ANANDA・Cafe

独善的偏向偏執的毒舌紅茶&カフェのブログ 真実は香り高く甘くそして…渋い 良い紅茶のようにね

3代目“無銘のセイロン”はやれば出来る子だった ディレイで襲いかかる高尾珈琲セイロン

2012年01月27日 | 紅茶・セイロン
えー
毎度バカバカしいお話を一席

巷には、やれマリアージュフレールだのトワイニングだの
テイラーズオブハロゲイトだのロンネフェルトだの
フォトナム&メイソンだのハロッズだのとございますが
いわゆるブランドとは関係ない野良紅茶みたいなもんがございまして
大概がこう銀色のアルミ蒸着パックとか紙袋
中には日光が透けて通るのもおかまいなしといった
パリパリの透明ポリエチレンに入ったものもございまして
中身はと言うと大概がセイロンBOPですな
そのような紅茶はディンブラだのルフナだのウバだのという
野暮な記載はございませんで
いたってシンプルに“高級セイロン”やら“ホテル業務用”などと
書いても書かなくても変わらないといった風情がおつなものでございます

ブランドとは関係ないと一口に申しましても
業界では輸入会社が信用のある名前になっているところもございます
リーフルさんとかシルバーポットさんえいこく屋さんなんかも
その道の方ならよくご存じと思いますが
…そんなんじゃないのがこの紅茶

無銘のセイロンはだいたい200gで400円
よくお茶屋の軒先、チェーン店じゃないスーパーのお茶コーナー
コーヒー豆屋の紅茶コーナーにひっそりと置かれてるってぇシロモノ
そんな紅茶は君子危うきに近寄らず、避けて通るに限るとばかりに
スルーにスルーを重ねて参りましたが
昨今の私はコスパの追求でぐるっと方向転換
“安物の茶にも五分の魂、三分の理”(←ねつ造)という現実をかいま見てしまったわけでございます

それは萩原珈琲の200g/400円セイロン(一代目)から始まりまして
業務スーパー・セイロン・ティーバッグを経て
二代目が旦那の買ってしまった“おどろきの白いキャンバスのようなセイロン”
ここから「無銘のセイロン」という名が生まれたわけでございます


その無銘のセイロンが無くなり、慢性的な紅茶インフレが多少解消された昨年の12月
あのトワイニング・アイリッシュ・ブレックファストをなぜか置いてある
職場近くの普通の弱小チェーン展開スーパーのいつもの紅茶売り場を眺めていると(ヒマだな…おい)
そこに見慣れぬアルミ蒸着パックが並べられていたのだ

それが
味と香りの高級紅茶 CEILON RESTRANT TEA”by 高尾珈琲株式会社
お値段は200g・399円(スーパーの特価)である
HPでは200g価格(税込) 630円
この方…紅茶飲みの直感で値段以上のオーラを感じ購入した

『高尾珈琲は昭和25(1950)年の創業以来コーヒー一筋に経営を続けてきました。
味に厳しい人が多いといわれる大阪・鶴橋の地で、つねにお客様にご満足いただけるよう
品質にこだわり本物の味を追求してまいりました。』
以上高尾珈琲HPコピペである
…知らなかったこの会社
小さい焙煎珈琲会社ってほんといっぱいあるんだな
といっても他のブログを調べてみると京都・大阪ではよく見かけるらしい
珈琲一筋なんだが、今回は申し訳ないことに高尾さんでは1種類しか扱っていない紅茶のレビューを…
わざわざやるんですかね?
やるんですよ
なぜならこの子はそこらの名無しとは違うからなんです!

