二銭銅貨

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カラマーゾフの兄弟/ドストエフスキー(原卓也訳)

2009-11-08 | 読書ノート
カラマーゾフの兄弟/ドストエフスキー(原卓也訳)

新潮文庫

ドストエフスキーについては、いたずら好きで、お茶目で、人のあげあしを取ったり、からかったりするのが好きで、理屈っぽく、人情家で、涙もろくて、ふざけていて、意地悪で、女好きで、移り気なんだけれども真面目で正義感の強い、気弱な所もある人だっていう印象を受けました。

この小説は様々な人間や社会の模様をその中に塗りこめたもので、特に思想や宗教についても深く深く考察しているように思われるものだが、芯になる部分は父と子の話なのかと思った。三兄弟と私生児の父親との関係の話が主筋だけれども、もう1つ貧乏な家庭の父と子の小エピソードがある。このエピソードの父親は主筋の父親に対して対比的だし、またそのエピソードの最後の部分は小説の締めくくりに使われている。三兄弟の父親は父では無いと小説の中の弁護士が断言していて、それがこの物語の一つの主張であるけれども、それに対して貧乏な家庭の父と子の関係を理想的なものとして見ているのかも知れない。

でもドストエフスキーってひねくれものだからな。
そうではなくて、もっともっと深い逆の意味があるのかも知れない。
ドストエフスキーの小説って、
そのひねくれ度合いの凄さにあると思った。
気持ちいい程、
見事にひねくれている。

09.09.04