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09歌舞伎座6月/正札附根元草摺、双蝶々曲輪日記、蝶の道行、女殺油地獄/歌舞伎

2009-06-09 | 歌舞伎・文楽
09歌舞伎座6月/正札附根元草摺、双蝶々曲輪日記、蝶の道行、女殺油地獄/歌舞伎

正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)
出演:松緑、魁春
メリハリのある直線的な動きの魁春は律儀で真面目。松緑は若くて元気、やんちゃな感じ。

双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)
角力場(すもうば)
出演:幸四郎、染五郎、芝雀、吉右衛門
幸四郎の濡髪長五郎は貫禄十分の大横綱。対する放駒長吉は吉右衛門で一徹な若者、まだ幼い。若者とベテランのジッとした緊張の睨み合い。

蝶の道行(ちょうのみちゆき)
出演:梅玉、福助
恋の行く末、果てる様を描く舞踏。蝶の息絶える、念入りな姿。コンテンポラリーな演出で音楽が竹本。軽い感じの舞踏に重い音楽の組み合わせ。不思議な世界。赤と青のダイナミックな色合い。

女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)
出演:仁左衛門、孝太郎、梅枝、歌六、秀太郎、梅玉
仁左衛門が若い。若さの未熟さが全開。親の歌六、秀太郎の子を思う気持ちがめっぽう強い。この親の甘さがこの物語の1つのモチーフで、それが良く出ている。親ってそんなもんだし、子もあんなもんだ。ただ、その一線を踏み外さなければ良いのにと思う。ちょっとした事なんだ。

高音の梅枝の声やしぐさは全体に暗いトーンのこの物語の中で輝いていて、メリハリを作っていた。

豊嶋屋(てしまや)の油樽の黒光りが陰惨な最後の修羅場を暗示する。殺伐とした陰惨の雰囲気。人々の心の悲しい顛末。油まみれの悲劇。

砂糖菓子のように甘い親の気持ちと油にまみれたお吉の血。陰惨でどうにもならない。近松門左衛門は良く描いたものだと思う。きつくて厳しい。初演以来上演されずに復活したのが最近だというのも、もっともなことだ。

大夫も頑張って気合が入っていて、特に三味線の前衛的とも思える演奏が印象に残った。滑らかでなくてガツ、ガツ、ガツとした弾き方で、陰惨さを強調していて映画音楽のようであった。

多分、「蝶の道行」だったか他の演目だったか、成瀬監督の「流れる」で使われている三味線の旋律と同じのがあったように思われた。これは杉村春子が電話口で口ずさむもので、それを伏線にラストで山田五十鈴と杉村春子が対面して弾く時の曲だ。

09.06.05 歌舞伎座

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