少しさびしいけれど・・・ ～ 昔働いていた会社の消滅 ～

　先日、ネットのニュースで、昔私が働いていた会社（以下：Ａ社）が消滅することになったのを知りました。

　今のその会社には、私が在籍していた時（2002年２月～2005年７月）に苦楽を共にしたメンバーはほとんど残っていないので、最初は「ああ、そうなんだ。」と言う感情しか湧きませんでしたが、よくよく考えると、自分の歩んできた道が消えてしまうようで、さびしいと言えばさびしいですね。私の卒業した福岡の高校の校名が縁もゆかりもない東京の大学の付属高校の校名に変わってしまった時と同じようなさびしい気持ちですね。

　さて、冒頭で『倒産』と書かずに『消滅』と書いたのは、数年前にＡ社を買収した会社が今回Ａ社を吸収合併する事になり、社員や自社開発のソフトウェアはそのままでＡ社の会社名だけがなくなるからです（今後リストラの嵐にならなければいいのですが・・・）。まさに消滅ですね。企業買収の多いＩＴ業界ではよくある話です。

　今回、このニュースを知って昔の記憶を呼び起こしたのですが、この約３年半勤務したＡ社での営業活動は、その前に約13年勤務した会社での営業活動と同じくらいに今の私の社会人としての基盤になっている事を実感しました。20代～30代の仕事の環境って重要ですね。
　当時の私は、グローバルスタンダード重視のＩＴ業界に真っ向から喧嘩を売るような自社開発の日の丸ソフトウェアを市場に広めるために、毎日、毎日、ノートブックパソコンを片手にあちこちにデモンストレーションに駆け回っていたので、プレゼンテーション能力がとても伸びました（自画自賛ですが・・・）。この３年半は営業活動をしたと言うよりは布教活動でしたね。そのおかげで人前で話すのが苦手だったのも治りました。

　あとは、Ａ社の創業者の社長と一緒に行動する事が多かったので、経営者の思考法や行動等を近くで見れた事も私の糧になっています。会社のトップならではの喜びや悲しみを知る事もできましたからね。今でも難しい局面に立った時は、「あの社長だったらどう考えるんだろう。」と想像しながら思考したりしていますからね。癖のある社長でしたが立派な方でした。

　また、社長と一緒に行動する事で、一担当者では会えないような数多くの大企業のトップの人達に接する事ができたのも収穫でした。そんな人達にも全て私がデモンストレーションを行なっていましたからね。失敗は許されない場面もよくありました。今思うと本当に緊張感があってやりがいのある仕事でしたね。

　そんな得る物が多かったＡ社での約３年半でしたが、資金提供を受けていた大株主のベンチャーキャピタルから社長が会社を追われる事になり、その後の新しい体制や上司や営業方針が私には生理的に馴染めなかったので、私もその後数ヶ月で会社を去る事になりました。私と同じような選択をした同僚が何人もいましたね。余談になりますが、この私が馴染めなかった新しい体制はわずか１年で崩壊し、大量の退職者を出す事になったそうです。
　尚、会社を辞めると決心した後の私は取引先の会社の人達に助けて頂いたので、その後の転職には困りませんでした。これは本当に助かりました。感謝ですね。真面目に働いていてよかったです。


　以上、消滅してしまう昔働いていた会社のニュースを聞いて思い出した昔の自分の話でした。
　まだ30代だった自分の事を久しぶりに思い出しました。過去あっての現在の自分ですね。