あやしいにおい

四ッ谷駅から国立劇場に向かって歩いている途中でした。
「ちょっとすいませーん。」と声がしまして振り返ると車の中からスーツを着た男性が声をかけてきます。歳は40前くらいか。ぱっと見いい男です。
道でも尋ねられるのかと思い近づくと・・・
その男は車のなかから黒いボックスをやおら差し出し、
「これ、もらってくれませんか？」と言うのである。
ぶしつけに失礼な男だなあと思っていると、その男の言うことはこうである。
「私はワコウの社員なのですが、セールスに行って売れなかったものなんです。会社に持って帰ると上司に怒られるのであなたにあげます。」
と言って箱のふたをカパッっと開けると、そこには金色に光った腕時計が二つ。男物と女物のペアウオッチです。
金の時計！！→ワコウと言うのは銀座和光？→いくらなんでも和光の社員はこんなセールスしないだろう→詐欺？
1.7秒くらいでそう判断し、「気持ち悪いからそんなのいらない。」と言ってその場を離れました。
車は急発進して新宿方面へ行ってしまいました。

いったいナンなのでしょうかあれは。
あの時計をもらっていたら今頃どうなっているのでしょうか。
気になるなあ。
今度また声をかけられたらもらってしまいそうだなあ。
そして真っ先に質屋に持っていったら実は盗難品で御用。
まあこんな展開だなふむふむ。
いやまてよ、車に乗せられて拉致されて連れて行かれて洗脳されて・・・

などと考えながら歩いていると国立劇場に着きました。
さあお仕事お仕事・・・