あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

北条鉄道フラワ1985形フラワ1985-3/加西市内

2017-09-20 | 兵庫県


兵庫県は小野市に位置する粟生駅。加古川線、神戸電鉄粟生線が乗り入れるターミナルの片隅に、単行の気動車がぽつんと停車している姿を見ることができます。北条鉄道北条線、同駅から加西市の北条町駅までを結ぶ第三セクター鉄道です。
ここで活躍するのはフラワ2000形と呼ばれる18m級の軽快気動車であり、個人的に非常に興味を惹かれる所ではありますが、ここでは置いておくとして。
現在活躍しているフラワ2000形が導入される前に北条線を行き来していた車両が、現在も加西市内にて保存されています。



加西市内の自動車工場にて保存されているのは、北条鉄道が転換開業時に導入したフラワ1985形の内、ラストナンバーであるフラワ1985-3です。3両が製造されたフラワ1985形ですが、1と2は紀州鉄道に譲渡されキテツ1形となりました。3は譲渡されずにこちらのオーナーに引き取られ、現在まで保存されています。



2001年に廃車となってから15年以上が過ぎ、さすがに傷みも見受けられます。しかしながらそこまで大きな破損も無く、屋外保存としては良いコンディションを保っているのではないでしょうか。



車番も綺麗に残されています。右側にあるのは神姫バスのロゴですが、一体なぜここにあるのか…?



側面サボは色あせていますが残されています。また車体下部にはKASAI CITYの表記が。



銘板には昭和60年の文字。北条鉄道は、国鉄末期~JR初期に全国で転換開業した第三セクター鉄道の中でも早い段階で転換されており、このフラワ1985形は当時富士重工が製造していた「LE-CarⅡ」シリーズの中でも三例目の採用となっています。二軸レールバスの貴重な生き残り、と言ったところでしょうか。



検査表記にはJR西日本テクノス(鉄道車両の検査や改造等を行うJR西日本の子会社)と共に神姫商工の文字も。バスの整備・点検を行っている会社ですが、検査に携わっていたんでしょうか。確かにバス部品を多用していますが。。。

多くの自動車に混じって鎮座するフラワ1985-3。どうやら数年前の情報によるとエンジンがかかる状態に復元されていた様ですが、現在はいかに。
工場を営まれているご夫婦はとても良い方たちですので、見学の際は必ず一言かけてからにしてくださいね~。

〈物件データ〉
設置場所:兵庫県加西市 個人自動車工場
公開時間:特に無し

撮影データ:2017年9月11日11時半頃





東武鉄道デハ27/伊香保温泉 峠の公園

2017-09-06 | 群馬県


群馬県は渋川市の山中に広がる一大温泉街、伊香保。県内では草津温泉と並んで有名な温泉街であり、365段の石段の両脇に土産屋が連なる光景は有名です。
そんな伊香保温泉、公共交通機関を使って来るならばバスしかありませんが、60年程前までは路面電車が走っていました。「東武鉄道伊香保線」と呼ばれたその路線は、国鉄渋川駅から伊香保温泉の間を最急勾配57.1‰、87箇所の急カーブを乗り越えながら毎日上り下りしていたのです。
廃止から60年以上が経った今、温泉街にその面影を感じることは出来ません。ですが2014年、その存在を後世に残すべく、当時活躍した電車が伊香保温泉の入り口となる交差点付近に設置されました。この車両が、今回ご紹介するデハ27です。



さすがに古いので来歴は省略しますが、車両自体は創業時のものを更新したものの様です。もっとも、部品流用の新造らしいですが。
このデハ27は、引退後渋川市内の眼科にて車体のみの姿で大切に保存されていたそうです。移設する際、取り払われていた床下機器を豊橋鉄道モハ301や横浜市電のものを流用して再設置し、2014年にお披露目となりました。



車体には車両として最低限のものが設置されている…って感じですね。というか、前面に灯具類が設置されていませんが、夜とかどうしてたんでしょうね。



さて、現在デハ27が設置されている場所ですが、手前に線路が敷かれています。これ、何かと言うと、実際の線路跡に再敷設したものだそうで。当時はそのまま道路を横断していたそうです。ここだけ見てもすごい勾配でびっくり。

当時の痕跡が殆ど消失している今、伊香保に鉄道が通っていたことを伝える貴重な遺産となったデハ27。気持ちの良い温泉につかるついでに、かつての面影を辿りに行ってみるのもいいかもしれません。

〈物件データ〉
設置場所:群馬県渋川市 峠の公園
公開時間:常時(外見のみ)

撮影データ:2015年8月2日16時頃