「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。」
誘拐は悪いに決まっている。
誘拐された母親の気持ちになってみれば、誘拐した希和子に感情移入できるはずがない。
でも、映画中ずっと希和子に感情移入してしまった。
希和子と薫の幸せな時間が永遠に続けばいいのにと祈ってしまった。
希和子が捕まった時、薫を連れていった警察にむかって
「その子はまだ・・・ご飯を食べていないんです。
ご飯を食べさせてあげてください。
よろしくお願いします・・・」
と言ったときには、もう号泣だった。
この映画に出てくる大人達はみんなどこか間違っている。
でもそれは分っていても、希和子と薫の時間だけはずっと続けさせてあげたかった。
親子の絆(本当の親子ではないが)、それはそもそもが間違っているのだから
絶対に引き裂かれる事は分っているのだけど、でもずっとずっと引き裂かないでほしかった。
そんな気持ちにずっとなっていた。
間違っていると思うけど、本当に感動した。