二銭銅貨

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青春の門

2006-03-18 | 邦画
青春の門  ☆☆
1975.02.15 東宝、カラー、横長サイズ
監督:浦山桐郎、脚本:早坂暁 、浦山桐郎、原作:五木寛之
出演:吉永小百合、仲代達矢、小林旭、田中健、大竹しのぶ、小沢昭一

いろんな人が主役っぽく出てきます。でも、本当の主役は、
炭鉱の石炭達です。

その炭鉱を舞台に仲代達矢と小林旭がにらみ合います。
静かな呼吸、ねらいを絞って、じっとりと動かず、
すばいやい動き、そうして、さしで闘います。

物語の主人公は伊吹信介です。しかし映画は、何となく、
吉永小百合に始まり吉永小百合に終わります。
「休憩」の後の後半は、ほとんど出ていないのですが。
訴えかける目のインパクトが強いです。

大竹しのぶは公募でこの映画が初出演だそうですが、
最初から芝居がうまいです。
今よりコロコロしていてとっても若いけど、芝居は今と同じよう。

田中健は大物や若手、ベテランに挟まって、大変そう。
伊吹信介みたいだ。

小沢昭一は炭鉱の地底でいい思い。
でも、サユリストの逆鱗に触れて罰が当たります。
ひとさし指を口にあてて「地底の秘密は誰にも言わない」だって。
みんな画面でしっかり見ていますけど。

トークショー付き:(「おかあさん」との併映で)
小谷承靖監督、原一男監督、ホスト:緒方明監督

小谷監督は成瀬監督の晩年の作品の助監(サード=カチンコ係)をしたことがあるという事で、成瀬監督の撮影現場の雰囲気について語りました。フィルムを無駄にしない監督で、カチンコの部分を切ってつなげばそれで映画になる、無駄な部分が無い人だったらしいです。撮影も4時5時には終わるとのこと。撮影の合間合間、スタッフが監督に配慮して、なるべく音を立てないように次の撮影の準備にかかっている現場の隅で、一人静かにシナリオのページをめくって次の撮影の構想を練っているんだそうです。

緒方監督は浦山監督に関するドキュメンタリーを作った人で浦山監督については詳しいんだそうです。浦山監督は映画の上映時間の何倍ものフィルムを使うほうで(普通、上限2.5倍なんだそうですが、それ以上に使うということ)、フィルムを使えば使うほどステータスが高いと言っていたそうです。浦山監督には実母と義理の母が居て、美しい義理の母には特別な感情を抱いていたそうです。吉永小百合と田中健の最後の場面は、実際に浦山監督が体験したことを、脚本の早坂さんが取り入れた場面なんだそうです。ビックリ。
06.03.11 新文芸座


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