あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

JR東日本209系クハ208-7/JR東日本研究開発センター、クハ209-7/大宮総合車両センター

2015-08-05 | 埼玉県
引退した後も解体を逃れた車両は、展示目的で保存されるもの、施設の一部として活用されるもの等、様々な形態で余生を過ごしています。
ですが、引退後もその会社の発展のために従事している車両と言うのは、あまり例がないかもしれません。今回ご紹介するのは、引退した現在もなお未来のため、そして安全のために活躍している、そんな車両たちです。



埼玉県さいたま市北区、鉄道博物館からも近い小学校の隣に、近代的なデザインをした小綺麗な建物があります。表の看板には「JR東日本研究開発センター」の文字。そう、この施設は、常に最新技術で日本中を、いや世界中を驚かせるJR東日本の研究機関なのです。最先端の鉄道技術を研究するために2001年に設置された同施設では、主に「サービス」「システム」「安全」「防災」「メンテナンス」「環境」の6つの分野で研究を行っています。そしてその成果は、JR東日本の最新鋭の車両や駅、各種設備に反映されています。
そんな同センターの敷地内には、驚くことに立派な“駅”が設置されています。そして更に驚くことに、その駅には実際に車両が設置されているのです。



209系クハ208-7、現役時代は浦和電車区に配置され、ウラ7編成の大船方先頭車として活躍していた車両です。初期車であることから房総地区への転用の対象とされず、一度は長野総合車両センターへ回送された同車。ですが、大宮方の先頭車であったクハ209-7と共に2009年12月に大宮総合車両センターまで再配給が行われ、改造及び塗装の変更が行われました。こうして装いを新たにした同車は、施設内の“駅”こと「Smart Station 実験棟」へと設置され、現在も研究開発に従事しています。



帯色を白に変更され、聞くところによると車内には液晶画面が設置されているとか。今後も世界へ誇る最新技術を世に送り出すべく、その活躍を期待したいところです。

なお、同時に配給されたもう片方の先頭車であるクハ209-7も、この場でご紹介します。



大宮駅から高崎線沿いにしばらく歩くと、見えてくるのは大宮総合車両センターの裏手、旧解体線です。構内の最も外れにあるこの敷地に、青帯のままのクハ209-7の姿があります。



大きく傾いた車体には「訓練車」の文字。前面に貼られた説明書きには「脱線復旧訓練所」と書かれ、脱線復旧訓練を定期的に行うために設置されている…とあります。
使われ方は違えど、鉄道の未来のため、安全のために用いられているこれらの車両たち。普段は現在でも活躍する車両に目が行きがちですが、たまには「縁の下の力持ち」であるこれらの車両を思い出してみるのもいいのかもしれません。

〈物件データ〉
・クハ208-7
設置場所:埼玉県さいたま市北区 JR東日本研究開発センター内
公開時間:なし(画像は側道より撮影、なお目の粗い柵が設置されているため、一眼では撮影不可?)

撮影:2011年10月18日12時半頃

・クハ209-7
設置場所:埼玉県さいたま市北区 大宮総合車両センター内
公開時間:なし(画像は側道より撮影)

撮影:2013年5月25日15時半頃

東武鉄道1720系モハ1726/岩槻城址公園

2015-08-04 | 埼玉県
まず初めに。

以前は走行写真なども扱う鉄道系ブログを運営しておりましたが、この度保存、放置車両を専門的に扱うブログを開設させて頂きました。
開設したてと言うことで、記事数を確保するため、しばらくは連続して記事を書いて行こうと思います。どうぞお付き合いください。

さて、記念すべき最初の記事でご紹介するのは、埼玉県岩槻市 岩槻城址公園にて保存されている、東武鉄道1720系モハ1726です。



東武1720系と言えば、言わずと知れた名車でありましょう。“DRC(デラックスロマンスカー)”の愛称で親しまれ、1960年の登場から1991年の引退まで、実に30年以上も東武鉄道の花形として活躍した同形式。
そんな花形特急の第一編成の1号車であったモハ1726が、岩槻城址公園に保存されています。



広い公園内の中でも見やすい位置に設置されている同車は、つい最近整備された様で、美しい外観を保っています。



ヘッドマークも掲げられ、非常に好ましい状態で保存されていました。

なお、整備が行われる前はこの様な状態でした。



粗末なヘッドマーク、現役時とは異なる塗装、錆だらけの車体。この状態から、よくここまで整備してくれたものです。

撮影に訪れた時期はちょうどツツジが綺麗な時期で、文字通り花を添えていました。



〈物件データ〉
設置場所:埼玉県岩槻市 岩槻城址公園内
公開時間:通年(車内公開は土、日、祝日、8月中全日)

撮影:2015年6月3日14時半頃(以前の画像は除く)