第43代紫組要領次第

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イアーゴーになりたい

2007-10-20 13:16:12 | 演劇
詳しい感想はいづれ書くとして、
先日急遽オセロのチケットが手に入ったため観てきた。

千秋楽も見に行くので同じ劇を同じ公演中に二回見ることになる。人生初。

しかしまぁ高橋さんはすごかった。
イアーゴーが乗り移っているのではないかと思えるくらいの熱演。

○始めのほうの独白では高橋さん絶叫した。そのほとばしる狂気に鳥肌が立った。恐ろしすぎて台詞は忘れた。

○全体を通じて暗転が何度かあったが、そのたびについつい手を組んで祈ってしまうような、恐怖を味わった。

○ふしぎなもので、最後のほうはなぜかイアーゴーの気持ちをすこしわかった気がする。同情。

きっと社会全体(←うまい表現ではないが、他に浮かばないのでこれで。)に対する恨みが鬱積していたんだろう。
彼は、自分の能力に自信がある分、出世しないのを社会のせいだと思っているのだろう。
ただ、その恨みは妥当な恨みだと自分は感じた。
きっと身分不相応な願いではなかったはず。十分優秀な軍人だったのだと思う。それを正当に評価してほしかったんだろう。
しかし(地味な衣装が象徴しているように)彼は身分が低い人で、そのせいで出世できなかった。
個人に対する恨みではなく、もっと大きなものに対する怒り。それがオセローに対する復讐という形で出てきたのではないか。

優れている人材だからこそ、彼はまわりから信頼されている。
でもその副作用として、彼の復讐心はより根深いものになった。

そう解釈しなければこの劇は悲劇たりえない。
でなければ、「ただの一悪党が、全軍の大将オセローをだます。」という劇になってしまう。
そうなったら悲劇ではなくて、おろかな黒人オセローを描く、ただの喜劇になってしまうと思う。


今までで一番感動した舞台。オセロー。一生忘れない。
(生まれ変わったら舞台俳優になろうと思ってしまった一日だったかな。)

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