二銭銅貨

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恋文

2009-11-23 | 邦画
恋文 ☆☆
1953.12.13 新東宝、白黒、普通サイズ
監督:田中絹代、脚本:木下恵介、原作:丹羽文雄
出演:森雅之、久我美子、道三重三、宇野重吉、香川京子

木漏れ日が、
斜め45度の薄い幾筋もの直線として、
柔らかに、もやを背景にして現れ、
その中を彼と彼女が歩いていく。
やさしい東京の公園の静けさと、
もやと、木漏れ日。

ずーっと、道の奥の方に立ち去って行く小さな久我美子の陰。
立ち上がり、逡巡しながらこちら向きに歩き始める森雅之。

田中絹代の初監督作品。
端正でつつましい。ワンカット、ワンカットごとに、構図、芝居、美術がしっかりと教科書的にオーソドックスに作られていた。

多数の人がゲスト出演、ないしチョイ役での出演をしている。
沢村貞子、香川京子:古本屋の主人、店員
笠智衆、井川邦子:レストランの客
関千恵子:森雅之の弟(道三重三)の彼女
夏川静江:墓参りの場面の叔母さん
入江たか子:下宿の大家さん
中北千枝子:日比谷公園らしき所で久我美子にからむ3人連れの1人
清川玉枝:代筆を頼みに来たおばさん
月岡夢路:代筆を頼みに来た女性
田中絹代:代筆を頼みに来た女性(芝居が素晴らしい、光っている)
など。
この他、木下恵介や佐野周二も居たらしいが視認できなかった。

舞台は神保町らしく「すずらん横丁」のセット(ちなみに。映画の上映は現在の「すずらん通り」をちょっと入った所の神保町シアター)。ロケは忠犬ハチ公の渋谷の他、神宮外苑らしきところ、日比谷公園の小音楽堂らしき所など。

製作の永島一朗は香川京子の叔父。成瀬監督、田中絹代、香川京子出演の「おかあさん」を製作した人。

09.11.14 神保町シアター


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