あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

くま川鉄道KT-103、203/あさぎり駅

2019-02-28 | 熊本県


前記事で紹介した「ブルートレインたらぎ」が設置されている多良木駅。この駅を通るくま川鉄道では、2014年からKT-500形「田園シンフォニー」を導入し、在来車を置き換えました。

それまで使用されていたKT-100形・200形・31形は順次解体されましたが、一部は現在も沿線で保存されています。今回は、そんな貴重な車両達をご紹介します。



多良木駅から人吉温泉方に3つ先の駅、あさぎり駅。交換設備を持ち比較的規模の大きい同駅の側線に、2016年まで活躍していたKT-100形103「KUMA2」とKT-200形203「KUMA1」が留置されています。

2両は人吉方からKT-203+KT-103の順に留置されており、観光列車「田園シンフォニー」が停車している間は車内が公開される…らしいです。笑



KT-203はKUMA1として竣工しています。見ての通り、そのデザインは水戸岡鋭治氏によるもの。ちなみに、現在運行されているKT-500形も同氏の手がけたデザインを採用しています。



湯前方に留置されている「KUMA2」ことKT-103。

KT-100形とKT-200形は100形がセミクロスシート、200形がオールロングシートの違いがあり、100形は4両、200形は3両が製造されました。ですが、現存するのはこのKUMAに改造された2両と、製造元である新潟トランシスに里帰りしたKT-102以外の車両は全て解体されており、今でも湯前線沿線で見ることのできるこれら2両は貴重な存在と言えるでしょう。

〈物件データ〉
設置場所:熊本県あさぎり町 あさぎり駅構内
公開時間:駅の開放時間に準ずる(公道からも視認可)

撮影データ:2018年12月18日10時頃


JR九州スハネフ14 3、オハネ15 6、オハネ15 2003/ブルートレインたらぎ

2019-02-13 | 熊本県


ちょっと間が空きましたが、ここからは高千穂線沿線を外れ、熊本県へ移動後に訪問した保存車両をご紹介していきます。

まず始めは、非常に“エモい”空間が広がる宿泊施設、「ブルートレインたらぎ」です。



人吉から湯前までを結ぶ第三セクター鉄道「くま川鉄道」。1989年にJR湯前線を転換したこの路線は、高千穂線とは対照的に、現在も元気に走っています。

そんな湯前線の起点、人吉温泉駅からちょうど10個目の駅にあたる多良木駅に着く直前に、車窓に懐かしい車両達が突如として現れます。これこそが、ブルートレインをそのまま利用した宿泊施設、「ブルートレインたらぎ」です。



夜汽車の雰囲気たっぷりな外見。灯火類が全て点灯する状態に整備されており、まさに生きている保存車と言ったところ。

ブルートレインたらぎは、2009年3月改正まで寝台特急「はやぶさ」として運用されていた14系客車の内、開放B寝台のスハネフ14 3、オハネ15 6、更にB個室寝台のオハネ15 2003を多良木町が譲受し、2010年3月に現在地へ設置、改装を行い2010年7月にオープンした簡易宿泊施設です。高千穂線訪問を終えた一行も車で県境を越え、当地で宿泊としました。



宿泊したオハネ15 2003の「ソロ」。



3両の内、オハネ15 6は受付兼交流スペースとなっています。車内の3/4程度の寝台を撤去し、受付と机、イスを配置。寝台内では飲食ができませんので、食事等はこちらの車両を利用することになります。

宿泊料金には隣接する温浴施設の入浴料金も含まれているため、ひとっ風呂浴びた後に晩酌をし、そのまま就寝。翌朝はなぜか早く目覚めたので、撮影に回りました。



撮影時は宿泊者のいなかったスハネフ14 3。こちらの車両は開放B寝台のため、グループ向きですね。



オハネ15 2003側から。車両は屋根で覆われており、手入れもされていることから、状態はかなり良好です。



最後にスハネフ14 3側から。午前8時頃には陽が前面に当たり、良い環境で記録することができました。

この後、お世話になった受付の方に挨拶をし、次の目的地へと移動しました。

2015年8月の寝台特急「北斗星」臨時運行終了を最後にこの国から消えた、“ブルートレイン”。そんなブルートレインの車両に気軽に宿泊することのできるこの施設は、古き良き時代の汽車旅のイメージを現代に伝えてくれる貴重なものです。
お近くに来た際には、是非訪れてみてはいかがでしょうか。

〈物件情報〉
設置場所:熊本県多良木町 多良木駅付近
公開時間:受付の方がいる時間帯は随時の様ですが、要確認のこと

撮影データ:2018年12月17日19時頃、及び18日9時半頃