真明座のかしらで塗りが剥げたものを修理しています。塗りなおすとどうしても元通りの表情通りには眼や眉を描き直せません。名作には出来るだけ手を入れたくないのですが、木部の傷みもあるので、塗りを落として修理し、胡粉塗りから始めます。珍しく作者名の焼印を内部に押したものがありました。
「一照作」とあり、明治、大正の文弥人形全盛期に遣い手の名人と謳われた一度(いったく)照造(1878~1962)の作品です。20歳前から人形を遣い、かしらは35,6歳から彫り始めたそうです。塗りを落とす時はさすがに緊張しました。