5年前の2017年11月、猿八座はウクライナ西部のリヴィウ、首都キエフ、東部のドニプロの三都市で公演した(2017年11月のブログ記事一覧-猿八座 Saruhachi-za (goo.ne.jp)11月20日の記事参照)。6日間に500㎞の鉄道旅3度と公演3度、結構忙しかったが、各地の観客の反応、見聞きしたこと、食したもの、会った人々との思い出は忘れられない。
人形劇が盛んなウクライナの会場は全て人形劇専門劇場で、劇場専属の劇団員の日本の人形劇への関心は強かった。ドニプロ公演では場面転換の際、絶妙な間合いで満席の客席から大きな拍手をいただき、日本でも滅多に無い反応に観客の感覚の豊かさを感じた。肥沃な国土の農産物は豊かで、毎回の食事に舌鼓を打った。ボルシチはロシア料理ではなく元来ウクライナの料理、日本でロシア民謡と呼ばれる多くはウクライナ民謡である、と若い女性通訳から聞いた。
何世紀も前からロシアによる制圧を受けているが、公用語はウクライナ語、主な宗教はロシア正教から独立したウクライナ正教、朝夕の通勤途上、礼拝に立ち寄る人が後を絶たなかった。キエフの地下街の彼方此方で民族楽器バンドゥーラを奏でたり、唄ったりする路上芸人に通行人が次々と小銭を置いて行く。欧州の最貧国と言われるが、誇り高い国民性と、金銭に置き換えられない豊かさを感じた。ロシア現政権の無謀な侵攻で制圧しようともウクライナの侵略は不可能だ。2011年、ロシア・ユジノサハリンスクでの国際人形劇祭にも参加したが、出演した数十カ国の人形劇人も歓待してくれたロシアの人たちも平和な街が破壊され両国の人々が傷つく事が一刻も早く終わることを願っているに違いない。ウクライナは決して侵略されない。
ドニプロ ウクライナ正教会 日曜礼拝 ドニプロ公演の観客