二銭銅貨

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テンダーランド/レージョ劇場2024

2024-08-26 | オペラ
テンダーランド/レージョ劇場2024

作曲:コープランド
指揮:Alessandro Palumbo
演出:Paolo Vettori
美術:Claudia Boasso
衣裳:Laura Viglione
演奏:Teatro Regio Torino
合唱:Teatro Regio Torino
出演:
ローリィ:Irina Bogdanova
マーティン:Michael Butler
お爺さん:Tyler Zimmerman
母:Ksenia Chubunova
トップ:Andres Cascante
スプリンターズ:Valentino Buzza
ベス:Layla Nejmi / Minerva Bonizio (当日のキャストがどちらだったかは不明)

舞台に装置はほとんど無く、背面の壁に沢山の首だけ出せる窓を設置して、そこから合唱団やソリストが顔を出せるようにしていた。小劇場の小規模公演で、舞台が狭いための対策なのだろう。

ローリィは綺麗な声、マーティンも綺麗な声。お爺さんは落ち着いた感じの声、母は優しい安定した声、トップは柔らかい感じだが声量のあるバリトンで、所狭しと動き回ってコミカルな芝居をしていた。スプリンターズは安定した綺麗な声のバリトン。ベスはほとんどセリフのみの役。

ローリィ、お爺さん、母、トップはレージョ劇場の合唱団メンバー。合唱は少人数でソリストを兼ねている感じ。

演奏は少人数の弦楽と木管とピアノのアンサンブル。美しい音で迫力もあった。

不安の表現では現代音楽的な感じがあったり、パーティーの場面などでは民謡ぽい感じがあったり、また、アリアなどでは美しい旋律が聴かれた。一幕目終わりの合唱が聴きどころ。1人の歌から始まって徐々にに大合唱に移行して行く。

小規模なオペラで、ちょっとil campiello みたいなふんわかした感じ。ダブルビルでやってみると良いかも。

24.05.07 レージョ劇場 Piccolo Regio Puccini/トリノ
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カバレリア・ルスティカーナ、道化師/スカラ座2024

2024-08-26 | オペラ
カバレリア・ルスティカーナ、道化師/スカラ座2024

作曲:マスカーニ、レオンカバッロ
指揮:Giampaolo Bisanti
演出:Mario Martone
装置:Sergio Tramonti
衣装:Ursula Patzak
演奏:スカラ座
合唱:スカラ座
出演:
サントッツァ:Saioa Hernandez
トゥリッドゥ:Brian Jagde
アルフィオ:Amartuvshin Enkhbat
ルチア:Elena Zilio
ローラ:Francesca Di Sauro

ネッダ:Irina Lungu
カニオ:Fabio Sartori
トニオ:Amartuvshin Enkhbat
ペッペ:Jinxu Xiahou
シルビオ:Mattia Olivieri

サントゥッツァは強い綺麗な声で衝動に引き裂かれた気持ちがよく出た芝居。トゥリッドゥは高音がしっかり出るクリーンな声で声量も十分。ルチアは安定した声だが、どうして良いかわからずオロオロする母親の気持ちが良くでていた。アルフィオは落ち着いた低い声でオーケストラに負けない声量がある。肝の据わった陰険な芝居に存在感があった。ローラは安定感のある綺麗な声。

カニオは強力な高音が綺麗にでる圧倒的なテノール。少しにやけた感じの表情にやるせない雰囲気がよく出ている。ネッダは綺麗な強い声のソプラノ。トニオはアルフィオと同じ歌手。ペッペは綺麗な声で控えめな芝居。シルヴィオは強い声で高音が綺麗。

合唱は迫力のある綺麗な声。演奏は大迫力のイタリアっぽい音。ゆっくりと丁寧に演奏された。

カバレリアルスティカーナは真っ暗な中、合唱とソリストの人数分の椅子以外、ほとんど装置なしの舞台。教会の美しい合唱場面では、舞台奥にキリストの磔像が現れ、合唱団は整列して向こう向きに座り、聖歌隊の列が舞台奥から舞台前に、合唱団を巻くようにして聖具を持つ数人の聖職者を先頭に静かに横切る。

