北村薫さんの『ターン』を読みました『夏の庭』に続き、これも夏のお話。400ページとちょっと長めの物語ですが、面白くてどんどん引き込まれました!ちょっとめずらしい二人称語りの作品です。
<本のあらすじより>↓
真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。
主人公はとても好感が持てる女性で、感情移入しやすかったです。共感するところも多く、男の作家が描いたとは思えないくらい(逆に、男だから理想的な女性が描けるのかも)。モノ作りの喜びが描かれているところも好きです。私が一番共感したのは、真希が日記を書きたいと思うところ。
真希は3時15分になると一日前の状態に戻ってしまうので、文字を書き残すことができない。でも、すべてが流れ去る中で記録することができたら、どんなに楽だろうと思う。ただ体験するのと体験したことを書き残すことは違うと、真希は言います。私はそこに共感しました。
なぜかと言うと、私がブログを書く理由と似ていたからです。私がブログを始めたのは、同じような日が毎日続くなかで、少しでも自分が感じたことを残したいと思ったのがきっかけ。自分を振り返ることで、何かが得られるように感じたのです。また、最近、趣味の話をする機会が減ったこともあり、誰かに聞いてほしいという真希の気持ちがよくわかりました。そんなわけで、とても心に残った作品です。
『夏の庭』も『ターン』も、またいつか読み返したいと思います!