あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

営団地下鉄500形652/八王子市こども科学館

2017-12-15 | 東京都


地下鉄とは程遠い存在である東京都八王子市ですが、同市のこども科学館にはかつて地下鉄丸の内線で活躍していた車両が保存されています。
その形式とは、500形。先日4両が異国の地ブエノスアイレスから遠路遥々東京メトロまで里帰りしたことでも話題になった、丸の内線を代表する形式です。



1954年に開業した丸の内線用の形式として製造された300形を更に改良し、1957年に登場したのが500形です。その後しばらくの間増備されたため、実に200両以上が製造されました。
1996年に引退後は多くの車両がアルゼンチンはブエノスアイレス地下鉄へと譲渡され、現在も活躍しています。

今回ご紹介する652号は1992年に廃車後、営団地下鉄50周年事業の一環で無償譲渡の対象となり、京王線堀之内駅前での展示期間を経て2000年から当館で保存されることとなりました。



300形、またその改良型の400形とは異なり片側運転台となった500形。科学館の駐車場に保存されていますが、何故か建物側にお尻が向いてしまっています。最近再塗装が施されたので、非常に美しい状態で展示中。



科学館の開館時間に合わせて車内公開も行われています。車内は…原型を保っているんでしょうかね?現役時代を知らないのでなんとも言えません。。。



運転台背面のガラス越しに運転台を撮影。非常にシンプルな造りをしていますね。

里帰りした4両の内3両は動態保存を目指すそうですが、止まっているながらゆっくりと見ることのできるこちらの保存車も、いま一度注目されても良いんじゃないかなと。

〈物件データ〉
設置場所:東京都八王子市 こども科学館駐車場内
公開時間:通年(車内は科学館開館日の開館時間~午後4時半まで)

撮影データ:2017年8月4日13時頃


長野電鉄デハニ201、モハ604/安曇野ちひろ美術館

2017-12-03 | 長野県


北アルプスが車窓から一望できる、JR大糸線。起点である松本駅からこの路線沿いに北上していくと、安曇野と呼ばれる地域に到着します。そんな空気の美味しい山麓地帯の一角に広大な敷地を誇る公園があることは、そこまで知られてはいないかもしれません。「安曇野ちひろ公園」、安曇野ちひろ美術館の周辺約53,500㎡に広がるこの公園の一角に、今回ご紹介する車両たちがいます。



公園の一角に、「トットちゃん広場」なる広場が2016年7月に開設されました。その名の通り、黒柳徹子さんの自伝的小説である「窓ぎわのトットちゃん」の世界観を再現した広場となっており、その中心に設置されたのが、長野電鉄で活躍していたデハニ201、モハ604の2両です。



これらの2両は、同作品に出てくる「電車の教室」(黒柳さんが幼少期に在籍していた学校に実際にあったと言う鉄道車両を用いた教室)を再現するために設置され、デハニ201の車内は図書スペースに、そしてモハ604の車内は当時の教室を再現する形でそれぞれ改装されています。
こちらの車両はデハニ201と呼ばれ、1926年に長野電鉄の前身である長野電気鉄道の手によって製造されました。幾度の改造と番号変更を経ながら1980年に同形の車両としては最後まで活躍し、廃車後は小布施駅構内に設置された「ながでん電車の広場」で保存されました。その後2012年に信濃川田駅跡に移動され、更に2014年には公園内の設置場所へ移動。周辺の整備を完成を待ち、2016年7月に晴れてお披露目となりました。



もう1両のモハ604は、元々デハ350形として落成した車両です。長野電気鉄道と河東鉄道が合併し長野電鉄となってから初めて製造された記念すべき車両であり、最終的にモハ600形へと改番されて1980年まで活躍しました。
引退後、モハ604は他の車両と共に上田交通へと譲渡されます。同社で制御車化改造を行われ、クハ271として竣工し、1986年の昇圧まで活躍しました。その後長野電鉄へ返還され、車体表記をモハ604へと復元、デハニ201と共にながでん電車の広場にて保存されていました。その後の流れはデハニ201と同じで、車内は教室をイメージしたものへと変更されています。



モハ604の車内。

訪問当日は休日だったためか、多くの人が見学に訪れていました。公園は非常に綺麗に整備されており、今後もそんな素敵な環境の中で丁寧に維持されていくことが期待できそうですね。

〈物件データ〉
設置場所:長野県松川村 安曇野ちひろ公園内
公開時間:9時~17時

撮影データ:2016年8月28日12時半頃