間奏曲では座っている合唱団の中をサントッツァがゆっくりと下手から上手に歩いて行く。演奏は彼女の引き裂かれた魂を鎮めるかのように優しく響いた。

最後の場面は決闘場面を見せる事なく、女声合唱団が見守る中、決闘の結果を聴いたルチアが倒れて演奏が終る。

パリアッチは大きな薄汚れた橋の立ち上がり部分の下が舞台。小さなキャンピングカーが下手に1台。実車が複数登場する。左右の舞台下の観客席も演出に使われて、観客役の合唱団と観客を繋げて劇場全体の一体感を出すような演出だった。最後の場面ではシルビオは観客席から劇中劇を見ている設定で、そこから舞台に上がって殺される。アクロバットをやる数人の大道芸風の人達が楽しく芸を披露して芝居を盛り上げた。

前半はシンプルに、後半はサーカスっぽく大規模に、渋い演出だ。

24.05.05 スカラ座/ミラノ
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二人のフォスカリ/ピアチェンツァ市立劇場2024

2024-08-26 | オペラ
二人のフォスカリ/ピアチェンツァ市立劇場2024

作曲:ヴェルディ
指揮:Matteo Beltrami
演出:Joseph Franconi Lee
美術・衣裳:William Orlandi
演奏:Emilia-Romagna Arturo Toscanini
合唱:Teatro Municipale di Piacenza
出演:
フランチェスコ(父):Luca Salsi
ヤーコポ(息子):Luciano Ganci
ルクレツィア(嫁):Marigona Qerkezi
ロレダーノ:Antonio Di Matteo

フランチェスコは声量のある綺麗な声で苦悩の芝居。ヤーコポも声量があり高音が良く伸びて安定している。ルクレツィアは少しビブラートのある強い声で、緩急の急での気迫がすごかった。ずっと怒りっぱなしで怖かった。ロレダーノは落ち着いた声のバス。

合唱と演奏は元気良く迫力のある演奏だった。

アリア、重唱、合唱が次々と披露されるコンサートの様だと思ってしまうようなオペラ。レチタティーヴォは重唱のようだ。

舞台いっぱいに円筒形の壁があり、これの一部に隙間を開けて、そこから歌手が出て来て壁の前で歌うケースが多かった。壁の前に狭い階段が4・5段あり、歌手が足を踏み外しそうで心配になった。フォスカリ家の不安定さの象徴か、あるいはベネチアの狭さの表現か。壁のすぐ前に薄い板状のものが設置されていて、これが上下して幕の役割をしていた。合唱団が歌う時は壁が大きく開いて大きな空間の中で歌われる。この時は石油コンピナートの石油タンクのようなものが設置されていたり、ベネチアの景色などが見えたりする。

衣裳はベネチアに残されている「二人のフォスカリ」の絵を参考にして制作されていたようだ。

24.05.03 ピアチェンツァ市立劇場/ピアチェンツァ
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トゥーランドット/Teatro Maggio Musicale Fiorentino2024

2024-08-26 | オペラ
トゥーランドット/Teatro Maggio Musicale Fiorentino2024

作曲:プッチーニ
指揮:Zubin Mehta
演出:Zhang Yimou
演奏:Maggio Musicale Fiorentino
合唱:Maggio Musicale Fiorentino
出演:
トゥーランドット:Olga Maslova
カラフ:Ivan Magri
リュー:Valeria Sepe
ティモール:Simon Lim
ピン:Lodovico Filippo Ravizza
パン:Lorenzo Martelli
ポン:Oronzo D’Urso

