3025、及び中間電動車であるデハ3022がお色直しを受け、当館へと搬入されました。



反対側の先頭車は後年SSE車として改造されたままの姿となっており、編成内で2つの前面形状を楽しむことができます。



NSE車より暗めの色合いとなっているSE(画像はSSE車)の車内。天井が非常に低く、普通に立っても頭が当たりそうになったのが印象的でした。

さて、これら3形式が展示されているゾーンを抜けると、後年登場したロマンスカーが保存されているゾーンに入ります。



こちらは、1987年にLSE車の後継形式として、小田急電鉄開業60周年の記念に製造された10000形「HiSE」です。
HiSE車は2012年まで活躍していましたので、こちらも現役時をご存知の方も多いのではないでしょうか。長野電鉄に譲渡された編成は現在も特急「ゆけむり」として活躍していますので、現役の車両に実際に乗車することも可能です。
3両で保存されていた内、新宿方先頭車であるデハ10001のみが選定され、当館に落ち着きました。今まで紹介した形式は一部だけ立ち入り可能だった車内も、HiSE車では全体に立ち入ることができます。



カラフルな座席が並ぶ展望席にも実際に座ることができ、子供達に大人気の様でした。

HiSE車から見て窓側には、展示されているロマンスカーでは唯一ボギー車であるこちらの形式が展示されています。



20000形「RSE」。先ほど紹介したSSE車が最末期に運用されていた、JR御殿場線直通特急「あさぎり」の後継形式であり、HiSE車と同じく2012年まで活躍していました。
20001Fは3両で保存されていましたが、ミュージアムへの展示に際し新宿方先頭車であるデハ20001と中間ダブルデッカー車であるサハ20151のみが残され、保存されました。
なお、RSE車は2編成いた内の1編成(20002F)が富士急行電鉄へ譲渡され、「フジサン特急」として現在も活躍しています。



デハ20001の車内が公開されていますので、こちらも記録してきました。



運転台付近。



車番プレート及びブルーリボン賞受賞を表す記念プレート。

実を言うと、RSE車の周りだけは何故か人が多く、人を写さずに撮影するのに苦労しました…待った甲斐があり、どの車両も大方満足の行く記録が出来ましたが。。。

ミュージアム内にはもう一つ目玉として「ジオラマパーク」がありますので、そちらも見学してきました。



箱根湯本駅を突き抜けて出発していく(笑)、50000形「VSE」。

起点である新宿駅から箱根湯本駅、更にその先の箱根登山鉄道線区間までを再現したこちらのジオラマでは、ミュージアムで展示されている歴代ロマンスカーに現役のロマンスカー、通勤型車両に江ノ電新500形、箱根登山鉄道の各形式等が走り回っており、非常に見応え十分でした。なお、線路自体はエンドレスとなっている様で、新宿駅と箱根湯本駅はそれぞれ“その先”がある様でした。

そのままミュージアムショップでお土産を購入し、今回の訪問は終了となりました。

平日と言うこともあってか、そこまで多くの方が来ていた訳ではなかったので、各車をゆったりと記録することができました。
現在は事前予約制となっていますが、土日のチケットは完売している事が多いようなので、週末は多くの家族連れとファンが訪れそうですね。

最寄駅は海老名と、若干都心からは離れた所ではありますが、これは行く価値が大いに有ると感じました。こちらの記事を見て気になった方は、是非とも足を運んでみては。

〈物件データ〉
設置場所:神奈川県海老名市 ロマンスカーミュージアム内
開館時間:10時~18時

撮影データ:2021年5月7日15時半頃

日本国有鉄道C11形C11 245/鵠沼運動公園

2018-02-17 | 神奈川県


湘南の海沿いにほど近く、住宅街の中に広大な公園が広がっています。八部公園、または鵠沼運動公園と呼ばれるこの公園には、野球場やプールなど様々な施設が設置されており、地域の憩いの場となっています。
そんな敷地の中、野球場の脇には、少し鉄分の濃い空間が。ミニSLの周回線路に囲われたその中心に鎮座している車両が、今回の目的の物件です。



しっかりとした線路の上、立派なホームの脇に据え付けられているのは、C11 245です。ご存知の通り小型のタンク機関車であるC11、国内でも多くの車両が動態保存されていますね。
こちらで保存されている245号機は、新製配置が新発田区、最終配置が小牛田区と言う北国生まれ北国育ちの車両です。この地域とはあまり縁が無かった筈ですが、綺麗に保たれており、愛されている様ですね。「しおかぜ」のHMがこのカマの存在感をより一層引き立たせています。



後位側もこの通り綺麗に記録することができます。現役の様な黒光りは非常に魅力的です。

晴れていると撮影に苦労しますが、HMも掲げられており他の保存機とは違った表情を見ることができます。近くまで訪れた際は是非。

〈物件データ〉
設置場所:神奈川県藤沢市 鵠沼運動公園(八部公園)内
公開時間:9時~16時(月曜日と祝日の翌日は開放されていない模様)

撮影データ:2017年10月30日10時頃





横浜市交通局1500形1518/野毛山動物園

2017-07-23 | 神奈川県


その昔、主要都市の多くで人々の足として生活を支えていた路面電車。モータリゼーションの波に飲まれて多くの路線が廃止となりましたが、近年はその便利さや環境負荷の観点から評価が見直され、新設を目指す動きも出るようになりました。
神奈川の県庁所在地である横浜市にも、45年前まで路面電車が活躍していました。今回は、そんな横浜市電で活躍していた車両をご紹介します。



