09国立劇場9月/天変斯止嵐后晴/文楽
天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)
シェークスピアの「あらし(The Tempest)」の翻案。
出だしは濃いブルーの海の波を布に描いた背景に、6人の太棹と十七弦の琴が、あらしを、ぶ厚く、ダイナミックに表現する。前奏曲だ。
顔が横に長く手足の長い変な人間が泥亀丸で文司、ひょうきん丸出しの茶坊主が勘緑、この2人がコミカルで大きく激しい動きで、この物語の喜劇らしさを良く出していた。英理彦は軽快に空中浮遊して空をすばやく飛ぶ妖精で蓑二郎、パステルカラーのファンタジーな衣装。琴の音も多用されていて、それもファンタジックな印象だった。娘のみどりは勘十郎でお転婆な感じの中にも気品のある動き。小さな草履の足が付いていた。足を見せる場面がいくつかあって、それもちょっとお転婆で元気なお姫様の印象のためなのだろうか。足の付いている女性が出てくるのがちょっと嬉しい。文楽でも女子が元気良く活躍するのは嬉しい。
最初の大夫は千歳大夫。声がかすれ気味だったけれども気合は十分で、特に父親の阿蘇左衛門の気合は強烈だった。清介の三味線はクリーンでクリアで強靭。2人目は呂勢大夫でめりはり良く強力だった。三味線は清治で優しくて深みのある音、単純な音で無く、複雑で豊かな音に感じた。
森の背景は良く描かれている。手前に草花、あとは2層にヤシなどが描かれている単純なものであったけれども、何故か奥行きを感じる。濃い緑を基調にした南方風の植物が多く描かれた背景は、文楽にはあまり似つかわしくない、なじみのない風景だ。文楽が異質な世界に飛び込んだようで、ちょっとドキドキワクワクする感じだった。
全編頭巾着用で、出遣いは無かった。
09.09.12 国立劇場
天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)
シェークスピアの「あらし(The Tempest)」の翻案。
出だしは濃いブルーの海の波を布に描いた背景に、6人の太棹と十七弦の琴が、あらしを、ぶ厚く、ダイナミックに表現する。前奏曲だ。
顔が横に長く手足の長い変な人間が泥亀丸で文司、ひょうきん丸出しの茶坊主が勘緑、この2人がコミカルで大きく激しい動きで、この物語の喜劇らしさを良く出していた。英理彦は軽快に空中浮遊して空をすばやく飛ぶ妖精で蓑二郎、パステルカラーのファンタジーな衣装。琴の音も多用されていて、それもファンタジックな印象だった。娘のみどりは勘十郎でお転婆な感じの中にも気品のある動き。小さな草履の足が付いていた。足を見せる場面がいくつかあって、それもちょっとお転婆で元気なお姫様の印象のためなのだろうか。足の付いている女性が出てくるのがちょっと嬉しい。文楽でも女子が元気良く活躍するのは嬉しい。
最初の大夫は千歳大夫。声がかすれ気味だったけれども気合は十分で、特に父親の阿蘇左衛門の気合は強烈だった。清介の三味線はクリーンでクリアで強靭。2人目は呂勢大夫でめりはり良く強力だった。三味線は清治で優しくて深みのある音、単純な音で無く、複雑で豊かな音に感じた。
森の背景は良く描かれている。手前に草花、あとは2層にヤシなどが描かれている単純なものであったけれども、何故か奥行きを感じる。濃い緑を基調にした南方風の植物が多く描かれた背景は、文楽にはあまり似つかわしくない、なじみのない風景だ。文楽が異質な世界に飛び込んだようで、ちょっとドキドキワクワクする感じだった。
全編頭巾着用で、出遣いは無かった。
09.09.12 国立劇場