ANANDA・Cafe

独善的偏向偏執的毒舌紅茶&カフェのブログ 真実は香り高く甘くそして…渋い 良い紅茶のようにね

実はキーマンVSではなかったという驚愕の誤認 公式ウェールズ王子VS非公式ウェールズ王子は雲南VS?

2012年02月02日 | 紅茶・ブレンド
そもそもプリンスオブウェールズとはなにか?

いつものwikiコピペですが
『プリンス・オブ・ウェールズは、紅茶の銘柄。
スコーンとの相性がよいとされる。
中国安徽省産のキーマンやアッサム等をベースにしたブレンドで、
多くの商品にはクロスグリがアクセントとして加えられている。
茶葉の香りを楽しむ為に、最も適した飲み方はストレートとされる。
その香りと味から「紅茶のコニャック」とも呼ばれる。

イギリスのトワイニング社が発売しているブレンドが最も有名であり、
ランの花を思わせる独特の香りを特徴とするが、
2011年現在トワイニング社の英国内市場向け商品リストには含まれていない。
(これは下記の歴史でも触れているが1936年にエドワード8世として即位した際に
 リストから外されたものであるが、実際には各社より販売されている。)

片岡のHP「よくある質問」にもう少し詳しい経緯が書かれている
『「プリンス オブ ウェールズ」とは英国皇太子の称号ですが、
ジョージ5世(1910~1936)とマリー女王の長男である英国皇太子のパーソナル ブレンドで、
トワイニング社が、皇太子よりその名をブレンド名につける栄誉を賜りました。
その後、皇太子がエドワード8世になったとき(1936年)をもって、英国市場からこのブレンドは消えました。
しかし、海外ではこのブレンド名の使用が許されています。』

というわけである
このブレンド紅茶の銘柄はキーマンをブレンドしているものであることは間違いない
これはトワイニング日本公式サイトのHP
『ダージリン、ウバと並ぶ世界三大銘茶のひとつ「キーマン茶」のブレンド。
穏やかな渋みと優雅な香りが特長で、その高貴な香りは蘭の花にもたとえられています。
1921年にジョージ5世とマリー王女の長男である皇太子(のちのエドワード8世)
のために作られたパーソナル ブレンドで、トワイニング社が、
皇太子よりその名をブレンド名につける栄誉を賜りました。
1日をしめくくるイブニング ティーに最適のブレンド。』


さて一年ぶりくらいにプリンス オブ ウェールズを購入した
昔からキーマンは好きでよく飲んでいたが
ここ最近はセイロンにハマっていたのと、東方美人(青茶だが紅茶に近い)に似た日本紅茶のラッシュが続き
とんと買わずにいた
それと同時にうちの旦那がムジカのラプサンスーチョンにはまっていたために
キーマンを買う余地がなかったともいえる
福建省の「正山小種」(ラプサンスーチョン)を真似て作られたのがキーマンの発祥である
とはいうものの、すでにキーマンはラプサンスーチョンのまねという領域ではなく
キーマンとしての美味さを追求する茶葉となった
ダージリン・ウバと並び、世界の三大紅茶の一つとなったのである

中国の紅茶の有名な生産地は
ラプサンスーチョンの福建省
滇紅(テンコウ)と呼ばれる高級紅茶の産地、茶樹の起源といわれる雲南省
そして祁門キーマンのある安徽省である
もちろん生産地はこれだけではないが、我々が飲んでいる有名なものはここらだろう

キーマンについてはこのブログでも以前少々触れた
(2010.8.20『黒執事Ⅱ第7話でドルイット子爵が紅茶の感想をスルーしたので替わりに解説する』参照)
私のキーマン体験は3級止まりである
特級も飲まずにこのレビューも無かろうと思うが
3級は美味かったぞ
今は無きキームンジャパンの茶葉を、今は無き新潟『粉雪亭(konayukitei)』という優秀なティールームで飲んでいた
(新潟市にも何年か住んだことがある…港町にはなぜか縁があるらしい)
それからは特に決まった銘柄にハマることもなく
ルピシアのクイーンズホープだのムジカのキーマンをつまみ食い
しかしもともと中国茶が好きなのと、キーマンは他の紅茶より胃に優しいため
美味しそうなのが有ればカフェでよく飲んでいた
やはりアールグレイはキーマンベースが良い
エディアール・ブレンドはキーマンベースなのが好きな理由の一つだ

