新聞のコラムに、若者がある刀剣の展示に群がっている、という記事があった。
ゲームに採用されたことがきっかけで1ヶ月で3万人の来訪があったという。
どんなきっかけでもそういう文化に興味を示すのは悪いことではないが、おそらく一過性のブームに終わるだろう。
それもSNSなどで「ブームの○○を見た」と発信することが目的で、本質を見る人が一体何人いることか。
邪悪な興味が増してしまうことにも危機感を覚える。
刀剣の鍛錬には特別な炭が必要でそのための炭窯を作る現場を見学させてもらったことがある。刀鍛冶の若者が無償参加していて、彼らの仕事への真摯な姿勢に、おもわずこちらも衿を正し、未来に希望を見いだしたものだった。
仕事の中で目に見える部分は多くて2割である。見える部分から、どれだけ見えない部分を観ようとするか。
刀剣のとして完成するまで、どれほどの人々がどのように関わるのか、これからの展示にはそうした側面も見せなければならないのかもしれない。