部下に向かって「バカヤロー」と怒鳴ってしまったとか、取引先の人物にケンカを吹っかけてしまった、というような重大な問題については、実際のところ、あまり悩む必要はない。
なぜなら、こういう重大なことは、誰でもそのうちに気をつけるようになるからである。
人間関係でもっとも気をつけてほしいのは、“細かいこと”である。
些細なことこそ、重大な事件よりも、はるかに重要なのだ。
重大なこと、大きなことというのは、自然と、目立つ。
そのため、誰でも注意が向くのだが、細かいことはついついおろそかにしがちなのだ。
些細なこと、たとえば、挨拶をするとか、笑顔を見せる、ことなどは、ともすれば忘れやすい。
小さいことだけに、「ま、いっか」という気持ちになってしまうのである。
すぐに返すからと言って借りた100円をずっと返さないとか、そういう小さなことを気にする人は、驚くほど少ないのである。
日常生活において相手に挨拶を忘れたからといって、悩む人はほとんどいないと思うが、本当はもっと気にしてよいことなのだ。
人たらしになりたいのなら、些細な点ほど、敏感になることをオススメする。
ハーバード大学特別研究員のビル・ナーグラ-教授によると、私たちの人間関係を破滅に陥らせるのは、逆説的なことながら、重大な出来事「ではない」という。
私たちの人間関係を決めるのは、取っ組み合いのケンカをしたとか、大切な約束を破ったということではなくて、ビールのお酌をし忘れたとか、電話をするといってしなかったとか、皮肉な冗談を言ってしまった、というくらいの非常につまらないことが原因なのだそうである。