その中でトワイニングのプリンスオブウェールズは、正確にはキーマンのブレンドだが
スーパーでも買える唯一のキーマン・ブレンドといっても良いだろう
主にティーバッグでの販売で、香りも味もボーダーラインはギリでクリアしている
基本的に私はトワイニングは並行輸入でしかリーフもティーバッグも買わないので
片岡のプリンスオブウェールズのリーフティーがどんな味なのか忘れている(何回か飲んでいる…はず)
そして並行輸入のリーフティーもまだ試したことがなかった

前々回のセイロン・オレンジペコVSで、片岡…つまり正規代理店ルートにもかかわらず
並行輸入品のクオリティーが明らかに高かったという逆転現象を目の当たりにし
急遽プリンスオブウェールズVSをしたくなった
だがプリンスオブウェールズはブレンドなので、キーマンVSというのはまちがいである
だからこれはあくまでもプリンスオブウェールズVSなのである(間違えてましたすみません)

それというのも前回オレンジペコを購入したユーロクラブで更に10%引きの紅茶のセールが…
これは買わねばということで先週迷わず購入、やはりポーランド(POL)もの
200g缶入り・629円…100g315円は破格だと思う

しかし思いもかけず難航したのが片岡プリンスオブウェールズの紙箱リーフティーだった

なんと…どこにもない…!
前回セイロンを買ったスーパーはプリンスオブウェールズだけ置いてない
アイリッシュブレックファストは置いてあるのに!なんて変な売り場なんだ!
仕方なくダイエーを何軒か回る…ダージリンとアールグレイのみ
COOPを何軒か回る…ダージリンのみ
もちろんどの店にもアソートの5種類ティーバッグセットは置いてある
だがティーバッグの味は比較対象にならないので買っても意味がない
なまじ紅茶に力を入れている店には片岡紙箱ラインは置いてない
さんざん探したあげく小さな単店舗の狭いスーパーでなぜか見つける
奇跡だ…しかも最後の1個
こちらは85g・548円…100g・644円
並行輸入のほぼ2倍
痛い出費だ(笑)


ようやくキャストがそろった
公式王子と非公式王子
片岡を捜すのにかなり時間が掛かったのでもう早速その日に飲み比べた

これがその茶葉である
 

どっちがどっちだかおわかりだろうか?

答えは、左が片岡、右が並行輸入POL、である
片岡の方が若干色が濃いしつやがある?
だが全体的に茎の量が多く撚りが均一じゃない
POLは茎が少なく撚りが均一

さて開封した葉の香りはどうか?
おや、今回はどちらもあまり変わらない…が
微妙に片岡の方が古い香りが強い
POLは少しだけ(みかんさん言うところの)干し梅香がする
片岡にはない
だがあまり特筆すべき差がないのはいいことだ
前回のVSがひどかったのがまだ記憶に新しいのだ

では淹れてみることにしよう
いつもの3g・150mlで全く同じカップ同じタイミングで淹れる
待つこと4分
蓋を開ける

・POL
ほんの少しだけ蘭のような香り
このグレードでは仕方ないしそんな期待は毛頭無い
全体的に穏やかで丸い香りだがすべてが若干弱い
甘みはほとんどない軽いスモーク臭

飲んでみる
輪郭の丸い柔らかい味
紹興酒に似ている
喉ごしはなめらかで、軽い甘さを感じる
渋みはぬるくなる最後までほとんどでない
時間経過による味の変化はあまりない
微かに渋くなるがひっかかるようなものではない

もうこの値段でこの味なら普段飲みで毎日気にせずに飲める
久しぶりの味だ
バカ美味いわけではないが評価は前と変わらず…ギリでボーダーライン越えである

・片岡
さて公式王子である
蓋を開けた香りはどうか
…香ばしい
蘭のような香りはあまり無い
そこらで売っている烏龍茶的な香りが若干
しかし激しくPOLと変わることはない
POLよりシャープで強い香りがするので
人によってはこちらの方が良いという人もいるだろう
ただし再焙煎の可能性がある

飲んでみる
おお…それほど変わりがない…が
味も多少シャープに感じる
熱いうちはあまりPOLと大差ないようだ
多少立体感に欠けるが
…が…だ

少しぬるくなってきた頃
味が変化し始める
紙…?
例のドーセットティーのような不味いティーバッグの紙味がしてくるじゃないか
そして渋みが出てくる
舌と喉を刺す渋さ
温度が下がると急に不味くなってくる
不味い烏龍茶の味というか
どんどん紙の味が強くなってくる
そして冷え切ると…その味もなくなる
不思議だ