無銘の紅茶は我が家のデフォルトになっている
・ブレンドのベース
・匂いの濃いフレーバーティーの希釈
・高級茶葉をケチって香りだけ楽しみたいとき…などなど
一代目、二代目と使い道を開発してしまったために逆になくてはならない存在へと成長した
それはつまり無個性が基本性能であることを意味する
この高尾紅茶に対する期待はまさにそれである
だが間違えてはいけない
無個性と不味いは違う
個性を殺して相手を引き立たせるのには不味さは邪魔なのだ
これはソリストを決めるのではない
合唱の調和を求めるのである
へたくそも個性もいらないのだ

さてこれが茶葉である
紛れもなくBOP
写真より実物は黒っぽい


早速試飲してみた
だが思わぬ誤算が生じた

美味しいのである
普通に美味しいのである
言ってみれば片岡トワイニング・セイロン・オレンジペコなんかより
遥かに美味い

まず香りがある
強くはないが少し爽やかなわずかに青さのある感じの
しかし甘さもある
ディンブラではない
水色は真っ赤ではないが濃いオレンジ・ブラウン
味は軽く香りが舌から鼻へ抜ける
熱いうちはなめらかで渋みはほとんどない
喉ごしが良い
酒で言うと《上善如水》的な
ぬるくなると渋みが少し出てくるが気にはならない
上品?しっかり?芳醇?落ち着き?華やか?シック?
どれも違う
ものすごい個性に裏打ちされている訳ではないが
かといってこれは前回の“おどろきの白いキャンバスのようなセイロン”というわけではない
さりげない魅力だ
いつの間にか口の中が甘く後味が良い
高級ではない、安物でもない
うーむむむ
これはなんだ?!

と言葉を探すうちにひとつだけ思いついた
「飾らない洗練」
気取ったところはないが素朴でもない
目立たないが味わうと魅力がある
サラリーマンのダークスーツみたいなもんだね
普段着るものだが普段着じゃないし高級でもない
だが着る人によっては男の魅力にも感じる


というわけで
それ以来このセイロンは単独で飲まれている
無銘のセイロンというには普段飲みに最適だ
トップバリュのジャワセイロンと双璧かもしれない
ブレンドにするには並行輸入トワイニング・セイロンのほうをなぜか使っている


昨日も淹れて飲んでいて
しみじみ美味いなあ…と思った
特にこの前買った片岡トワイニング・セイロンが美味くなかったのでなおさらだった
だが、少し熱さが取れたところでふとあることに気づいた

これ…ヌワラエリアの香りがする…!

はあぁぁぁ~?
なんで気づかなかったんだ?
いやヌワラエリアの香りそのものではないからだ
水色も茶葉も全く違うし
ミディアム・グロウンからロウグロウンで発酵は高い…はず
急いで出し殻の香りを嗅ぐ
…ウバにも少し似てる
なぜなら出し殻に微妙なサリチル臭がするのだ
ってことは???

ウダプセラワ系…?
確かに一番似ていると言えばそんな感じもするが
リプトン・ブリスク系の雰囲気も少しあり
もう少し標高低めかなあ
なんとも言えない味と香りなのであるが

リンク先のウダプセラワは以前レビューしたセレクティーのリデスデイル茶園のもの
これは美味しかった
たしかに
『茶葉は細かく撚られ、しっかり発酵されています。 ウバ紅茶と同じ刺激的なフレーバーがあります。
渋みのある、深いこくの力強い紅茶です。 ミルクティーやアイスティーがおすすめです。』
だし、水色が似てるかもね
たぶんこのあたりのどこともつかない境界外の名もない茶葉なのかも知れない
解説よりも渋みは少なめで、力強さより爽やかでマイルドなコク…なんですが
こんな微妙なものを扱ってるなんて
高尾珈琲も近所のスーパーも…まったく
なんてこの世はマーベラスでステキなんだ


というわけで急遽レビューしてしまった
いつかしようと思ってはいたのだが

というわけで近所のスーパーでこれを見たらお買い得だっ
(いや…そうそう見ないから)
近鉄・JR鶴橋駅徒歩1分ならどうだ
(そこは…どこだ?)

結局『人は見かけによらない』的な教訓だけを残して
去っていくいつものNirvana・cafeであった


おあとがよろしいようで…