露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

苦悩の石積み

2011-10-14 00:01:58 | 庭仕事
ううぅぅぅぅ~~。
石積みがまだ終わらない~
夢にも出てきそうなぐらい続いてますよ~。
施主様、なかなか進まず申し訳ありません
次の現場と剪定でお待たせしているお客様、本当にごめんなさい。
仕事がおしてくる焦りと、良いものを作り続けたいという葛藤の中、毎日120%の力で奮闘しています。


仕事に厳しい親方ですが、さすがの親方も
「夜のうちに小人が仕上げてくれて、朝来たら完成しとらんかのー・・・」と言い出されました。


露花の石積みの特徴は、古い石をつかうことです。
新しい石を割れ肌で加工するのではなくて、何十年と風雨にさらされ、記憶を刻んだ石を加工して石を積みます。
石は割ると新しい面がオギャーと生まれて、そこから新たな歴史を刻んでいくんだと思うんです。

割って割って綺麗にぴっちり面や目地を通すのではなく、ちょっとアバウトでも、個の風合いを残したい。
石を人間に例えると、お爺さんがいっぱい集まって「わしゃーのー、」とか「ありゃーのー、」とか言ってる感じ。





記憶を刻んだ面を加工しているときにうっかり面落ちしたりすると、もうその石は使えないというのが一番辛いです。
半日がかりで加工した石があとほんのわずかのところで角が欠けたりすると、悔しくて情けなくて泣けてきます
こつこつじっくり派の私でもうおー!!となるぐらいなので、親方はしょっちゅう発狂しています。


角石が決まっていよいよ天場石。




石積みの合間に苔目地が完成しました。夜露でしっとり。


もみじの紅葉もはじまりました。


芝生も青々してきましたよー。
奥に見える石積みはすでに完成した右サイドの石積み。
左サイドが完成すると、対になります。



そしてこちらは国の重要文化財、
沼隈の阿伏兎観音さま。


992年創建の海の守り神さまですが、1185年の源平合戦で一度荒廃しました。
その後鞆の浦の漁師の夢のお告げにより海から石造り十一面観音像がひきあげられ、手厚く祀られました。
1570年毛利輝元が再建、1667年福山藩四代藩主水野勝種により石垣など増築。
・・・つまり、300~400年間記憶を刻み続けている石積みなんですね。


「露花」という社名もこちらで頂きました。


断崖絶壁の上のお堂を支え続ける石積み。
電気道具もない時代、落ちたら命を落とす海の上、どんなにか大変だったろう・・・。




素晴らしいです。








私には電気道具の助けがあるし、転んでも命は落とさない。
そう思えばなんと楽な石積みなんだろう。

明日も石積みがんばるよ
今日も湿布して寝よーっと


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