また要らぬ電波な疑惑が首をもたげる
この片岡プリンスオブウェールズ
イギリスのティーバッグの売れ残りがブレンドしてあるんじゃないの?
日本のティーバッグは残念ながらこんな味はしない
イギリスのティーバッグの紙質についてはドーセットティーのところで書いたが
あのsoggyな魚の匂いのするティーバッグの紙臭がこの茶葉に吸収されている気がしてならない
と思うのは先入観と偏見に犯されている私の頭のせいか?
だれかこの猜疑心を否定出来るような正しい情報を下さい
お待ちしています


結論:片岡のプリンスオブウェールズは熱いうちに飲み干せ
   熱いうちはそれほど変わらない
   熱ければ風味の違いは好みの範囲だ
   だが冷えたときは…もう遅いと思え




さて、これから先は片岡とか並行輸入とか以前の話になる
実はキーマンVSではなかったという驚愕の誤認というのは
プリンスオブウェールズがブレンドだったから…というだけではないのだ


飲み比べてあーだこーだ思いながらブログに起こす資料をググっていたことから始まる
(え…ここから始まるのかよ…勘弁してくれよ)

イギリス本国のトワイニングのHPをリンクするべく探していたときのことだった
ほんとにプリンスオブウェールズはラインナップにないのかどうか?とか
自分で見て見なきゃ分からないのが情報というものだ
本国より先にトワイニングUSA…つまり北米トワイニングのHPを先に見つけた
クリックするとラインナップが日本より豊富で面白い
ラプサンスーチョンや白茶なんかも売っている
そこでプリンスオブウェールズのページを見てみた
そこにこんなことが書かれていた

Prince of Wales is a pure China black tea sourced from regions
including the Yunnan province and other southern regions of China.


Yunnan?これは雲南じゃないか
そして一言もキーマンという言葉が無いことに気づく

こういうときはGoogleのステキな翻訳に頼るべきだと思いこのページを翻訳した
それが下である

『プリンスオブウェールズは、雲南省と中国の他の南部地域を含む地域から供給純粋な中国黒茶です。』

…は?
雲南省と中国の他の南部地域を含む地域?
安徽省は?祁門はどこにいったの?
そこにはキーマンという言葉は一切無い
ただ純粋な中国紅茶であるとだけ

さきほどリンクしてあるトワイニングの日本公式HPにはこうある

『ダージリン、ウバと並ぶ世界三大銘茶のひとつ「キーマン茶」のブレンド。』

だが、片岡オンラインショップには
キーマンとはやはり一言も書いていない

『常に最高の品質を求めつづけているトワイニング紅茶。
プリンスオブウェールズは、英国皇太子の名を冠した気品あふれるブレンドです。
優雅な香りと芳醇な味わいがひとつになりました。』

キーマンをブレンド…くらい書ける余白があってこの記述である

さて探していたトワイニングUKのHPを見つけたので開いてみた
中国茶は結構いろいろあってさすが本国のラインナップと感心する
やはりwikiにあるように本国のHPにはプリンスオブウェールズはなかった
だが目に付くところにキーマンのブレンドも無い
雲南はある
アールグレイはキーマンベースらしいが
さがしたらロシアンキャラバンがキーマンのブレンドだった
(あとは見つけて下さい)


…もしかしてプリンスオブウェールズはもうとっくに
キーマンベースではなくなっているんじゃないだろうか?
最近は祁門の環境破壊が悪化していて後継者も少なく
茶業が縮小していて品質も落ちているという
雲南はまだ田舎で生産量も多く、品質もそこそこで安いのだろう
そちらの紅茶をメインにブレンドしてキーマンは申し訳程度…いや
もうブレンドすらされていないのかもしれない
だが、プリンスオブウェールズという名前でなくYunnanではいまさらは売れないだろう
トワイニングのプリンスオブウェールズは代表銘柄なのだから
その名前を捨てたら多分売り上げがかなり落ちるし
だいたい買う人が中身が分からなくなる
私はもう一度両方の箱書きを再確認したがどちらにもキーマンの文字はどこにもなかった
事実は片岡に電話でもして聞いてみるのが一番なんだろう
事実を言ってくれるかどうかは別として事情くらいはなにか分かるかも知れないが

今回は疑問で終わるが
ヒマと気力があれば片岡に凸電してみるかも知れない


私としてはブレンドのベースは何でも良いのだ
美味ければ
だからこの件でトワイニングを糾弾するということはない
むしろ問題はセイロン・オレンジペコである…あれは糾弾に値する
だがしばらく美味しくて高いキーマンを飲んでいないので
なんか買って味を思い出す必要はあるな…

だれかくれないかな…