infinity

容疑者Xの献身

2006-02-11 00:27:49 | Book
遂に容疑者Xの献身を読みました。本屋さんなどでずっと気にはなっていたんですけどね。
これ以降はネタばれの可能性ありなので、これから読もうと思っている人は読まないでください。















■トリック
 これは完全に想定外でしたね。まじで!と思ってしまった。湯川が靖子に打ち明けるシーンは、かなり引き込まれます。予想外で面白かったです。

■石神
 天才数学者、彼に感情移入できるかどうか、結論的には、ちょっと厳しいかな。それは、石神は靖子を見て初めて恋愛的な感情を知った。今まで論理の世界で生きてきた男に、言葉にできない熱い思いが生まれてしまった。その石神が、何であんなに冷静に殺人を犯せるのか?論理の世界、合理性の扉に閉ざされた石神になら、アイスマンのように殺人を犯しても何の胸も痛まないかもしれない。だが、殺人を犯したのは靖子に対して淡い思いを目覚めさせた後なのだ。恋愛感情に目覚めた人間が、愛する人のためとはいえ、簡単に見知らぬ他人を殺せるのか?胸が痛まないのだろうか?愛する人のためには、犠牲を払っていい的にとられかねない。でも、それはおかしいよね。この矛盾が俺にはずっと残った。

■靖子
 何故こんなに愛されるのか?どこにそれだけの魅力があるのか?それが全く読み取れなかったので残念。もうちょっと魅力的な人物像にかいてもよかったのではないか?じゃないと、なぜ石神が命をかけてまで、靖子を守りたかったのかが分からなくなってしまう。どんな女性に魅力を感じるかは人それぞれだと思うが、私が靖子に何の魅力も感じなかったのは、彼女が自主的に動くシーンがあまりなかったのだ。自分の頭で考えて行動するってのがあまり見られなかった。言われるがまま、誘われるがまま みたいな感じがして、う・・・・ん・・・って感じだったかな。

■費用効果
 これはね、充分もとをとれると思います。一気に読めた。その間は全然退屈しなかった。石神にも、靖子にも感情移入をそれほどしていないだけに、逆にすごいと思う。リズムがいいんだよね。ただ、湯川が靖子に推理を打ち明けるシーンはちょっとテンポ速かったかな~。色々不満はあるけど、さくさく読めて、充分楽しい。

■総括
 直木賞受賞って言われると「え~!」って言いたくなりますが(爆)、普通に読めば充分面白い小説です。文章がうまいのはもちろんなんだけど、構成が非常に上手なんだね。ただ、キャストの描き方が僕にはあまり感情移入できなかったけど・・・。ただ、俳優は嫌いだけど、ドラマはよかったって感じの作品はいくらでもあると思います。そんな感じかな。星3.5つです!ってとこでしょうか。タイトルは抜群だと思います。○○の献身ってだけでも、充分魅力的なのに、○○が容疑者、しかもXとくる。これはかなり興味ひくでしょう。オペラ座の怪人のファントムを思い出してしまいましたから。わたくしは。



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