何が彼を怒らせたのか ～ 馴染みの肉屋での出来事 ～

　私の家の近くには焼き豚とコロッケの美味しい肉屋さんがあるので、時々、会社帰りに寄っています。

　昨日もいつものように焼き豚を400円分くらいスライスしてもらっていると、急にお酒の臭いがプ～ンとしてきたので隣りを見ました。
　そこには、私と同じような作業着を着た無精ひげをはやした若い男性（以下：ＹＭ）が立っていました。お酒の臭いはしましたが、酔っている感じではありませんでした。

　ＹＭを見て店の奥にいたお母さん（私の相手をしているのは娘さん）が接客のためにショーケースまで出てきて、いつも私に言うように、

　「煮込み？。焼き鳥？。トンカツも美味しいよ。」

と言ったところ、いきなりＹＭは大きな声で、

　「俺はロースが嫌いなんだ。美味しい美味しくないは客の俺が決めるんだ。売る方が勝手に決めるな!!。」

と、全身を震わせながら叫び、相手をしていたお母さんを睨み付けました。どうやらトンカツ（ロース肉を使用）を薦めたのがＹＭの怒りの導火線に火をつけて爆発させてしまったようです。

　その後、呆気にとられている我々を尻目にＹＭは何も買わずに店を出て行きました。残された我々は「ポカ～～ン!!。」です。


　以上、馴染みのお肉屋さんで見かけた『ロースの嫌いな男』の話でした。
　こんな事で怒るなんて、やっぱりＹＭは酔っ払っていたんですかね？。肉屋でキレる人間を初めて見ました。

　余談ですが、ＹＭの今回の奇行のおかげで私は小さな被害をこうむってしまいました。
　ＹＭの大声に驚いた私の相手をしていた娘さんは、いつも袋に入れてくれる焼き豚のタレを入れ忘れてしまいました。それに私が気づいたのは家に帰ってシャワーを浴びて着替えてからです。
　いまさら外に出て肉屋にタレを取りに行きたくない私の昨日の夕飯は、タレなしの味気ない焼き豚とサラダでした・・・・・・。