横浜市が運営する動物園「野毛山動物園」。多くの家族連れが訪れるこの動物園の一角に、1500形1518が保存されています。



1951年に20両が製造された1500形。1972年の市電全廃時まで活躍し、現在もこの車両を含めて4両が保存されています。
市電保存館に保存されている車両に比べたら保存状態は必ずしもいい訳では無い様に思えますが、それでも子ども達の歓声に包まれながら余生を過ごすこの車両は、きっと幸せなんだろうな…と。

〈物件データ〉
設置場所:神奈川県横浜市西区 野毛山動物園内
公開時間:9時半~16時半

撮影データ:2013年11月1日15時半頃










国鉄21-2023、東急デハ5201、デハ7052/総合車両製作所横浜事業所

2016-03-10 | 神奈川県
3月に入り、少しずつ暖かい日が増えてきました。花粉症の方には厄介な季節ですが、保存車両探訪にはうってつけな時期です。筆者も3月は多くの保存車両を訪れる予定にしています。
さて、今回ご紹介するのは、保存車両の中でも見ることがかなり難しい部類に入るものになります。訪問日は幾分古い日付となりますが、ご了承ください。



東急車輛製造。2012年まで存在したこの会社を知らない鉄道ファンは、まずいないのではないでしょうか。
現在は総合車両製作所、通称「J-TREC」と名を変え存続するこの会社は、関東に製造拠点を構える唯一の鉄道車両製造会社であると共に、現在では一般的となっている「ステンレス車体」を日本で初めて採用したことでも有名です。
鉄道車両にとって革命的な変化となったステンレス車両を初めて製造した旧東急車輛製造横浜製作所には、当所で製造された0系新幹線21-2023、更に記念すべきステンレス製造第一号である東急5200系デハ5201、初のオールステンレス車体となった同7000系のデハ7052が保存されており、総合車両製作所へ事業所が移管された後も変わらずその姿を留めています。

今回ご紹介する画像は、2012年2月、東急車輛製造がその業務を総合車両製作所へと移管する直前に開催された電車市場のグッズ販売会にて公開されたもの際のものです。なお、このイベント以降、これらの車両は一般には公開されておらず、貴重な記録と言えます。



21-2023は、言わずもがな0系新幹線の先頭車として製造された車両です。東急車輛製造時代の1985年に製造され、1998年の廃車まで活躍しました。引退後は佐久間レールパークで保存されていましたが、同所の閉園に伴い東急車輛製造が譲受、こちらに保存されています。なお、佐久間レールパークに保存される際に車体を1/3にカットされています。



デハ5201は、日本で初めて車体外版にステンレス鋼を採用した5200系の先頭車として1958年に登場しました。東急での運用終了後は長野県の上田交通(当時)に譲渡され1993年まで活躍しました。その後、デハ5201は東急へ里帰りを果たし、長津田工場での保管を経て、2008年、東急車輛産業遺産制度の第一号に指定され、当地へ保存されました。



デハ7052は、日本で初めてオールステンレス車体を採用し、1962年に登場した7000系の先頭車です。2000年にこどもの国線での運用を終了し東急からは除籍、その後は東急車輛へと移籍し、横浜製作所の牽引車として余生を送りました。2009年にその役目を7200系に譲り、引退。デハ5201と続き東急車輛産業遺産制度の第二号に指定され、デハ5201と背中合わせの形で保存されました。

東急車輛製造から総合車両製作所へと会社が変わった後も、これらの車両たちは変わらず保存されているそうです。あわよくば、天気の良い日に再び相見えたいところですが、果たして。。。

〈物件データ〉
設置場所:神奈川県横浜市金沢区 総合車両製作所横浜事業所内
公開時間:通常非公開

撮影データ:2012年2月25日10時半頃

京浜急行電鉄デハ1351、1356/京急ファインテック 久里浜事業所

2015-08-13 | 神奈川県
しばらく更新が空いてしまい申し訳ありません。時期が時期なだけに多忙を極めております…しかしぼちぼち更新して行きます。。。

今回ご紹介するのは、京浜急行電鉄を代表する“あの”車両です。



品川を起点に神奈川県の海沿いに路線を延ばす、京浜急行電鉄。伝統的な赤い車体に、高速運転が売りのこの路線ですが、少し前までは旧型車両も数多く在籍していました。
その中でも、京急と言ったら多くの人が思い出す…そんな形式が存在していました。1000形と言うキリの良い数字を割り当てられたこの形式は、1960年の運用開始から2010年まで実に50年もの間、京急の「顔」として活躍し、多くの人々に強烈な印象を与え続けました。
そんな1000形ですが、引退した後も京急久里浜駅近くにある京急ファインテック 久里浜事業所内にて保管されています。昨年11月30日には公開イベントが行われ、多くのファンで賑わいました。私もこのイベントに参加してきましたので、その際に撮影した写真を少し。



保存されているのは、最後まで残っていた1351編成(デハ1351-デハ1356)の2両です。車両の解体作業などが行われる同事業所内の外れ、俗に言う“無架線地帯”の中でも一番奥に留め置かれたこの編成は、話によると「通電していないので動くかどうかも分からない」とか。架線がないので当然ではありますが。品川方に当たるデハ1351は往年の花形運用である[快特|三崎口]を掲げ、静かに佇んでいました。



夕日に美しく照らされる、デハ1356。一部塗装に痛み等は見られるものの、全体的には非常に良いコンディションを保っていました。



最後に、昨年開催された「京急ファミリーフェスタ」で公開された、1351-1356編成の姿をご覧に入れます。
美しく整備されたその姿はまさに京急の顔と言ったところでしょうか。新本社屋での展示も内定し、今後が安心の物件ですね。

〈物件データ〉
設置場所:京急ファインティック 久里浜事業所内
公開時間:公開イベント時のみ

撮影:2014年11月30日15時半頃/2017年5月28日13時頃

※2018.6.1 加筆修正を行いました。