ズービンメータとチャンイーモウ、フィレンツェ歌劇場の組合わせは1998年の紫禁城での公演がある。今回のプロダクションはそれとは別のフィレンツェ歌劇場版のようだ。

中国で良く知られた民謡の「茉莉花(まつりか)(ジャスミンの花)」が元となった歌が一幕目のなかばで引用されており、このプロダクションでは舞台裏の少年少女合唱団によって歌われた。この歌の旋律の一部はトゥーランドットのあちこちに出てくる。また、茉莉花はチャンイーモウが監督した2004年アテネオリンピック閉会式での北京オリンピックへの引継ぎパートや2008年の北京オリンピック表彰式で使われた。

演出は壮大。合唱団やダンサー、黙役が多数出演。装置も大掛かり。漢字を使った美術が特徴的。漢字の書かれたスクリーンを使った演出や、大きな本の絵と書からなるページをめくる演出などがあった。全体にデフォルメされてはいたが、中国本来のデザインや雰囲気で構成されていて違和感が無く気持ち良かった。ピンパンポンは、酒、金、女のイメージで衣裳がデザインされていて、女のイメージの衣裳の人物はゲイっぽいしぐさの芝居だった。リューはトゥーランドットのカンザシのようなものを取って自害する。

演奏も合唱も壮大。クライマックスでは大音量になるが、演奏はクリーンで美しさは損なわれない。

カラフは声量のある綺麗な声。ティムールはソフトな印象だった。トゥーランドットは声量があって高音がのびる強い声。リューは真面目な感じのソプラノ。

指揮者が指揮台に到着して演奏が始まる前に、突然ハッピーバースディが演奏されて、会場からも拍手となった。ズービンメータの誕生日は4月29日。

チケットは全日程完売。

24.04.30 Teatro Maggio Musicale Fiorentino/フィレンツェ
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トゥーランドット/ゴルドーニ劇場2024

2024-08-26 | オペラ
トゥーランドット/ゴルドーニ劇場2024

作曲:プッチーニ
指揮:Pietro Mianiti
演出:Daniele Abbado, Emanuele Gamba
美術・照明:Angelo Linzalata
衣裳:Giovanna Buzzi
演奏:Teatro Goldoni
合唱:Teatro Goldoni
出演:
トゥーランドット:Anastasia Boldyreva
カラフ:Amadi Lagha
リュー:Emanuela Sgarlata
ティモール:Abramo Rosalen
ピン:Paolo Ingrasciotta
パン:Francesco Napoleoni
ポン:Marco Miglietta

演奏も合唱も大迫力だった。特に一幕目は多彩な合唱が続く合唱主体の場だ。最期はフェードアウトして終る。

全体に拍手ポイントが無く「誰も寝てはならぬ」は演奏途中での拍手となった。曲の迫力に満ちた展開と拍手ポイントが無い点など、ワーグナーの影響かも知れない。

セットは大きな壁にいたずら書きのような漢字らしき文字が書かれたものが3枚登場する。中盤も大きな壁で、中央が門の様な形になっている。それぞれの壁の縁に多色に変化する線状の発光体が付いている。最終幕は上手に最初の壁が一枚と下手に1個の台。衣裳は中国風以外に1920年頃の服装やサーカスのものなどが出て来て、良く分からないが、トゥーランドットを上演している劇団を表現していたのかも知れない。リュー自害の場面では、洗面器のようなもの捧げて、そこから赤い液体を自分にかけて倒れる趣向。

カラフは圧倒的な声量で、高音も安定して綺麗な声。ティムールは落ち着いた迫力で声量がある。トゥーランドットは強い声。リューは真面目な感じのソプラノ。演奏は合唱もオーケストラも大迫力だった。

通常のアルファーノ版では無く、ルチャーノ・ベリオ版が使われた。アルファーノ版での最後は誰も寝てはならぬの旋律で壮大に終るが、ベリオ版での最後はフェードアウトで終る。Daniele Abbadoの演出作をEmanuele Gambaが復活再演したもの。

24.04.28 ゴルドーニ劇場/リボルノ
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