あの車両を訪ねて

全国の保存・放置車両を訪ねています。

加悦鉄道キハ101形/加悦SL広場

2018-03-29 | 京都府


引き続き、加悦SL広場の保存車両をご紹介したいと思います。
今回は、非常に珍しい形態を持つ気動車「キハ101形」を解説して行きます。



キハ101形は、1936年に加悦鉄道が自社発注で製造した車両です。元々はガソリンカーでしたが1962年にディーゼルエンジンへと換装され、1972年にキハ08 3が入線するまで活躍しました。
以前ご紹介したキハユニ51と同じくバケットカーであり、前面にデッキが設置されているのが特徴的です。車体長は11m級と非常に小さく、当広場で展示されている気動車の中でも目立つ存在です。



そんなキハ101ですが、もう一つ非常に大きな特徴があります。見づらい写真で申し訳ないのですが、上の画像と台車付近を見比べて頂けるとその違いがお分かりになるでしょうか?
実はこのキハ101、「片ボギー」と呼ばれる構造をしています。つまり、片側は一軸台車、もう片側はボギー台車と言うヘンテコな構造をしています。設計の意図が気になりますね。
しかもなんと、この車両動態保存だそうで…いつか動く姿を見てみたいものです。。。

次回も引き続き、加悦SL広場の保存車両を紹介します。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日13時頃



加悦鉄道キハユニ51形/加悦SL広場

2018-03-23 | 京都府


引き続き、加悦SL広場に保存されている車両をご紹介して行きます。
今回は、前回までに記事にした2両が来るまで主力であった、キハユニ51形をご紹介します。



転車台の周りに放射状に伸びる線路、そしてその上にズラリと並べられた加悦鉄道の車両たち。当広場の注目ポイントの一つとなっているこの転車台一帯の最も右寄りにて展示されているのが、キハユニ51形です。
キハユニ51は、1936年に芸備鉄道(現在のJR芸備線)によって製造された車両です。その形式名が表す通り、三等客室と郵便・荷物室の合造車であり、車体の1/3は郵便・荷物室となっています。
加悦鉄道には1962年に入線し、車内を全室客室化、キハ51となりキハ10 18の入線まで活躍しました。1994年には荷物室を復元し、キハユニ51形へと復帰、現在へと至っています。



この車両の特徴は、なんと行っても前面に取り付けられたバケットでしょう。昭和初期、地方鉄道の気動車を中心に流行したバケットを装備した姿は非常に印象的です。バケットカーの保存車は幾つか例がありますが、大型のボギー車でバケットが取り付けられた車両は殆ど残されておらず、貴重な存在と言えます。



当然ながら、車内は木張りとなっています。床の若干ヨレた木材が軋むのはなかなかのスリルでした。



復元された荷物室。郵便物を仕分けしていたであろう棚が設置されていますね。棚の左に写る扉は施錠されていましたが、どうなっているのでしょうか。

次回も引き続き、加悦SL広場の車両をご紹介して行きます。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日14時頃






加悦鉄道キハ10型キハ10 18/加悦SL広場

2018-03-16 | 京都府


最末期の主力車両2種が集う。

さて、前回から引き続き、当記事でも加悦SL広場の保存車両をご紹介したいと思います。

前記事でご紹介したキハ08 3と共に、加悦鉄道の最末期を支えたのが、国鉄から譲り受けた両運転台付き気動車、キハ10 18でした。



1974年にキハ08 3を譲受した加悦鉄道でしたが、依然として予備車として古典的な気動車を使用せざるを得ない状況でした(次記事辺りで詳述します)。
そのため、キハ08 3から遅れること6年、1980年に国鉄から譲渡を受けて入線したのが、キハ10 18でした。
キハ10形と言えば多くの方がご存知の通り、キハ10系グループの両運転台付き車です。1980年と言えば同系列の国鉄での末期であり、キハ10形も1981年には全車が除籍されています。

加悦鉄道に譲渡されたキハ10 18は、1956年に福知山機関区に新製配置され、豊岡にて廃車となった車両です。一度もこの地域を離れたことのない車両なんですね。



広場内では、出入り口となっている旧加悦駅舎のすぐ脇に設置され、なかなか目立っています。また、入園しなくても車内に入れるので少しお得かもしれません。とは言え、車内は壁で仕切られ、座席も撤去されていますので、原型とは程遠いものとなっていましたが。
広場内から撮影しても、現在は樹木が前面を塞いでおり、撮影は難儀…なんだか扱いがあまりよろしくない様に感じてしまいます。もちろん残してくれているだけで感謝感謝なのですが。。。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日14時頃





加悦鉄道キハ08形キハ08 3/加悦SL広場

2018-03-09 | 京都府


京都府与謝野町の山中でこじんまりと営業している「加悦SL広場」。京都府内としてはある程度まとまった数の車両が保存されていることから、保存車ファンの方はきっと聞いたことがあるのではないでしょうか?
以前から訪問したいと考えていたのですが、先日ようやくその念願が叶いましたので、何記事か連続で保存されている車両たちをご紹介して行きたいと思います。しばしお付き合いくださいませ。

まずご覧に入れるのは、キハ08 3…貴重な客車改造気動車の生き残りです。



気動車とは思えない屋根の深さ、切妻に不器用に配置された運転台としての設備、そして客車を思わせる側面の窓配置、扉の形状…その圧倒的な「不格好さ」を存分に見せ付けてくれるこの車両は、加悦SL広場の誇る最強の“迷車”、キハ08 3です。
遡ること1950年代後半、気動車が本格的に普及し始めた頃。北海道では気動車の需要に対して、新型車両の製造が追いついていませんでした。そんな折、当時の国鉄技術者から提案されたのが、余剰となる客車にエンジンを載せて気動車にする案でした。
この提案に基づき、61系客車の厳寒対策版である62系客車を種車として改造されたのが、キハ08系気動車です。オハ62形を改造した両運転台のキハ08形、オハフ62形を改造した片運転台のキハ09形等合わせて4形式が製作され、北海道を中心に活躍しました。しかしながら、重量が従来の気動車より大きく、また改造コストも高額であったことから多くは改造されず、改造から10年程で全車が廃車となりました。

キハ08形は3両が改造され、その内のキハ08 3が国鉄での廃車後に加悦鉄道へ入線しました。譲渡後は主力車両として活躍し、1985年の路線廃止と共に廃車、そのまま加悦SL広場の展示車両として余生を過ごしています。



個人的に一番見たかった車両なので、実際にお目にかかった時には思わずため息。無骨なスタイルですが、それが非常に魅力的です。にしても、こんなに客車然としているにも関わらず国鉄気動車標準色があまりにも似合っているのは、この塗装の持つポテンシャルなのか、一般型気動車に似た前面形状が故か。



衝撃的なことに、車内は休憩スペースとして誰でも立ち入ることができる状態でした。お世辞にも座り心地が良いとは言えないクロスシートは所々撤去され、外向きの座席が賑やかに設置されています。また、隣接する喫茶店の食事を車内で頂くことも出来、なかなか面白い使われ方をしている車両だなと感じました。

次記事でも引き続き、加悦SL広場の展示車両をご紹介します。

<物件データ>
設置場所:京都府与謝野町 加悦SL広場内
公開時間:10時~17時

撮影データ:2018年2月27日14時頃